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夕暮れ時のメロディ

1972年から1983年にかけて、NHKでは夕方6時から「少年ドラマシリーズ」という小・中学生向けのドラマを放送していた。

この、「少年ドラマシリーズ」を見て育った世代、具体的には、1972年から1983年にかけて小・中学生だった世代を、「少年ドラマシリーズ世代」と呼ぶことを提唱したい!

巷に流行る「アラフォー世代」なんて言い方より、よっぽど「同世代感」が強いと思うのだが、どうだろう。

といっても、小学生のころに見ていたドラマの内容は、そのほとんどを忘れてしまった。

それに加え、「少年ドラマシリーズ」は、フィルム撮影からビデオ撮影に切り替わる過渡期で、その頃のビデオテープは「重ね撮り」することがあたりまえだったため、NHKにマスターテープがほとんど残っていないのだという。

つまりは、まぼろしのドラマシリーズなのである。

現在ソフト化されているものは、当時の視聴者が録画したものをもとにしているという。

Ff1cb4ba そんな中で、私にとって、いまでも強く印象に残っているドラマが、「家族天気図」である。

1980年の放映というから、私が小学校6年生のときに見たドラマである。

「SFもの」が多かったシリーズの中で、地味なホームドラマというのは異色だった。だが私はこのドラマがめちゃめちゃ好きだった。

父(土屋嘉男)、母(小林千登勢)、そして長女(松原千明)をはじめとする4人の子どもたち。平凡な家庭だが、その周囲でさまざまな問題が起こり、ときに家族がぶつかり合う。

まだビデオデッキなんてなかったころだから、私はこのドラマを、心がザワザワしながら食い入るように見ていた。小学生が見るには、かなり重い内容だった。

だがそれ以上に、このドラマに釘付けになった理由がある。

それは、長女を演じた松原千明が、ビックリするくらい美しかったからである!

ショートカットでスラッとした大学生を演じていた松原千明は、小学校6年生の私にとって、憧れの女性であった。ほとんど恋をしていたといってもいい。

あれ?たしか小学校5年生のときには蝦名由紀子に恋をしていた、と前に書いたような…。

まあそれはよい。

私にとっては「『家族天気図』の松原千明」、という印象がとても強く、そのイメージが、かなりのちのちまで残像となった。

もう一つ、このドラマに釘付けになった理由がある。

それは、ドラマのテーマ曲として流れていたメロディである。

ギターを基調とした、物悲しいインストゥルメンタルの曲だったと記憶しているが、せつないメロディは、ドラマの内容や、放映時間が夕暮れ時だったこととも相俟って、とても心に染みたのである。

そして驚くべきことに、30年以上たったいまに至るまで、そのメロディは、私の脳内でくり返し流れているのである!

あのメロディは、何だったんだろう?数年前まで、そのことがずーーーっと気になっていた。だって、毎日のように、そのメロディが頭の中で流れるんだもん。

インターネットとは便利なもので、調べてみるとすぐにわかった。ポール・マッカートニーの「ジャンク(JUNK)」という曲である。より正確に言えば、「ジャンク」という歌のインスト版の、「シンガロング・ジャンク(SINGALONG JUNK)」という曲である。1970年に発売された、ポールのソロデビューアルバム収められている。

ええ、もちろん、数年前にCDを入手しましたよ。

私は、ビートルズはおろか、洋楽に関してまったく知識がない。にもかかわらず、たまたま小学校6年生のときに聞いて、30年たっても耳について離れないメロディが、実はポール・マッカートニーの曲だった、て、すごいことではないか!やっぱり彼の音楽は、時代を越えて心に響き続けるものなんだなあ。

日々の生活の中で、心配事や悩み事がとぎれることはない。だが彼の音楽は、そのすべてを包み込んでくれるのである。

ただ、もしこのドラマとは無関係に、「JUNK」という曲を聴いたとしても、これほど印象には残らなかったかも知れない。このドラマのテーマ曲だったからこそ、である。

そう考えると、音楽というのは、やはり「聴くタイミング」が重要なのかも知れない。

いまでも夕暮れ時になると、あのメロディが頭の中で流れ出す。

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