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午前0時の黒霧島

5月2日(水)

朝イチの授業のあと、書類作成だ会議だと仕事をすませていくと、あっという間に午後1時である。

今日は午後1時から、懸案の「資料室」の引っ越し作業を、学生たちに手伝ってもらうことになっていた。

10人くらいの学生が手伝ってくれたおかげで、夕方までに、2つの部屋の「雑誌箱詰め作業」が終わった。

夕方6時半からは、「2年生歓迎会」である。

この4月からいよいよ専門課程に進む2年生たちを歓迎する、毎年の恒例行事である。

例によって、こういう大勢の集まりになると、心がどんよりし始める。

1次会が終わり、店を出たところで、3年生のNさん、Sさん、Aさんに言う。

「やっぱり、私はダメだな」

「何を言うんですか、唐突に」

「いや、私なんかもう本当にダメなんだ」

「そんなことありませんよ!」

3年生たちは、またはじまった、と呆れているようだった。

「私たち、1次会で失礼します」3人が口をそろえて言う。

「そう、じゃ、また来世で会いましょう」

「何を言ってるんですか!」

3人は完全に呆れて、帰っていった。

2次会では、4年生のN君、O君、Uさん、それに卒業生のT君たちも合流した。

そんな中、1次会の途中から、私の与太話を熱心に聞いてくれている学生がいた。3年生のT君である。

T君は、近く中国に1年間の短期留学をすることが決まっていた。

で、私が、韓国での留学体験談を話すと、身を乗りだして聞きはじめたのである。

途中、酔った4年生のFさんがチャチャを入れようとしても、

「ちょっと黙ってくださいよ!」と制止したりしている。

「先生!黒霧島を飲みながら、話の続きをしましょう!」会場が2次会に移ったあとも、彼は私の話を聞こうとした。

T君は、1年間の短期留学を決めたことにともなって自分の中でわき起こってきた、さまざまな心配事を、どう解決していいのか、悩んでいるようであった。

それは、この年齢の若者ならば誰でも抱えうる悩みである。

「大いに悩め!悩んで悩んで、悶絶するくらい悩め!」と私。「人間には『悩む力』が必要なんだ!」私はベストセラーの新書のタイトルを拝借して、T君に言った。

「なるほど、『悩む力』ですか。いい言葉です」T君は言った。

「実は俺、先生のブログを読んで、中国に短期留学しようって決めたんです」

「え?」私は意外だった。T君がまさか、読んでいるとは思わなかったからである。

「4年生のOさんに勧められて、留学中のことを書いた部分を読んでみたんです。そしたら、中国人留学生たちのハチャメチャな行動が書いてあって、それを読んで、スゲエなって思って、こういう世界に飛び込んでみよう、と」

「そうか」私は、1級1班のころを思い出した。

「ふだん全然授業に出て来ないのに、野外授業(遠足)の時だけはりきって参加する留学生がいたって話があったじゃないですか」

「あったあった」1級1班の問題児だった、リ・ヤン君のことである。

「ああいう話を読んで、おもしれえなあって思って…。それに、『猟奇的な先生』。あの先生、すごいですねえ」

久しぶりに「猟奇的な先生」というフレーズを思い出した。

「いろいろな先生に留学を勧められましたけど、最終的に後押ししたのは、あのブログなんです」

なんと!Oさんに続き、これで2人目である。

「実は俺の親父も、先生のブログを読んでいるんです」

えええぇぇぇぇ!!

さらにビックリである。

「いつか、韓国の留学体験記を本にするのが夢でね」私は、冗談半分で言った。

「そしたら、絶対買います!俺の親父も絶対買うはずですから、少なくとも2冊は売れるはずです!」

「あなたも、留学したら絶対に日記をつけなさいよ。それも、日本語と中国語で」

「わかりました」

そんな話をしていたら、すっかり声が枯れてしまい、気がつくと夜12時を越えていた。

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