駆けつけてくれた50人
6月16日(土)
朝から、二日酔いである。
というのも、前日、昨年3月に卒業したSさん、同じく昨年3月に卒業し、いまは隣県で就職しているKさん、さらに4年生のN君と4人で、夜12時まで飲んだからである。久々の深酒だった。
集合時間ギリギリに、職場に向かう。
会場準備をしたり、講師のMさんをお迎えしたりしているうちに、午後1時、会が始まった。この会の後半部分、すなわち、午後2時半からのMさんの講演会が、私の担当である。
講演が始まる午後2時半近くになって、ポツリポツリ、と、お客さんがやってきた。そのほとんどが、ふだん一緒にクリーニング作業をやっている仲間たちである。
「娘、連れてきました」
同い年の盟友・Uさんは、小学校5年の娘さんを連れて聴きに来てくれた。
「100名が入る教室って聞いたから、一人でも客が多いほうがいいかなって思って、とりあえず娘に協力を仰ぎました」
月曜日、職場でのクリーニング作業でUさんと会ったとき、「100名入る教室で、人が全然来なかったらどうしよう」と、私は弱音を吐いたのだった。Uさんはそれを聞いて、一人でも客を増やしてやろうと、娘さんを連れてきてくれたのだった。
「ありがとうございます」私はUさんの友情に心から感謝した。
「でも、2時間半でしょう。娘はそこまでもたないかも知れませんよ」
「いえ、来てくれただけで、もう十分です」
Uさんがここまで、この講演会について考えてくれていたことがわかっただけで、もう十分であった。
昨日一緒に飲んだ、卒業生のSさんとKさんも来てくれた。
「この日は、同じ時間に公務員講座があって、出席できないです」と言っていた3年生たちも、講座が終わってから、会場に駆けつけてくれた。
100名入る会場は、ほぼお客さんでうまった。
2時間半におよぶMさんの講演は、思った通り、すばらしいものだった。
少なくとも私は、聞いていて何度も心を揺さぶられた。いろいろな思いがあふれてきて、何度も泣きそうになったが、私はそのあとの司会進行もしなければならなかったので、必死にこらえた。
たぶんあの場にいた多くの人たちも、Mさんの講演に心を揺さぶられたと思う。
「すごいですねえ。聴きに来ていた学生たちが、みんな、熱心に耳を傾けているんですよ。後ろのほうに座っていたんで、その様子がよくわかりました」と、作業仲間のSさんが、あとで私に教えてくれた。
「聴きに来てよかったです。同じ自治体職員として、いろいろなことを考えさせられました」隣県の自治体に勤める卒業生のKさんが、帰り際に、そう言ってくれた。
「この人の話を聞かずして、いったい誰の話を聞くというのか?」という思いは、来てくれた人たちにも伝わったのだと、安堵した。
それに、小学校5年のUさんの娘さんも、当初の予想に反して、最後まで講演を聴いてくれた。彼女の心に、今日のことが何か残ったとすれば、それだけで大成功である。
イベント終了後、夜12時まで、仲間たちと飲んだ。2日連続の、深酒である。
家にもどり、今日来てくれた人の名簿を見返してみた。
今日の参加者は約60名。うち、義務的に参加した同僚を除くと、約50名である。
名前をみると、ほとんど全員の顔が浮かんだ。来てくれた学生のほとんどは私の授業に出ていて、おそらく私がしつこく宣伝したから来てくれたのだろう。そしてあとは、ふだん一緒に活動している仲間たちである。
駆けつけてくれた50人。
これからは、この50人のために頑張ろう、と誓った。
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