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採便キット、海を渡る

6月5日(火)

これから書く話は、とても尾籠な話なので、お食事中の方は絶対に読まないでください。また、この文章を読んで不快に思った方は、ただちにこのブログを読むのをやめてください。

先週土曜日からの出張で、私の心を悩ませていたことがあった。

それは、職場の健康診断のことである。

毎年この時期に受けなければならない職場の健康診断は、1年でも有数の「憂鬱な1日」なのであるが、それに加えて今年は、さらなる心配事があった。

ここからかなり細かい話になりますよ。

私は健康診断の期間中、出張で職場を不在にしており、唯一受診できる日が、最終日の水曜日(6日)である。

金曜日(1日)にR市、土日(2日、3日)に東関東県で研究会、日曜の夜から韓国にわたり、火曜(5日)の午前中まで仕事をしたあと、午後の便で日本に戻り、そこから鉄道と新幹線を乗りついで、夜遅くに勤務地にもどることになっている。

そして前日の夜8時から飲まず食わずのまま、翌水曜日の朝イチの授業をしたあと、健康診断を受診する。朝イチの授業は10時20分に終わり、健康診断の受付は午前11時までだから、この40分のあいだに、絶対に受付をすませなければならない。

つまり、出張から健康診断を受診するまで、まったく時間的余裕がないのだ。しかも、出張続きでクタクタの状態のまま健康診断を受けることになる。これはもはや健康診断ではない。不健康診断である。

電話で妻にこのことを言うと、

「ありのままを診断してもらった方がいいじゃない」

という。たしかにその通りである。不摂生な生活をしている私とかこぶぎさんは、たぶんこの先そんなに命は長くないと思うんだが、ならばごまかさずに、正々堂々と不健康ぶりを診てもらおうではないか。

だが私が心配しているのは、そんなことではない。

健康診断を受診するにあたっては、あらかじめ提出しなければならないものがある。

一つは、尿検査に必要な自分の尿である。

もう一つは、「便潜血なんとか検査」に必要な、自分の大便である。

ところが私は、健康診断の期間のほとんどが、出張で不在である。健康診断最終日の前日の夜遅くに、勤務地にもどるのである。

尿検査の尿は、診断当日の朝に採取するので、とくに問題はない。

問題は、「便潜血なんとか検査」に必要な大便である。

事前の説明によれば、診断の当日までに、できれば2回ほど、自分の大便を「採便キット」に採取して、診断の当日に持っていかなければならない。

前日の夜まで韓国に出張しているから、採便するとすれば、診断の当日の朝しかない。

「できれば2回」とあるので、2回採取できなくてもよい、ということである。となれば、最低でも、健康診断の当日の朝に採取すれば問題はないだろう。

しかしここから、「極度の心配性の私」が姿をあらわす。

もし診断当日、ひどい便秘に襲われたとしたら、どうしよう。

つまりたった1回の採便のチャンスを、逃してしまうことになる。

ここはどうしても、事前に採便をしておきたい。

しかし、土曜日の早朝から勤務地を離れ、東関東県、韓国へと出張に渡り歩くため、事前に採便することもむずかしい。

もういちど説明書を読み直すと、

「診断の4日前までの大便ならば大丈夫です」

とある。診断の4日前といえば、土曜日である。つまり出張に出発する日の早朝に採便すれば問題ないことになる。

しかし説明書は、次のように続く。

「採取した便は、冷暗な所に保管しておいてください。冷蔵庫が望ましいです」と。

つまり、土曜日に採便したとして、水曜日までの4日間は、冷蔵庫に保管しておけ、というのだ!

なんだ?ウンコって、4日間しか日持ちがしない高級菓子みたいなものなのか?

いや、そんなことより、自分の大便を4日間も食品冷蔵庫に入れておく、というのは、何ともキモチワルイ。

ということで、「土曜日採便説」は却下された。

困った私は、担当の事務職員のSさんに相談した。Sさんは、そんなこと相談されても、といった顔で、

「だったら、出張先にキットを持っていったらいかがです?」

と提案した。

やはり、その方法しかないか…。私は、出張に持っていくカバンに「採便キット」をしのばせた。

かくして、「採便キット」は海を渡り、遠く韓国まで運ばれたのであった。

診断の前日の朝に、韓国のホテルで採便すれば、2回のうち1回の採便の義務は、果たしたことになる。これで診断当日にひどい便秘に襲われたとしても、大丈夫である。

だが、採便キットの説明書をよく読んで、ため息をついた。

そもそもこの採便キットは、どのような形で採便するかというと、まず、便器の中に採便用の紙を敷いて、その上に用を足す。紙の上に乗っかった大便を楊枝のような細い棒でこすりとって、それを容器の中に入れるのである。

「採便用の紙」というのは、水溶性の紙で、水に流すと溶けるから、大便と一緒にトイレに流してしまってかまわない、と書いてある。つまり、できるだけふつうに用を足す感じで、採便ができるような配慮がとられているのである。

しかし、ここで一つ問題がある。

韓国のトイレでは、基本的に紙を流してはいけない。流せるのは便だけで、使用したトイレットペーパーは、便器の横に置いてあるゴミ箱に捨てなければならない。韓国のトイレは水圧が低く、すぐに紙をつまらせてしまうからだ、と聞いたことがある。

たぶんこれは「採便用の紙」についても同じだろう。「採便用の紙」をトイレに流すことができないとすれば、便器で用を足すのではなくどこか別の場所で、いったん「採便用の紙」の上に用を足して、それを楊枝みたいな棒でこすりとって容器に入れなければならない。そしてそのあと、「採便用の紙」に乗っかっているウンコを便器の中に流したあと、紙をゴミ箱に捨てなければならないのである。これはじつにメンドウだし、だいいちあまり愉快な方法ではない。

だんだん不安になってきた。不安はそればかりではない。

こうして苦労して採便した容器を、今度はカバンに入れて、日本にまで持って帰らなければならない。

つまり移動中、私のカバンの中にはずーっと、私のウンコが入っていることになるのである。

空港の荷物検査や税関でひっかからないともかぎらない。そのとき「これは何ですか?」と聞かれたら、「これは私のウンコです」と説明しなければならない。

いろいろな心配が頭を駆けまわる。

さて、私は韓国で採便したのか否か?それは、ご想像におまかせすることにしよう。

実は健康診断について、もう一つ、大きな心配がある。

健康診断のすぐあとに、重要な会議がある。

だが、健康診断では、胃の検査のためにバリウムを飲まなければならず、胃の検査が終わったあとは、バリウムをすぐさま体外に排出するために、下剤を飲まされる。

つまり、重要な会議中に、突然もよおす可能性があるのだ!

会議の途中、お腹をおさえながら何度も部屋を出たり入ったりしてトイレに行くのは、何とも格好悪い。

まあ、別にもともとがぶざまな人間なのだから、どうということはないのだが。

はたして、健康診断をうまく乗りきれるだろうか?

…ほら、究極の「どーでもいい話」でしょう?長々と読んでもらったみなさん、ごめんなさい。

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コメント

 ちょっトン、この記事であたしをフリに使わないでとン。こちとンら、もう十年近く、毎月医者に足繁く通っているわけですから、もう健康なこと、この上ないですから。

 大体、こちとら夕飯の後に職場に帰るなんて毎日やってるわけで(最近は健康のため、おうちに帰って韓国ドラマを見るようにしていますけど)、よもや、「ステーキの宮」のボックスシートにて、携帯を取り出した某先生から、この記事を対面朗読(読み聞かせ)されるはめになろうとは。新タマネギに惹かれて、昼間に材料を買いそろえていた「地中海カレー」も、もちろん製作延期です。

 そして夜中にフン切りをつけて(う○こだけに)、釜山の税関に雲虎と大麻樹脂を間違えられて捕まるコントを書き始めたものの、あまりのゲスさとオチの弱さに止めるわ、トンでもない事態に。

 というか、自分のう○この心配してるくらいなら、この月曜日からKBS2で始まったドラマ「ビック」をちゃんと現地で見たか(ホン姉妹作品ですぜ、これでヤクルトおばさんとも語り合えます)とか、釜山の映画館で「建築学概論」を見てきたか、ということですよ。

 最後に、やたらトントントントンと書いてますが、よい子の皆さんは意味を調べないようにとン。

投稿: こぶぎ | 2012年6月 7日 (木) 08時55分

釜山空港の荷物検査場にて(ほぼ実話)

荷物を検査台に通したあと、荷物を持っていこうとすると、「ちょっと待ってください!」と韓国人の検査官が私をひきとめた。

ドキッ!例のものがとうとうバレたか?

「가방을 열어 필통을 꺼내도 됩니까?(カバンを開けてピルトンを取り出してもいいですか?)」

「え?…ト、똥(トン)?」

あ~、ついにバレたか。私は汗が噴き出した。それだけで、かなり挙動不審である。

検査官がカバンの中をガサガサとあさり、取り出したのが、筆箱。

筆箱を意味する「필통(ピルトン)」を、自意識過剰のあまり、「똥(トン)」と思いこんでしまったのだ。

検査官は、筆箱の中身をチェックして、「けっこうです」と言った。

筆箱の中の何を不審に思ったのかはわからない。その近くに、もっとあやしい液体ケースがあったのに。

ちなみに今回の旅は、一切自由時間なし!でしたとさ。

投稿: onigawaragonzou | 2012年6月 8日 (金) 19時53分

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