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ああ!恥ずかしの練習スタジオ

6月14日(木)

通常の仕事に加え、研究室移転作業、土曜日のイベントの準備など、忙しくて死にそうである。

妻に言わせれば「自業自得」だという。ま、そのとおりである。

そんな中でも、少しでも時間があれば、アルトサックスの練習をしたい。

今日も、夜8時過ぎに「丘の上の作業場」での作業が終わったあと、1時間ほど、練習スタジオでアルトサックスの個人練習をすることにした。

電話で予約し、練習スタジオに向かう。

「またこのオッサンかよ…」と、受付カウンターの「ロックンロール青年」も、呆れ顔である。

カウンターで必要事項を書いていると、後ろから、「先生!」と呼ぶ声がする。

ふり返ると、うちの職場の学生たちである。私を呼んだのは、見慣れない女子学生だった。

「M先生ですよね!」

「そうです」

「どうしたんですか?こんなところで…。あ!サックスの練習ですね」

何で知ってるんだ?

「Kちゃんに聞きましたよ」

Kちゃんというのは、音楽愛好会というサークルに所属する3年生のAさんのことである。実は私は、音楽愛好会の顧問でもあるのだ。

Aさんは私の指導学生で、私がアルトサックスの練習場所を探していると相談したときに、この練習スタジオを紹介してくれた学生である。その女子学生は、Aさんを介してそのことを聞いていたのだろう。

「みなさん、音愛(音楽愛好会)なの?」

「そうです」

どうやらこの4人は、バンド練習が終わって、これから帰るところらしい。

「あなた、楽器は?」私は声をかけてきた女子学生に聞いた。

「私はボーカルです」

そしてその横には、2年生のSさんもいた。私の指導学生である。

「Sさんも音愛だったの?」

「はい」

「ちっとも知らなかった。で、楽器は?」

「私はベースです」

Sさんは、私がここにいるのを見て、ビックリした顔をした。だって、さっきまで私の授業を受けていたんだから。まさか私がアルトサックスを練習しているなどとは、思ってもみなかったのだろう。その様子を見て、ボーカルの女子学生がSさんに言う。

「知らないの?M先生は、今年度からうちの顧問になったのよ」

「そうなんですか?」

顧問の知名度なんて、そんなものである。

ボーカルの女子学生が私に聞いた。

「先生、10月の学園祭に出ることになったんですか?」これも、Aさんから聞いたらしい。

「え?う、うん、…まあ…、そんなことになりそうなんだ…」

「そうですか。がんばってください」

そういって、4人の若者たちは出ていった。

さて、この一部始終を聞いていたのは、受付にいた「ロックンロール青年」である。

彼らと別れて、受付のほうをふり返ると、彼は「半笑い」していた。

いままで私は素性を隠していたが、いまのこのやりとりで、私がこの近くの職場で教員をしていて、バンドサークルの顧問で、学園祭に出たいものだから、一人で必死に個人練習をしていた、という事情が、すべて、知られてしまったのである!

ああ!何という恥ずかしさ!

そして、学生に見つかってしまったことも、恥ずかしい。

あいつらきっと、「あの先生、なに必死で楽器なんか練習してんの?本気で学園祭に出るつもりかね。キモ~イ」とウワサしているに違いない。

う~む。これから、どんな顔をして練習スタジオに行ったらよいものか。「ロックンロール青年」とは、顔なじみになれるのか?

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コメント

(貸スタジオの受付にて)

バイトA じゃ、受付交代ッスね。お先しまース。

バイトB お疲れース。あ、そうだ。いつも来てる客で、「MALTA」のステッカー貼ったケース持ってくるおじさんいるじゃん。

バイトA ええ、さっきすれ違いましたッスけど。

バイトB その「MALTA」って、○大の先生だよ。

バイトA えっ、やっぱりッスか。

バイトB うん。さっき、自分がサークル顧問をしている音楽愛好会の学生と受付で鉢合わせて、しっかり見破られていたし。

バイトA いやー、こんな平日の昼下がりに、学生街に似つかわない背広姿で、一人でいつも来てるって、おかしいと思ってたんスよ。実は、あの楽器ケースの中にM16A2を忍ばせて誰かを狙ってんじゃないか、っていう噂もあったし。

バイトB そりゃ、「ゴルゴ13」の読み過ぎだって。

バイトA どおりで、どこかで見たことある顔だったッス。

バイトB だから前から言ってたじゃん。オレ、あの人の授業出たことあるって。

バイトA こんな学生街にある貸スタジオだから、受付バイトだって○大生がやってることぐらい、最初に気づけよってね。

バイトB でさ、なんか、秋の学園祭でステージに立つことになったとか言ってたんだけど。面白いから、オレらと「対バン(複数のバンドと競演すること)」申し込もうか。

バイトA 無茶言わないで下さいッスよ。オレたち、見た目はバリバリのロックンローラーだけど、やってるのは「超新塾」のパロディーコントじゃないスか。お笑い研究会と音楽愛好会とは、ステージが別ッスよ。

バイトB(「タイガー福田」担当) でもさ、さっきの話を聞いてると、どうも音楽愛好会の部員は、「MALTA」先生が学園祭に出ることを知らなかったみたいなんだ。とすると、サークル絡みで学園祭に出演する訳でもなさそうだぜ。

バイトA(「サンキュー安富+」担当) とすると、かなり無理筋からの出演じゃないスか?

バイトB 先生が無理筋通すとどうなるかって、あれほどハングルのコメントで警告したのに、分からない人だねえ。

バイトA え、突然、何のことッスか?

バイトB いやいや、こっちの話。

バイトA でも、その学園祭で演奏する曲って、いつも練習してる曲ッスかねえ?

バイトB そうじゃないの? ドアの小窓から覗くと、いつも真剣に吹いているもん、ペレス・プラード楽団の「タブー」。

バイトA サックスはリズムパートだから、カトちゃんの「ちょっとだけよ」のテーマ曲って、なかなか気づかなかったッスね。

バイトB やっぱ、オレらのお笑いステージに呼べば、大爆笑間違いなしだな。よーし、今度スタジオに来たら、早速こっちから話しかけて、顔なじみになっておこーっと。

投稿: こぶぎッス | 2012年6月18日 (月) 23時55分

A:三日とあけず、練習スタジオに通ってますよ。今日なんか、予約の電話を入れると、ついに「いつもありがとうございます」と言われましたからね。

B:いよいよ常連ですな。

A:でも、オッサンが一人で、楽器のケースを持って練習スタジオに入るのは、いつまでたっても慣れませんなあ。受付のロックンロールな人が、どう思っているのかを考えると、何か恥ずかしくってねえ。

B:上の会話には、「ゴルゴ13」とありましたけど。

A:いや、「ゴルゴ」というより「レオン」でしょうな。映画「レオン」に、たしか楽器のケースに銃をしのばせておくというシーンがありましたぞ。

B;「ゴルゴ」でも「レオン」でもどっちでもいいや…。ところで練習スタジオで吹いているのは、やはり「タブー」ですか。

A:いえ、「ピンクパンサーのテーマ」ですよ。サックスと言えば、これでしょう。

B:またベタな曲ですなあ。でも、「ピンクパンサーのテーマ」は、アルトサックスではなく、テナーサックスなのでは?

A:細かいところに気づきますなあ。

B:あと、「無理筋」なのではないか、という説もありますが。

A:いや私もそれが気になってね。まさか無理筋になってやしないかと、音楽愛好会のAさんに、再三確認したんですよ。だって、あんなことになるのは、イヤですからねえ。

B:「あんなこと」って?

A:まあまあ。とにかく、無理筋にならないように、それだけは注意しますぞ。ちょっとでも「無理筋」臭がただよったら、即刻出演をやめて、もとの通り誰にも聞かれない部屋で一人で吹くことにします。

投稿: onigawaragonzou | 2012年6月19日 (火) 23時24分

イ・サン おお、グギョンか。こんな夜更けに、一体いかなる用件か?

ホン・グギョン おそれながら、世子(セジャ・皇太子のこと)様に一刻も早くお見せしたいものがございまして、ここにお持ちしました。

イ・サン (受け取り)うむ、どうやら日本人が書いた日誌のようだが、漢字以外の文字はよく分からぬ... おお、この部分はハングルを日本文字で音写したものであろう。なになに、「事実、プランBは、面白き別の話がござるが」と書いてあるようだ。

ホン・グギョン (驚愕)これはこれは、世子様、恐れながら、今回も冒頭から危険を顧みない踏み込んだ展開に、このホン・グギョン、恐縮至極に存じます。(横を向いて)これ、通詞。翻訳した文書を世子様に。

イ・サン (読み読み)うむ、確かに、これは気になる話であるな。

ホン・グギョン さようでございましょう。「無理筋にならないように注意する、ちょっとでも「無理筋」臭がしたら、即刻出演を取り止める」というのは、裏返せば、事実上の「学園祭出場宣言」に相違ございません。

パク・テス こうして成均館(ソンギュングァン)学園祭を混乱に陥れて、その責任を世子様になすりつけようという魂胆だな。

ホン・グギョン いかにも、老論(ノロン)派の考えそうなことでございます。

イ・サン もし、本気で成均館の学園祭に出場する気であれば、この日誌の作者の性格からして、この6月の時点で既に演奏予定曲を練習しているはず。さて一体、どんな曲を練習しておるのだろうか?

パク・テス おそれながら、ここに「ピンクパンサーのテーマ」と書いてございますが。

イ・サン そなたはいつも単純だな。「ピンクパンサー」など、前回コメントの構想段階で、既にこちらの「ボケ」候補として思いついていたわ。テスよ、それは、真の演奏曲名をステージデビューまでカモフラージュするための、ウソの曲名だ。

カン・ソッキ やはり、ナベサダの「カルフォルニア・シャワー」ではござらぬか。

ソ・ジャンボ いやいや、それがしは、マルタの「ハイ・プレッシャー」ではないかと。

ナム・サチョ わたくしめは、ベタに「太陽にほえろ!のメインテーマ」を推しまする。

イ・サン どの方(ほう)も、まだまだ修業が足りんな。見よ、このホームページを。

http://www.winds-score.com/mms/index.html#Asax

ホン・グギョン せ、世子様、このページには「めちゃモテ・アルトサックス」と書かれてございますが...

イ・サン グギョンよ、男子中学生が楽器を始める理由ナンバーワンは何だ? それはモテたいからだろう。だから、この「めちゃモテ・サックス」曲を、この秋の成均館学園祭のソロステージで華麗にキめて、「めちゃモテ☆先生」への道まっしぐらという訳だ。

ソン・ソンヨン いえ、世子様、決してそのようなことはございません。日誌の文面からして、この作者の方は真面目一直線な性格のはず。そのような不純な動機などなく、ただ音楽を愛する気持ちだけで、日夜サックスを練習されているのではありませんか。

イ・サン では聞くがソンヨン、そなたが図画署(トファソ)に入り、絵師の道を志したのは、どういう訳からじゃ?

ソン・ソンヨン わたくしは、ただ絵が好きで、いつか清国に赴いて絵画を習いたいという夢が... ハッ!!

パク・テス (本当は「世子様に一目会いたい」、その一心だけだったんだろって)

イ・サン 書画も音楽も同じこと。全ての芸事は「めちゃモテシリーズ」に通ず、ということだ。

側近一同 (平身低頭)ははー、恐れ入りました、邸下(ちょーはー)!!

イ・サン しかしグギョンよ、上のページにある「デモ演奏」の動画を見て、そなたはどう思うか?

ホン・グギョン 確かに見事な演奏ではございますが、この奏者の風体は、いかがなものでしょうか。髪はウェーブ気味の長髪に、全くアブラぎッてないサラサラ肌のやさ男。袖口をロールアップしたカジュアルジャケットの下には、素肌に白シャツ一枚だけをまとい、胸元は大きく開襟して、嫌な趣味のネックレスがギラリと覗いております。絵に書いたような「めちゃモテ委員長」といった出で立ちですが。

イ・サン 他の楽器のデモ演奏者に比べても、あきらかにイケメンではあるな。

ホン・グギョン もしや、世子様が仰りたいこととは、日誌の作者が、このファッションも完全コピーしてステージ本番に臨もうとしている、ということではないですか?

イ・サン さよう。「めちゃモテ」にファッションは最優先課題だからな。こんな服装で「黒いオルフェ」なんぞ演奏された日には、出オチを通り越して、むしろ事故。ひいては壬辰倭乱以来の大国難ともなりかねない。

パク・テス しかもこの日誌の人は、実際には極度の汗っかきだ。素肌に直接着ていた白シャツが汗で濡れて「スケスケ化」する、といった最悪の事態も十分に考えられます。

イ・サン テスよ、よいことに気づいたな。それに、この者は「蝶ネクタイ」という飛び道具も持っておる。次の朝鮮通信使では、徳川将軍家に、これらのことをしかと伝えねばなるまいぞ。

(注)韓国の時代劇にあまり詳しくない、よい子の皆さんは、下の人物相関図を見ながらお読み下さいね。
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/isan/chara/chara_04.html

投稿: こぶぎ | 2012年6月22日 (金) 03時20分

金田一耕助「ボクは驚きましたよ、日和警部」

日和警部「どうしたんじゃ、金田一さん」

金田一耕助「海の向こうの、イ・サンとかいう人が、ボク顔負けの推理をするんですからね」

日和「それはひょっとして、あんたのアルトサックスのことかな」

金田一「そ、そうです。ひ、日和さん、よくわかりましたね」

日和「あんたとは長いつきあいじゃからのう。それくらいわかるわい」

金田一「ボクが書いた『ピンクパンサーのテーマ』を、カモフラージュだと見破ったんです」

日和「それくらい、誰でもわかるじゃろ。わしだってわかったわい」

金田一「そればかりじゃありません」

日和「なんじゃ」

金田一「『あいつの性格からすると、きっと6月の時点で演奏予定曲を猛練習しているはずだ』という推理」

日和「おお、あったあった」

金田一「見事に当てました。そう、私はいま、演奏したい曲のアドリブ部分を完全コピーするために猛練習しているのです」

日和「まさかあんた、ナベサダとか、MALTAとか…」

金田一「そうです。その点についても脱帽です。この2人の曲を、1曲ずつ練習していることまでは当たっています。ただし、曲は『カリフォルニアシャワー』でも『ハイプレッシャー』でもありませんがね」

日和「さすがのイ・サン、いやこぶぎさんも、そこまでは当てられなかったというわけじゃな」

金田一「ボクの日記を注意深く読めば、私がナベサダさんの何の曲をやりたいと思っているかは、わかったはずなんですがねえ」

日和「では、あれはどうじゃ?めちゃモテなんとか、というのは」

金田一「ああ、あれですか。あれはフラグですよ」

日和「フラグ?」

金田一「あれを紹介して、ボクにあの格好をさせようっていうんでしょう」

日和「なるほど」

金田一「モテたいからアルトサックスをはじめたのではないかって推理でしたがね。…たしかに、高校生のときは、そう思ってアルトサックスをはじめたんです」

日和「金田一さん、意外ですなあ」

金田一「でもやってみて、ひとっつもモテない、ということがわかった。つまり、モテないことは、すでに高校生の段階で実証済みなんです」

日和「ほう、じゃあ、モテようと思って再開した、というわけではないんじゃな」

金田一「ええ。だって、あの坂田明氏だって、モテようと思ってアルトサックスをしているわけではないでしょう」

日和「言われてみればそうじゃな。どこからどう見ても、ミジンコ好きのふつうのオジサンじゃからな」

金田一「ああいう人がアルトサックスをやるから、いいんですよ」

日和「なるほど」

金田一「だからボクも、ああいう感じを目指します」

日和「…ということはだよ、金田一さん、あんた、やはり学園祭に出るっちゅうことなのか?」

金田一「さあ、それはわかりません」

日和「金田一さん、おえんのう(岡山弁)」

(注)もちろん金田一耕助は古谷一行、日和警部は長門勇ですよ。

投稿: onigawaragonzou | 2012年6月22日 (金) 17時32分

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