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キョスニムの休日

6月10日(日)

休日だが、職場に行ってたまっている仕事を片づけようかな、と、午前中、職場に行く。

たいしてやる気も起きず、お昼前になった。

(せっかく楽器を持ってきたから、練習でもするかな)。

職場の近くにある音楽練習スタジオに電話をする。

「12時から1時間、個人練習室、空いてますか?」「空いてますよ」

楽器を持って歩いていく。

12時から1時間、誰もいない部屋で、一人でアルトサックスを吹く。

だれ一人聴いていない閉ざされた空間で、アルトサックスを吹く、というのも、少しむなしい。「誰もいない荒野に向かってトラメガ(トランジスタメガホン)で叫ぶ」のと同じくらい、むなしい。

1時間がたち、練習室を出た。

楽器を持ってふたたび職場に向かって歩いてゆく。

途中、体育館の前を通ると、にぎやかな歓声が聞こえる。

何だろう、と思って中をのぞいてみると、「先生!」と呼ぶ声がする。

声のする方を見ると、この3月に卒業した、指導学生のKさんである。

「先生、どうしたんですか?」

「うん、ちょっとね」

「あ、楽器の練習の帰りですね」Kさんもブログを読んでいるのか?

「中で何をやっているの?」

「競技ダンス大会です。近隣の県の大学からも集まっているんです。よかったら、見ていってください」

「Kさんはどうしてここに?」

「私、OGなんで、受付をしているんです」

「え?Kさん、ダンス部だったの?」

「そうです」

知らなかった。

ということで、20分ほど、ボーッと見ることになった。

男女のペアが何組も出ていて、体育館の中を所狭しと踊っている。

映画「Shall we ダンス?」で見たことのある光景だ。あと、テレビ番組の企画でも、以前よくやっていたよなあ。

みんな、男子は背が高くて、痩せぎすだなあ。どのペアも、女子より男子の方が背が高い。で、衣装がみんなキマってる。

私は、まずダメだな。背は高くないし、体型が、ね。それに、無類の汗っかきなので、ちょっと踊っただけで大汗をかいてしまい、キモチワルがられるに決まっている。

いつも不思議に思うのだが、これだけたくさんの出場者がいて、審査員は、どうやって審査しているのだろう。

あと、ギャラリーがみんな、ものすごい大きな声で何かを叫んでいる。

20分ほど見て、帰りがけにKさんに聞いてみた。

「みんな、何を叫んでるの?」

「出演者の名前です。名前を叫んで、応援しているんです」

なるほど、大声で応援する、というのがマナーなのか。

体育館を出た。

(お腹がすいたなあ)

家に帰ればごはんが炊いてあるのだが、帰るのも面倒だしなあ。

ということで、近くのコンビニで小さな弁当を買うことにした。

弁当を買って、コンビニを出た。

このときの様子を、偶然車で通りかかった同僚が見ていた。

翌日、同僚が言う。

「昨日のお昼、コンビニで弁当を買ってたでしょう」

「え?」

「ひどく疲れていた様子でしたよ」

なんと!私が野面(のづら)で歩いているところを、しっかりと見られてしまった。完全に油断しているときの顔を、である。野面で歩いているところを見られることほど恥ずかしいものはない。消え入りたくなった。

職場に戻り、弁当を食べるが、これがしょっぱくて美味しくなかった。買わなきゃよかった、と後悔した。

夕方までダラダラと仕事をする。

夕方6時、歩いてふたたび練習スタジオに向かい、誰もいない密閉された部屋で1時間ほどアルトサックスを吹く。

受付にいたロックンロールなあんちゃんが、「また来たよ、このオッサン」みたいな顔をする。

家に戻り、日記を書いているうち、

(そういえば、しばらくスポーツクラブに行っていない!)

ということに気づき、罪悪感にさいなまれる。

あわてて車に乗り、スポーツクラブへと向かう。

夜10時、スポーツクラブで1時間ほど運動する。

こうして、1日が終わる。

どうです?これがキョスニムの休日です。だいたいほかのキョスニムも、似たり寄ったり、こんな休日を過ごしているんですよ、学生諸君。

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