15分でテンションを上げる方法
7月5日(木)
クラシック音楽でアルトサックスが使われている曲は、「アルルの女」と「ボレロ」である、と以前に書いた。
ラヴェルの「ボレロ」は、私の好きな曲の一つである。久しぶりに私の中で「ボレロ」ブームが到来した。
一つ一つの小さな楽器が執拗に同じメロディをくり返し、やがていろいろな楽器の加勢を受けて一つの大きなメロディになっていく。それは、最初はたった一人の顧みられない意見であっても、執拗に言いつづけることで大きな力になることを信じている私に、希望を与えてくれる。
アルトサックスもまた、この曲の中では、たった一人でメロディを奏でる一つの楽器にすぎない。
毎年、大晦日から元日にかけて、テレビ東京という放送局で「ジルベスターコンサート」というのをやっている。年越しの瞬間は、この番組を見ることにしている。
この番組は、オーケストラが、元日の午前0時、つまり、新年に変わる瞬間にむけて、カウントダウン曲を演奏する。そのカウントダウン曲が終わる瞬間に、新年を迎えるように、タイミングをはかりながら演奏するのである。時間ピッタリに終わらせるのが、指揮者の腕の見せ所で、その演奏は、見ていてなかなかスリリングである。
毎年、演奏される曲は異なるが、昨年から今年にかけての「カウントダウン曲」は、「ボレロ」だった。
曲の終盤に向かうにつれて盛り上がりを見せ、最も盛り上がったところで曲が終わる「ボレロ」は、年末のカウントダウン曲として演奏するにはじつにふさわしい。実際、「ボレロ」は、「ジルベスターコンサート」のカウントダウン曲として、これまで何度か使われているらしい。
だが今年は、「ボレロ」の終わる瞬間と、午前0時の時報のタイミングが合わず、少し残念な結果になった。
まあそれはよい。
ハタと思いついたことがある。
いま、自分の精神状況は鬱のどん底だが、「ボレロ」によってテンションを上げられるのではないか、と。
たとえば、目的地に着く15分前から、「ボレロ」を聞き始める。
「ボレロ」は、15分の曲である。最初は、聞こえるか聞こえないかくらいだったメロディが、次第にその音を大きくしていく。それはあたかも、どん底だった気持ちを少しずつ少しずつ高ぶらせていくがごとくである。
そして目的地についた瞬間、曲は最高潮に達し、それに合わせてテンションもMAXになる。
試してみると、なかなか効果的である。よし、これからはこの方法で、精神のどん底からテンションを上げていくことにしよう。そしてこれを「ジルベスター方式」と呼ぶことにしよう!
…というかこの程度のことで何とかなるのであれば、気持ちの落ち込みようなど、たいしたことではないのだろう。なにより、こんなバカげたことを考えているうちは、どん底とはいえない。
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