卒業生のチカラ
7月28日(土)
朝からビックリするくらい暑い。
職場では今日、年に1度の「職場公開」である。
朝8時ごろから高校生たちがひっきりなしに訪れてきて、構内は大混乱であった。
この日に合わせて、懸案の「補講」を行うことにした。どうせなら来てくれた高校生たちにも公開しよう。これが本当の意味での「職場公開」である!
学生に急ごしらえの看板を置いてもらったり、教室の扉も開けたままにしたりした。
我ながらいいアイデアだと思ったのだが、どうやらそう思っていたのは、私だけだったようである。
朝9時から始まった補講には、待てど暮らせど、高校生が見学に来ない。
いや、正確には、高校生のグループが何度も教室の前は通りすぎるのだが、誰一人、中に入ろうとしないのである。
休憩時間に、高校生のグループを引率しているスタッフに聞いてみた。
「うちの授業、高校生に見てもらってもいいんですよ。公開しているんですから」
「それがダメなんです」
「どうしてです?」
「学内ツアーは、予定がびっちり詰まっていて、他の場所に立ち寄る余裕なんて、全然ないんです」
そういうと、そのスタッフは「学内ツアー引率マニュアル」を見せてくれた。
各所見学に5分、移動に2分とか、事細かに書いてある。
「分刻みのスケジュールですね」
「でしょう。だからこちらも遅れるわけにはいかないんです」
ということで、私の試みは、あえなく失敗した。
その代わり、午後の補講をしている最中、別のお客さんが来た。
この3月に卒業し、いまは隣県にある会社に勤めているSさんである。Sさんは休暇をとって昨日こちらにやってきて、同期の人たちと再会して久しぶりにみんなで飲んだ後、そのままこちらのホテルに宿泊したのであった。
昨日、「もし時間があったら補講に顔を出してよ」とお願いしていたのだが、ありがたいことに、友達を連れて、わざわざ来てくれたのである。
「番組の途中ですが、ここでゲストを紹介します」
私はそう言って、Sさんを紹介した。
Sさんには急遽、先輩として、そして社会人として、学生たちにメッセージを言ってもらうことにした。
Sさんのメッセージは、卒業した先輩だからこそ、言えるメッセージだった。
20人ほどいる学生たちが、みな真剣に話を聞いている。
(なんだよぉ)私は少し落ち込んだ。(学生たちは、私の言うことなんていつもテキトーに聞き流してばかりいるくせに、先輩の話となるとちゃんと聞くんだな…)
もっとも、私が学生だったとしても、そうだろう。
もっとこういう機会を増やせば、聞き流される私の話なんかよりも、かなり効き目があるのかもしれない。
Sさんには、少しの時間だったが、授業にも出てもらった。Sさんにとってみても、久しぶりに授業を受けて、学生時代にもどった気分になれたはずである。
「職場公開」といいつつ、スタッフたちにも高校生たちにも一顧だにされなかった「公開補講」だったが、もはやそんなことはどうでもよかった。今日の「職場公開」にあわせて「公開補講」をしたことは、本当によかったと思った。
夕方5時半、補講は終了した。
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コメント
こんばんは。卒業生のTです。といっても、前回のブログに出ているT君ではありません。数年前の卒論発表会の日、先生に恐れ多くも「キョスニム!」と呼びかけたほうのTです。お久しぶりです。
補講、お疲れ様でした。
今日は「職場公開」の日だったということですが、実は今日、私の教え子がそちらにお邪魔していました。
その子がそちらへ行くと知り、公開授業の内容が判明する前から、先生方の写真入りプロフィールをを渡して、「この中の先生にお会いしたら必ず『Tがお世話になりました』って言うんだよ!」と念を押しておきました。せっかく県外の大学まで来たんだから、大学の補講がどんなものか見学すればよかったのに…と、夏休み明けにその生徒によく言い聞かせておきます(笑)。
私自身は今日一日、インターハイの役員として動員されていましたが、もしそうでなかったら、生徒の引率を口実に、そちらまで行って、先生にお会いしたかったです!
機会があれば、今度そちらへ行き、ぜひ先生とお話ししたいものです。
投稿: T | 2012年7月28日 (土) 23時57分
相変わらずのようで、けっこうけっこう(寅さん風に)。
投稿: onigawaragonzou | 2012年8月 1日 (水) 00時19分