欲しいのはタレント性
9月20日(木)
私と同世代の、そこそこ有名なタレントが、半年にいちど、ある地方のテレビ局で仕事をするときに、必ず立ち寄る海鮮料理の店があるという。
その店の料理があまりに美味しかったので、そのことを自分のラジオ番組の中で語り、しかも店の名前まで出した。
半年後、ふたたび仕事でその地方に訪れ、その店に立ち寄った。
店の主人が感謝して言う。
「ラジオで店の名前を言ってくれたおかげでねえ、あのあと、5,6人くらい客が増えたよ」
ええええええぇぇぇぇぇっ!!!たった5,6人?
人気のラジオ番組なのだが、それでも、5,6人しか来なかったのか!
「俺のタレントパワーって、そんなもんよ。むかし、キョンキョン(小泉今日子)がアイドル全盛期のころ、ラジオの「オールナイトニッポン」で、「いま『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいるの」って言ったら、翌日、全国の書店で『ライ麦畑でつかまえて』が一斉に売り切れたというエピソードがあったんだけど、それとはエライ違いだ」
と、自分のラジオ番組で愚痴をこぼしていた。
自虐ネタを売りにする彼らしいエピソードで、私は好きなのだが、笑ってばかりはいられない。
私が10月に企画しているイベントが、新聞でも大きく取りあげてもらったのにもかかわらず、今のところ申し込んでいただいているのは、まだ数名である。定員は30名なのに。
「華(ハナ)がないんだよね」
とは、妻が私によく言うセリフである。
華、つまり、オーラというか、タレント性というか、そういうものが、私にはまったくない。
ほとんどの人が、「私」という存在に、まったく気づいていないのではないか、と思うことが、しばしばある。
そう!深夜の職場でトイレに入っているときに、電気のセンサーが突然消えてしまうように、ときおり私は、他人に感知されなくなるようなのだ!
そういえばむかしむかし、大学の先輩に言われたことがある。
「お前はうらやましいよ」
「どうしてです?」
「だって、居たたまれない場所とかに行くと、うまく自分の存在を消すことができるから。俺にはそれができない」
このときの先輩の言葉の意味が、当時は理解できなかったのだが、最近、ようやくわかってきた。
学生や卒業生が飲み会に誘ってくれたりするのはありがたいのだが、彼らは私を「いないもの」と思って話していることが多い。
まさしく、「ハナ肇の銅像」のように、である。
以前も、学生たちと飲んでいるときに、こんなことがあった。
私は、「私の性格をよく知る学生」、つまり、私がマイナス思考の厄介な人間である、ということをよく知っている学生と飲みに行くと安心するのだが、そのときはたまたま、ふだんあまり接点のない学生たちがいた。
その学生たちが私の前で、「授業が特におもしろかった先生」の話をしはじめたのである。
「○○先生の授業は、最高に面白かった」「××先生は、ルックスがいいだけではなくて、授業も刺激的で面白い」等々。結論として、○○先生と××先生は、とてもいい先生だった、という結論で盛り上がっていた。
当然、私のことではない。
それは別にかまわないのだが、その話を目の前で聞かされている私は、どんな顔をしたらよいのか?私はただ、ハナ肇の銅像のようにひたすらじっとしているしかなかった。
誤解のないように言うと、これは彼らの責任ではない。
私自身に存在感がなかったからにほかならない。だってふつう、目の前で私のことを認識していたら、そんな話をするはずがないもの。
そりゃあ、トイレのセンサーも明かりを消すわな。
嗚呼、ほんの少しでいいから、タレント性が欲しい。30名の定員を満たす程度の。いや、せめてトイレのセンサーが明かりを消さない程度の。
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コメント
司会「それでは、最後の質問者となりますが... では、そちらの方」
記者「がたがた新聞ののこぶぎと言います。私も大発見をしたので、読み上げますね」
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「この2日間、発見の連続だったよ」妻に言うと、
「じゃあ、誰かさんの向こうを張って、記者発表しなくちゃね」とからかわれた。
バカヤロウ。この大事な発見は、記者発表みたいに安っぽく売るようなものではないんだぜ。
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http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-75da.html
記者「我々マスコミに対して、ずいぶんな啖呵の切りかたですが(ニヤリ)。さて今回、このように記者会見を開かれているわけですけれど、ズバリこのブログ記事は先生がお書きになったものじゃないですか?」
先生「ハテ、なんのことやら。僕は、ワープロよりも原稿用紙に万年筆で書いた方が早いくらいの機械音痴ですから、こんな超長文ブログなんて書いてたら、日が暮れてしまいますよ。ハハハ」
記者「ほう。それでは(ぴらり)、この会見資料に入っている「フュージョンバンド」初ライブの宣伝チラシは、どういうわけですかね」
投稿: こぶぎ | 2012年9月22日 (土) 12時52分
先生「安っぽく売ったんやない。ただでくれてやったんや」
(参考)「鶴瓶上岡パペポTV」より
笑福亭鶴瓶「いま、禁煙してまんねん」
上岡龍太郎「禁煙するやつはアホや」
鶴瓶「何言うてまんの?あんた、自分が禁煙できないから、負け惜しみで言うてんちゃいまんの?」
上岡「禁煙するやつは、意志が弱い」
鶴瓶「どういうことです?意志が弱いって。たばこをやめたんやから意志が強いやおまへんか」
上岡「男がいったん吸うと決めたもんをそない簡単にやめてしまうやつは、意志が弱い証拠や」
鶴瓶「それは屁理屈や!」
数年後、上岡はたばこをやめた。
鶴瓶「あんた禁煙しはったんやってな。たばこをやめるやつは、意志が弱い言うてたんちゃいまんの?」
上岡「やめたんやない。休んどるだけや」
投稿: onigawaragonzou | 2012年9月23日 (日) 23時14分