俺の縮尺
ネタがないので、他愛もない話。
私と同世代のラジオDJが、「今の若い子にとっての○○を、俺の縮尺に当てはめてみると…」という空想をして楽しんでいた。
例えば、こういうことである。
今の20歳の若者にとって、安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」(1997年)という歌は、5歳のときに流行った歌である。自分の世代にとっては、つい最近の歌だが。
それを、自分に置きかえたらどうなるか?自分が5歳の時に流行った歌は、ちあきなおみの「喝采」である。
そう考えるとショックだなあ。そりゃあ、今の若者と、ぜんぜん話が合わないわけだ。
…という脳内での遊びをそのDJがしていて、その脳内遊びを「俺の縮尺」と呼んでいた。
先日、今年卒業した若者たちと温泉旅行に行ったときのことである。
夜、同室だったT君(20代前半)とテレビを見ていたら、たまたま大人気刑事ドラマをやっていた。
なにしろ私の家にはテレビがないから、久しぶりに見るテレビは新鮮である。
すると、そこに内田有紀が出ていた。久しぶりに見る内田有紀である。
私が20代だった頃、内田有紀といえば、それはそれはかわいいアイドルだった。
若いころ、好きなタイプはと聞かれて、「内田有紀」と答えたほどである。理由は、ショートカットだから。
まあそんなことはいい。
久しぶりに見る内田有紀は、ぜんぜん変わっていない。
「あの人、内田有紀でしょう?内田有紀、ぜんぜん変わってないなあ」思わず口をついて出た。
それを聞いたT君、「そうです。内田有紀ですねえ」と答える。
そこで、はたと気づく。
私にとって内田有紀は、年下のアイドルのままなのだが、T君にとっては、かなり年上のお姉さんである。いや、お姉さん、といっていいのか、微妙な年齢である。
てっきり、同世代の友人同士で喋っている錯覚に陥ってしまったのだ。いかんいかん。
そこでT君に聞いてみた。
「私にとって内田有紀は永遠のアイドルだけど、T君にとって内田有紀は、どんな風に映っているの?」
「どんな風にって言われましても…」
考えてみれば無茶な質問である。だしぬけにそんな風に聞かれても、答えられるはずがない。
「私にとっては、誰みたいな感じなんだろうか?」と私は自問自答する。つまり、「俺の縮尺」では誰に当たるのか?と考えはじめたのである。
T君と内田有紀とでは、干支でひとまわりくらい年齢が違う。それを「俺の縮尺」に当てはめてみると…。
すぐには思い浮かばず、その日はうやむやになってしまった。
しかし、帰ってからも、気になって気になって仕方がない。
「俺の縮尺」に当てはめると、誰みたいな感じだろうか?
あれこれ調べてみて、ハタと膝を打った。
「キャンディーズのランちゃんだ!」
つまり伊藤蘭さんである。
そう考えると、思ったほど違和感がない(「違和感」ってどういうことだ?)。というより、かなりしっくりくる。
T君が内田有紀を見る感覚は、私がランちゃんを見る感覚と同じだったのか!
「溜飲が下がる」とは、このことである。
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