ひとり居酒屋
9月11日(火)
終日、職場のイベントである。
午前の座学が終わり、午後の分科会で、分不相応な話をすることになった。
お昼は、豪華な弁当が出たが、例によって、味がしない。
「パネラー、頼むよ」と電話がかかってきたのは、2週間くらい前のことだったか。
上司の相変わらずの「無茶ぶり」には、苦笑するほかないのだが、どうにも憎めない方なので、仕方がない。じつに稚拙な発表になってしまったが、なんとか終えることができた。
聴衆はほとんどいなかったが、わかってくれる人には、わかってくれたのだと思う。
夕方4時過ぎ、イベントが終わり、6時半過ぎに、車で2時間半ほどかかる隣県のY市に向かう。
明日の朝から、Y市の高校で出前講義なのである。
夜9時過ぎ、Y市に到着した。腹ぺこである。
「このへんで食事できるところはないですか?」ホテルのフロントに聞く。駅前の繁華街にあるホテルとはいえ、ホテルに着いた頃には、周囲はすっかりと店じまいしていたのだ。
「駅前に何軒か居酒屋がありますが、たいていは10時に閉まります」
急いで、駅前の居酒屋に行く。チェーン店ではない、地元の小さな居酒屋である。
じつに何年かぶりの、「ひとり居酒屋」である。12年ぶりくらいかも。
ふだんひとりでいるときは、ビールを飲むことはないのだが、荷が重い仕事を終えた今日は、許されるだろう。
小鉢をつまみながら、生ビールと焼酎を飲む。
(まるで、旅先の寅さんだな)
映画に出てくる寅さんも、こんなふうに旅先の小さな居酒屋で、ひとり酒杯を傾けていた。
そういえば、出前講義は、土地土地のお祭りに店を出して「口上」とともにモノを売るテキ屋の商売のようなものだ、と、以前この日記に書いたことを思いだした。
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