みんなで力を合わせてビフォーアフター
9月29日(土)
われながら、面倒な企画を考えたものである。
いまから120年前に作られた石碑が、鬱蒼とした林の中に埋もれて、いまは誰もその存在を知らない。
そんな石碑が、うちの職場の近くの、山のふもとに今もある。
その石碑をよみがえらせよう、ということを考えたのである。
私のライフワークは、「これまで誰にも注目されなかったものに、光を当てる」ことである。
それを信条としている私からすれば、埋もれた石碑は、何とも魅力的な存在なのである。
で、まわりの草を刈り、石碑にからまったツタを取り除いて、この石碑をふたたび私たちの目の前にあらわす。
そんな思いつきを職場で話したら、何人かの人が賛同してくれた。そればかりではない。地元のおじいちゃん先生も、この話に乗ってくれたのである。
はじめは「なんか、『プロジェクトX』みたいで、われながらいい企画だなあ」と思ったが、時間が経つにつれ、だんだん面倒くさくなってきた。これは、いつもの私の悪いクセである。
(どうして、頼まれもしない仕事を自分で作っちゃうんだろう)
と、また自己嫌悪に陥った。
しかし事態はどんどんと進行していく。地元のおじいちゃん先生が、市役所の担当部署に電話をしてくれて、石碑の周辺の下草刈りを依頼したところ、なんと市役所の人が、石碑周辺の下草刈りを、この夏のうちにしてくれたのである。あとは、石碑そのものにからまったツタを取り払ったり、石碑をきれいに掃除したりするだけである。
そして今日は、その実行日である。
集合時間の朝8時半に現地に行くと、すでに数人が集まって、作業をはじめていた。
「先にはじめてました」みんな、すごいやる気である。
職場の同僚、職員さん、卒業生、学生、そして地元のおじいちゃん先生、総勢13名が集まって、作業を行う。
石碑にからみついたツタが取り払われ、石碑がみるみるその姿をあらわす。
まるで、「戦艦大和」が「宇宙戦艦ヤマト」に生まれ変わるように(また始まった)。
作業すること2時間。石碑は見違えるようにきれいになった。
「言ってみるもんですねえ」と私。「思いつきで提案したら、まさかここまで実現するとは」
「思いつきだったんですか!」とみんなに叱られた。
しかし大事なことは、口に出して言うこと。つまり「言霊(ことだま)」である。
13人の知恵と力が集まれば、2時間でこれくらいのことができるのだ。
そういえば、先週のO村の調査のとき、総勢10名だった。
面倒な企画にもかかわらず、損得を抜きにして参加してくれる人は、私のまわりにだいたい10名前後はいる、ということである。
10名前後を多いと見るか少ないと見るか、そんなことはどうでもよい。10名集まれば心強い、ということを、肝に銘じるのみである。
さて、最後に実際に写真をご覧に入れよう。
まず、今年の5月12日(土)に写した写真。草木が鬱蒼としていて、どこに石碑があるかわからない。
次に、9月13日(木)に写した写真。市役所による下草刈りが行われた。
そして今日、9月29日(土)。石碑がきれいによみがえった。
「だから何なの?」とは言わないでね。この作業じたいが、あまり注目されていないことも、よくわかっているのだ。
みんなで力を合わせてここまでできたことに、大きな意味があるのだ。
たぶん、ふだん友達が少ない私だから、なおさらそう感じるのだと思う。
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