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鶴瓶師匠か、米助師匠か

10月27日(土)

朝7時。職場に集合して、車で1時間ほどかかるO村に出発する。

ボランティア活動の仲間たちと行っている、聞き取り調査の第2弾である。

何でこんな朝早くなってしまったかというと、私がこの時間しか、空いていなかったためである。明日の朝から会議があるため、夕方には東京に向かわなければならない。

当初は、募集をしても集まってくれる人がいないのではないか、と心配していたが、最終的には、9名が集まってくれた。

午前8時40分、O村に到着し、地元の先生と合流し、前回とは異なる地区をまわる。

要は、村の中を歩いて、いろいろなお話を聞きながら、必要なことを記録していく、という作業をくり返すのである。

村のおばあちゃんにお話を聞くが、方言がわからず、なかなか聞きとれない。悪戦苦闘しながらも、1つ1つ、目的のお宅にうかがい、調査を行っていく。

途中、道行くおばあちゃんにも、話しかけられたりする。

ハタ目から見たら、村をブラブラしながら、道行く村人とお話しをしたり、お宅におじゃましたりする、ヘンな団体である。

「これではまるで『鶴瓶の家族に乾杯』ですね」と卒業生のT君。

「いやいや、『突撃!となりの晩御飯』だよ」と、世話人代表のKさん。

比喩の違いに、世代の差を感じる。

ともあれ、気さくにお話ししてくれる方が多いので、安心する。

とくに面白かったのは、私と同世代くらいの、体格のいいおじさんである。

素朴で、明るくて、話も面白い。

鶴瓶師匠だったら、絶対に気に入っただろうな、という感じの、気のいいおじさんである。

おじさんが、自分の子どもの頃の思い出話を語りはじめた。

「むかし子供の頃、畑に行くと、大昔の人が使った○○が、土の中からたくさん見つかってねえ」

「○○ですか」

「そう、これっくらいの小さなやつ」大きさにして、2~3㎝くらいの小さなモノである。

「ほう」

「小学生の頃、それを畑から拾って集めるのが大流行して」

まあ、牧歌的な時代の話として聞いてもらいたい。

「そんなにあったんですか」

「うん。で、ひとつひとつ、形とか大きさとか色とかが違うんだ」

「なるほど。もちろん1つ1つ手作りですからねえ」

「だから、同じモノでも、形がいいものとか、色の変わったものとか、そういったものは、ほかのと比べると価値が高かったりして」

「へえ、希少価値ってやつですね」

「そう。で、お互いのコレクションを見せあいっこして、その価値を競ったりしてね。『どうだ、この色のモノは、ほかのやつは持ってないだろう』なんて自慢したりして」

「まるで、いまの子どもたちカードを集めて、希少価値のカードを誇ったりするのと同じ感覚ですねえ」

「そうそう、そんな感じですよ」

「ぼくらの頃は、牛乳瓶のフタでした。コーヒー牛乳の牛乳瓶のフタが、希少価値があったりしてね」

集める「モノ」は違っても、いつの世も、子供はそんなことに夢中になるものらしい。

いろいろな方にお話を聞いているうちに、予定より大幅に遅れて、午後2時ごろ、調査が終了した。

ほかの人たちが、「せっかくだから村のお祭りに行ってみましょう」と、お祭りに向かう中、私1人、大あわてで家にもどり、夕方の新幹線で東京に向かった。

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