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空腹は最高のソース、ではない

10月28日(日)

朝から夕方まで、ぶっ通しの会議で、その上、会議に参加した方々が偉い人たちばかりだったので気を使ったりして、もうヘトヘトである。

ようやく解放され、東京駅に行くと、ビックリするくらいの人の多さである。

しかも、これは大げさでもなんでもなく、駅の中を歩いているほとんどの人が、ネズミのイラストが描かれた大きな袋を持っている。

なんだなんだ?今日は、ネズミの国で何かあったのか?

とにかく私は腹ぺこなのだ。朝も昼も、ロクなものを食べていない。

東京駅の地下を、人のいない方に歩いていくと、ものすごい愛想のよい、小柄で若い女性店員が近づいてきた。

「よろしかったら、試食してみてください!焼きたてのプレッツェルです」

プレッツェル?

簡単にいえば、棒状のパンを輪っかに結んだようなものである。

その女性店員は、できたてのプレッツェルを試食させて、あわよくば買ってもらおうと、道行く人に勧めていたのである。

その勧め方は、ほとんど強引で、楊枝に突き刺したプレッツェルのかけらを、私の口にまで持っていく勢いである。

腹ぺこなので、仕方なく口に入れる。

「よろしかったら、ぜひお買い上げください」

すぐ目の前に、プレッツェルを焼いて売っている、カウンターだけの店があった。

女性店員は、またしてもほとんど強引に、私をその店に誘導した。

ほら、よくいるでしょう。ものすごく愛想がいいんだけど、なぜだかイラっとくる人。

その小柄で若い女性店員は、私にとってはまさにそんなタイプである。

プレッツェルを焼いて売っている小太りのあんちゃんも、同じように、ものすごく愛想がいいが、やはり何となくイラっとくるタイプであった。

「いちばんふつうのやつをください」

腹も減っているし、とりあえずいちばん安いのを、1つだけ買って食べることにした。

「ありがとうございます。焼きたてですよ~」

愛想のいい口調で、そのあんちゃんが言う。

焼きたてのプレッツェルを受け取ったが、思いのほか大きい。

さあ食べようと思うが…。

食べる場所がない!

東京駅には、座る場所というものがほとんどないのだ。

といって、食べながら歩くっていうのもなあ。こっちは背広を着ているし。

歩きまわって、プレッツェルを落ち着いて食べることができるような場所を探す。

しかし、駅の中は、人が激しく行き交っており、立ち止まってプレッツェルを食べるような場所がぜんぜんない。

(そういえば、地下に待ち合わせ場所みたいなところがあったな)

そう思ってその場所に行ってみるが、ビックリするくらいの数の人でいて、すべての倚子がうまっている。座る場所などどこにも見あたらなかった。

しかし、このまま放っておくと、焼きたてのプレッツェルが、どんどん冷めてしまう。

(まあいいや。旅の恥はかき捨てだ)

待ち合わせ場所の横で、立ったまま、プレッツェルを食べることにした。

ま、ま、ま、…不味い!

不味い、というと語弊があるな。私の口に合わないのである。

試食で食べさせられたプレッツェルは、砂糖がまぶしてあって、それが幾分、疲れた脳を癒してくれたのであるが、私が買った、「いちばん安いプレッツェル」は、ほとんど味がついていなかったのである!

そして、尋常ではない大きさのプレッツェルを噛めば噛むほど、口の中の水分が奪われていく。慌てて食べたので、喉につまりそうになった。

しかも、待ち合わせ場所の倚子に座っている人たちは、大きなプレッツェルを立ち食いしてほおばっている背広姿の私を、奇異なものを見るような目で見ている。

(ああ、俺はなにをやっているんだろう。このままここで死にたい)

このときほど、死にたい、と思ったことはない。

結論。空腹は最高のソース、とは限らない。

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コメント

 そんな気分の時こそ、京葉線でネズミーランドへGO! 月末までの1週間は、ハロウィーンの「全身仮装日」イベントの最中なのです。
 全身プーさんに着替えてしまえば、焼きたてプレッチェルも気兼ねなく食べられます。部分仮装しか出来ない場合も、仮面舞踏会風の目隠しマスクをグッズ販売しているようですので、タキシード仮面ならぬ背広仮面にでも変身してみてはいかが。

http://www.tokyodisneyresort.co.jp/event/halloween_kaso/index.html#enjoy

投稿: パンプキンこぶぎ | 2012年10月29日 (月) 05時18分

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