意地の力
10月16日(火)
中年まっただ中の人気ローカルタレントが、最近発売された人気テレビシリーズのDVDの副音声で、「最近は、誰からも評価されず、自分がどれだけ苦労をしているかを誰も知らなくとも、自分だけが納得できてやれる、という状況が心地よい」、みたいなことを語っていて、(オレもそういう境地に達したいよなあ)と思って聞いていた。
しかし、やはりまわりの評価、というのは気になるものである。
…と、こんなことを書いたのは、ビックリするくらい、自分の手がけた展示に客が入らないからである。すがすがしいくらいにお客さんが来てくれない。
ふつう、義理でも来てくれるようなものだと思うのだが、それすらない。
「袖すり合うも多生の縁」といって、ご縁があってお仕事を一緒にした人とか、ふだんから敬意を表している人とかに対しては、私自身も、できるかぎり、関心を共有しようと努力しているつもりだが、逆に私に関しては、そういう関心を持たれることがないらしい。
この忙しい世の中、やはりみんな自分のことで精一杯、ということなのだろう。
学生に受付を手伝ってもらっているのだが、様子をうかがいに行くたびに、
「お客さんは誰も来ていません」
という。
その上、昨日せっかく受けた取材も、その日の夕方のニュースで放送されなかった、という話を聞いた。
あの苦労はいったい何だったのか?
性格の歪んでいる私は、完全にひねくれてしまった。
なんか私自身も、努力して周囲に関心を持とうとすることが、バカバカしくなってしまった。
誰も関心を持ってくれないんだったら、いっそ自分が楽しんでしまえばよい。例の「つまらない意地」に火がついた。
…ということで、展示のバージョンアップ、というのを思いついた。
職員のSさんの全面的な協力を仰いで、あるアイデアを形にすることにした。
やらなければならない仕事は山ほどあるのだが、午後の時間のほとんどを、この作業に費やすことにした。もう、こうなれば意地である。
見に来ていただいた方にどれほどの印象を与えるのかはわからないが、それよりも重要なのは、自分のアイデアを形にすることである!
幸いにも3年生の2人に手伝ってもらい、少しだけバージョンアップした展示となった。
まさしくこれは、「意地の力」である。
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コメント
A 「吹きだまり展覧会」のバージョンアップって、ミュージアムグッズ売り場とミュージアムカフェを作ることだったんですね。
B ま、日経トレンディのポッドキャストでも「“ミューめし”で選ぶ美術館」って特集してますし。展覧会の後にグルメって、流行っているようですよ。
A ここがグッズ売り場ですか。「大人の塗り絵」から始まって、キョスニム・ボールペン、キョスニム灰皿、クリスタル・キョスニム(ガラスの立方体内部に鬼瓦全身像を3D
レーザーで彫り込んだもの)、キョスニム夫婦茶碗、キョスニム・カップル・ティー(恋人がおそろいで着るTシャツ)にキョスニム・ヒュンデポンゴリ(携帯電話にぶらさげるアクセサリー)、東方神起の顔面だけキョスニムにすり替えた特大ポスターまでありますよ。
B どれだけ儲けたいんだか。
A しかも金額が「ウォン」で書いてあるから、みんな一桁間違えて高い値段で買っちゃってます。
B ツアー客が帰国前に連れて行かれる悪徳お土産店みたいですね。
A おや、「吹きだまり傑作選」のオーディオブックCDも販売してますね。初回限定版、豪華版、通常版の3形態で発売とは、相当のボッタクリですな。
B そんなことありませんよ。豪華版には、いろんな寺社で収集してきた「昔の落書き」のミニ写真集が入っています。初回限定版には、もれなく「ムサカリ絵馬」のトレーディングカードが入っていまして、これを3枚集めると、鬼瓦さんとのハイタッチ会に参加できますよ。
A 嫌だろ、全部。
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A もうグッズはいいから、カフェで「ミューめし」しましょう。
B ほお、墨俣城並の突貫工事にしては、随分とアート系のオシャレな店構えになってますねえ。
A 本日のランチは「ルクエde温野菜」だそうですよ。
A でも値段が「5,980円」って、高くない?
B シリコンスチーマーの「ルクエ」が5000円もしますからね。もう蒸し野菜には飽きちゃったらしいので、容器もろとも売りつける了見のようです。
A しかも、蒸し野菜なのに「世界の料理ショー」でおなじみの「ギー」(溶かしバター)が、たっぷり入っていますし。
B じゃ、こっちに書いてある「芋煮(ルクエなし)」でいいや。
店員 お客様、申し訳ありませんが、芋煮は売り切れでございます。
B まだお昼前なのに、もう売り切れなの?
店員 もともと作っていないんです。オーナーの「芋煮運」のなさを、お客様にも体験させたいだけのメニューですので。
投稿: こぶぎ | 2012年10月17日 (水) 01時45分
C うまいなあ。
D まるで新作落語ですね。
C ちゃんと、これまでのエピソードを盛り込んでいるし。
D ほんと、落語の三題噺みたいですねえ。
C しかし、このコメント欄でしか通用しないネタばかり。
D なんか、もったいない気がしますねえ。
C しかし、これでますますお客さんが来ない気がしてきました。
D なぜです?
C だって、このコメントを読んだだけで、展示を見た気になってしまうじゃないですか!
D 違う違う!実際はぜんぜん違いますから、みなさん、安心して見に来てくださいねー。
投稿: onigawaragonzou | 2012年10月17日 (水) 23時48分