« 内弁慶ブルース2012 | トップページ | 意地の力 »

実感の湧かない日

10月15日(月)

今日という1日をひと言であらわせば、「実感の湧かない日」である。

午前中、地元民放局の取材を受けた。今週から始まった展示への取材である。

質問に対していろいろと答えたあと、記者兼カメラマンの方が、「インタビュー映像を取りたいと思うのですが、よろしいでしょうか」という。

「いいですよ」

記者兼カメラマンの方は、カメラをセッティングしはじめた。

「では、インタビューをはじめまーす」

と、カメラをまわそうとしたとき、

「あれ?あれ?」

と、三脚に取りつけたカメラをいったんはずして、カメラを確認しはじめた。

「…すみません。カメラに不具合が生じまして…いったん社に戻って、出直してきます」

えええええぇぇぇぇぇっ!!!

私が見たところ、カメラのバッテリーがなかったのだと思うのだが、記者兼カメラマンの方は、「カメラの不具合」としか言わなかった。

まるで、「買い物しようと町まで出かけたが、財布を忘れて愉快なサザエさん」状態ではないか!

30分ほど待ち、記者兼カメラマンの方が戻ってきた。

そんなこんなで、午前中は地元民放局の取材で終わってしまった。

しかし残念なことに、私はテレビを持っていない。

だから、あれだけ長い時間取材されていても、それが夕方のニュースで放映されたのかどうか、まったくわからないのだ。

だから私にとっては、まるで実感の湧かない取材である。

さて午後。

所用があって別の部署に行くと、職員のSさんが言う。

「さっきまで、ミステリーハンターが来ていたんですよ!」

聞いてみると、民放全国ネットの長寿番組で活躍するミステリーハンターのTさんが、うちの職場にやってきて、同僚に取材していたのだという。

「一緒に写真を撮ってもらっちゃいました。それに、サインももらっちゃいました」

と、ツーショットの写真とサインを見せてもらった。

「ロケに同行していたカメラマンの方に撮ってもらいました」

つまり、プロのカメラマンに撮ってもらった、ということである。

午前中の地元民放局の取材は、ひとりの方が、記者からカメラマンから、すべてを兼ねていたが、こちらはさすが全国ネットの人気長寿番組。何人ものスタッフがいたんだろうな。

「うらやましいですねえ」と私。

「どうしてです?」

「だって私は、Tさんがミステリーハンターになる前からの、ファンだったんですよ」

「そうだったんですか?!!」

Tさんは、1980年代半ば頃に、NHK教育テレビの若者向け番組「YOU」で、女性司会者をつとめていた。たしかそれが初レギュラー番組だったのではないかと思う。私はその頃からのファンである。Tさんがミステリーハンターになったのは、その後のことである。

Tさんは、じつにかっこいい。少し小さめのリュックを背負いながら世界を駆けまわる姿は、とくにかっこいいのだ。

「私にとって好感が持てる女性とはですねえ」と私。「ミステリーハンターになる素質がある人なんですよ」

これはちょっと言いすぎた、と、あとで反省した。

「ほんとうに嬉しかったです。まさか一緒に写真を撮ってもらえるとは」とSさん。

しかし、いくら写真やサインを見せてもらっても、ミステリーハンターのTさんが、本当にうちの職場に取材に来たのかどうか、全然実感が湧かない。それもそのはずである。だって、私自身が会っていないんだもの。

そうか!と、はたと気づく。

私が、ミステリーハンターの取材を受けるくらい有名になれば、ミステリーハンターに会うことができるのか!

…何とも浅はかな考えである。ま、ムリだろうな、と思い直した。

分相応に生きよう。

|

« 内弁慶ブルース2012 | トップページ | 意地の力 »

職場の出来事」カテゴリの記事

コメント

「あのう、わ、わ、わたし、ミステリーファンターのTさんにお会いするのがゆ、夢だったんです!!」

初対面の言葉はしどろもどろの、噛みまくり・・・。
(ファンターてなんじゃ)

鬼瓦先生が呼んでくださる時までには、もう少しTさんみたいに颯爽としたステキな女性になっていたいと思います!

投稿: マツコ | 2012年10月16日 (火) 08時28分

そういうときは、誰でも緊張します。
以前、室井滋さんのエッセイ集のサイン会にならんだとき、緊張と照れくささのあまり、「妹がファンなんです!」と室井さんに言ってしまい、「じゃあ、妹さんのお名前を書けばいいですか?」と室井さんに聞かれたので、「いえ、私の名前でお願いします」と答えてしまいました。もう支離滅裂です。

投稿: onigawaragonzou | 2012年10月16日 (火) 21時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 内弁慶ブルース2012 | トップページ | 意地の力 »