実感の湧かない日
10月15日(月)
今日という1日をひと言であらわせば、「実感の湧かない日」である。
午前中、地元民放局の取材を受けた。今週から始まった展示への取材である。
質問に対していろいろと答えたあと、記者兼カメラマンの方が、「インタビュー映像を取りたいと思うのですが、よろしいでしょうか」という。
「いいですよ」
記者兼カメラマンの方は、カメラをセッティングしはじめた。
「では、インタビューをはじめまーす」
と、カメラをまわそうとしたとき、
「あれ?あれ?」
と、三脚に取りつけたカメラをいったんはずして、カメラを確認しはじめた。
「…すみません。カメラに不具合が生じまして…いったん社に戻って、出直してきます」
えええええぇぇぇぇぇっ!!!
私が見たところ、カメラのバッテリーがなかったのだと思うのだが、記者兼カメラマンの方は、「カメラの不具合」としか言わなかった。
まるで、「買い物しようと町まで出かけたが、財布を忘れて愉快なサザエさん」状態ではないか!
30分ほど待ち、記者兼カメラマンの方が戻ってきた。
そんなこんなで、午前中は地元民放局の取材で終わってしまった。
しかし残念なことに、私はテレビを持っていない。
だから、あれだけ長い時間取材されていても、それが夕方のニュースで放映されたのかどうか、まったくわからないのだ。
だから私にとっては、まるで実感の湧かない取材である。
さて午後。
所用があって別の部署に行くと、職員のSさんが言う。
「さっきまで、ミステリーハンターが来ていたんですよ!」
聞いてみると、民放全国ネットの長寿番組で活躍するミステリーハンターのTさんが、うちの職場にやってきて、同僚に取材していたのだという。
「一緒に写真を撮ってもらっちゃいました。それに、サインももらっちゃいました」
と、ツーショットの写真とサインを見せてもらった。
「ロケに同行していたカメラマンの方に撮ってもらいました」
つまり、プロのカメラマンに撮ってもらった、ということである。
午前中の地元民放局の取材は、ひとりの方が、記者からカメラマンから、すべてを兼ねていたが、こちらはさすが全国ネットの人気長寿番組。何人ものスタッフがいたんだろうな。
「うらやましいですねえ」と私。
「どうしてです?」
「だって私は、Tさんがミステリーハンターになる前からの、ファンだったんですよ」
「そうだったんですか?!!」
Tさんは、1980年代半ば頃に、NHK教育テレビの若者向け番組「YOU」で、女性司会者をつとめていた。たしかそれが初レギュラー番組だったのではないかと思う。私はその頃からのファンである。Tさんがミステリーハンターになったのは、その後のことである。
Tさんは、じつにかっこいい。少し小さめのリュックを背負いながら世界を駆けまわる姿は、とくにかっこいいのだ。
「私にとって好感が持てる女性とはですねえ」と私。「ミステリーハンターになる素質がある人なんですよ」
これはちょっと言いすぎた、と、あとで反省した。
「ほんとうに嬉しかったです。まさか一緒に写真を撮ってもらえるとは」とSさん。
しかし、いくら写真やサインを見せてもらっても、ミステリーハンターのTさんが、本当にうちの職場に取材に来たのかどうか、全然実感が湧かない。それもそのはずである。だって、私自身が会っていないんだもの。
そうか!と、はたと気づく。
私が、ミステリーハンターの取材を受けるくらい有名になれば、ミステリーハンターに会うことができるのか!
…何とも浅はかな考えである。ま、ムリだろうな、と思い直した。
分相応に生きよう。
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コメント
「あのう、わ、わ、わたし、ミステリーファンターのTさんにお会いするのがゆ、夢だったんです!!」
初対面の言葉はしどろもどろの、噛みまくり・・・。
(ファンターてなんじゃ)
鬼瓦先生が呼んでくださる時までには、もう少しTさんみたいに颯爽としたステキな女性になっていたいと思います!
投稿: マツコ | 2012年10月16日 (火) 08時28分
そういうときは、誰でも緊張します。
以前、室井滋さんのエッセイ集のサイン会にならんだとき、緊張と照れくささのあまり、「妹がファンなんです!」と室井さんに言ってしまい、「じゃあ、妹さんのお名前を書けばいいですか?」と室井さんに聞かれたので、「いえ、私の名前でお願いします」と答えてしまいました。もう支離滅裂です。
投稿: onigawaragonzou | 2012年10月16日 (火) 21時39分