地方大学あるある
11月7日(水)
地方大学のある地方都市の「あるあるネタ」として、
「至るところで学生がアルバイトをしている」
というのがある。
スーパーのレジ、お弁当屋、喫茶店、居酒屋、本屋…。
とにかく、ありとあらゆる店で、学生がアルバイトしているのである。
そういう店に行くのは、かなり気恥ずかしい。そこで、知っている学生には、それとなくどこでアルバイトしているか、というのを聞いて、そのお店にはなるべく行かないようにする、という防衛策をとる。
だが、こっちが知っている学生ならまだいい。こっちが顔を知っていなくても、学生のほうが私の顔を知っている場合は、こっちが油断している分、なおさら恥ずかしい。
スーパーで、お惣菜が半額になるのを待って、たっぷり買いこんだりして、それをレジへ持っていくと、
「先生!私、1年生の時授業をとってました!」
とアルバイトの学生に言われたりして、
(絶対「セコくて欲張りなやつだ」と思っただろうな…)
と、被害妄想が膨らむ。
さて、この日の夕方。
私が幹事となり、職場の同僚たちと宴会をすることになった。職場の同僚たちとの宴会で、私が幹事をするなんてことは、おそらくはじめてである。
個室のお座敷がある、少しこじゃれた日本料理屋さんを予約した。
聞くところによると、このお店も、うちの職場の学生がよくアルバイトをしているらしい。
たしかに見ると、料理やお酒を運んでくる女性のアルバイト店員が2人いるが、どうやら2人ともうちの職場の学生のようである。
格好つけるわけではないが、こういうとき、私が決めていることがある。
それは、私があくまでも「客」の役割を演じる、ということである。
同僚の中には、アルバイトの若い女性店員をつかまえて、
「キミ、ひょっとして○大の学生?」
「はい」
「ふーん。じゃあうちの学生だ。この中にいる教員の授業を受けたことがあるかもね」
とかなんとか言う者がいたりして、
(何もこんなところでわざわざ教員と学生の関係を確認しなくてもいいのになあ…)
と、思ったりするのである。
私はあくまでも客、アルバイト学生はあくまでも店員である、と、まずは自分に言い聞かせる。
だが、客だからといって、店員に対して大きな態度をとることはできない。なぜなら、アルバイトの学生に不快な思いをさせたら、あとでそのことが評判になる可能性があるからである。だから、慎重に進めなければならないのだ。
同僚たちが集まったので、いよいよ宴会のはじまりである。
今日は幹事なので、お酒の注文をまとめなければならない。
「生ビール10本と、それからジュースを1つお願いします」
「かしこまりました」
…ところが、待てど暮らせど、生ビールが来ない。
それだけでなく、料理もなかなか来ないのである。
夕方6時半開始ということで予約して、料理のコースもあらかじめ指定しているのだから、とりあえず前菜くらいは来るだろう、と思っていたが、なかなか来ない。
ビールも料理も来なければ、「座持ちの悪い」私では、とてもではないがこの場は持たないのである。
(遅いなあ…)
他の同僚たちは、ビールも料理も出ないまま、手持ちぶさたな感じでお話しをしているが、私は気が気でなく、ふすまを開けて、何度も出たり入ったりして、厨房に聞きに行く。
「あのう、生ビールを頼んだんですけど…」
「ただいまご用意しております」
よくよく観察すると、段取り、というか、手際が悪いようである。
冷静に見れば、べつに言うほど手際が悪くないのかも知れないが、幹事の立場からすれば、スムーズに会をすすめなければならないという気持ちが先に立って、どうしてもそのように見えてしまう。
(ちょっと手際が悪いなあ…)
とヤキモキするが、しかし、それを責め立てるわけにもいかない。
その学生が私に対して「超横柄なやつ!」というイメージを持ってしまっては困る。さらにはツイッターとかに「ちょっとくらい料理を出すタイミングが遅れただけで文句言ったりして、あいつ、超横柄!」とかなんとか書かれたら、もう軽く死にたくなる。
…と、例によって被害妄想がふくらんで、終始「ピクニックフェイス」を装うことにした。
なお、その店の名誉のために言っておくと、いったん料理とお酒が出はじめてからは、その後はスムーズな流れになり、宴会じたいは、とても和やかな雰囲気になった。
私だけが、ひとりでヤキモキして、空回りしていただけかも知れない。
…ということで、2時間の宴会だったが、とても疲弊してしまったのでありました。
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コメント
職場の宴会で、卓上に残った料理を持ち帰るのが趣味だった。
前菜に魚料理。ローストビーフからメロンまで。
どうせ捨てられるのだ。もったいないではないか。
なぜか恒例となっている、シメの万歳三唱も済んで、今宵の宴会もお開き。
いつものように持参したマイ・タッパーに詰めて回ろうとすると、学生バイトらしいボーイ君に制止される。
どんな言っても「お持ち帰りはお断りします」の一点張りだ。
食中毒でも起こさないか恐れているのだろう。
「たとえお腹を壊しても、あんたらに一切文句は言いませんから」と、こちらも、売り言葉に買い言葉。
ボーイ君も頑として譲らない。しまいには、体をぶつけてこちらの動きを止めようとする始末。
てめえ、客に向かってふざけんなよ。マネージャー呼んでこい。
マジで声出す5秒前。ふと向こうに視線を投げやると、
上司らしい若い女性マネージャーが、哀しそうな顔でこちらを見ている。
ん? なんか見たことある顔だ。
卒業生のYさんだった。
見覚えあるはずだ。ゼミ生だったもの。
投稿: こぶぎ | 2012年11月10日 (土) 00時52分
そうそう!そういう話を待っていたんですよ!
投稿: onigawaragonzou | 2012年11月10日 (土) 09時51分