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ひとりボージョレーヌーボー

11月16日(金)

そういえば、昨日はボージョレーヌーボーの解禁日だった。

今までまったく興味がなかったが、毎年、何やらみんなが大騒ぎしていて、なかにはみんなで連れ立って飲みに行ったりしているので、

「そんなに大騒ぎするってことは、きっとすごく美味しいワインに違いない」

と思い、スーパーで買ってみることにした。

こういうのを、「ボージョレーヌーボー・デビュー」っていうのか?

家で飲んでみたが、どうもよくわからない。

もともとワインを飲み慣れていないのが原因だが、そもそも、1人で飲んでも、面白くも何ともないのである。

ワインって、どうやって飲むのが正解なの?

私のワイン知識のすべては、アメリカのドラマ、刑事コロンボの「別れのワイン」というエピソードから得たものである。だから私にとっては、赤ワインといえばイタリアワインなのである。

この「別れのワイン」こそは、「刑事コロンボ」シリーズ中の最高傑作ともいわれる。

「殺し」の犯人は、ワイン工場の経営者で、当代随一のワインコレクターとして知られるエイドリアンであるとコロンボはにらむ。しかしコロンボには、ワインに関する知識がまったくなく、犯人にとても太刀打ちできない。そこでワインに関する知識を得ようと、ワイン専門店に行って店の主人に質問する。

「ねえ、あんたならワインについてはたいていのことは誰より知ってるって聞いたんだが…」

「違うね。すべてを知ってるよ」

「知ってること全部教えてくれない?」

「フフッ…わしは40年かかって道を究めたんだよ」

「それじゃあ…1時間半でどれくらいできる?」

「ほんの基礎だけだね」

「それじゃまずねえ…並の酒と上等のと、どこで見分ける?」

「それは……値段だね」

…てな感じでワインを勉強したコロンボは、最後はその知識で、犯人のエイドリアンを罠にかけ、自供に追い込むのである。

しかしコロンボは、自分の命を削るようにして集めたワインを手放さなければならなかったエイドリアンに、同情する。コロンボは、彼を憎むべき犯人としてではなく、ワインに人生のすべてを捧げた、誇り高く気高い人物として、敬意を表していたのである。

最後の場面。逮捕された犯人が、コロンボの車で警察に出頭する。

エイドリアンが手塩にかけて育てたワイン工場の前で車をとめるコロンボ。彼が捕まれば、この工場がこの先どうなるかも、わからなくなるのだ。

「あとはいったい、どうなるだろう…。ぶどう園や、工場は…」エイドリアンがつぶやく。

「なんとか続きますよ…」コロンボはそう言って彼をなぐさめる。

「全生涯を通じて私が真に愛したのは、ここだけだった…」

車の中でコロンボは、1本のワインを取り出す。

「勝手ですが、こんなものを持ってきたんです」

それを見たエイドリアンの顔がゆるむ。

「モンテフィアスコーネ…。最高のデザートワインだ」

「お気に召してよかった」

「…それに…別れの宴にも…ふさわしい…。よく勉強されましたな」

「…ありがとう。…なによりも嬉しいお褒めの言葉です」

そして2人は乾杯する。

シリーズ中、屈指の名ラストシーンである。

…そうか!ボージョレーヌーボーを飲みながら「別れのワイン」を見れば、ワインを楽しめるかもしれない。

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コメント

赤ワインといえば、高カロリーな料理を作りながら呑むのが正解だよな、なあスティーブ。

ちがいます?
こりゃまた、ボジョレーしました。

投稿: こぶぎ | 2012年11月17日 (土) 00時15分

赤江珠緒「TBSラジオ『たまむすび』、今日のFAXテーマは、『ワインって、どうやって飲むのが正解なの?』です。さっそくいただきました、こちら、ラジオネーム『こぶぎ』さんです」

ビビる大木「お!常連さんですね」

赤江「赤ワインといえば、高カロリーな料理を作りながら呑むのが正解だよな、なあスティーブ。…ちがいます?こりゃまた、ボジョレーしました」

大木「何それ?」

赤江「大木君、知らないんですか?」

大木「知らな~い」

赤江「『世界の料理ショー』ですよ!グラハム・カーの!」

大木「何それ?テレビ番組?『どっちの料理ショー』なら知ってるけど」

赤江「私たちが生まれる前に放送してた海外の番組ですよ」

大木「そんなの知るはずないじゃん。あなた、何で知ってるの?ぼくと同級生でしょう!ほんとに同い年なの?」

赤江「…まあまあ」

大木「で、スティーブって何?」

赤江「番組のなかで、グラハム・カーという人が、スティーブっていうスタッフの人に、さかんに呼びかけていたんですよ」

大木「へえ…何でもよく知ってるねえ、あなたは。僕はねえ、最後の『こりゃまた、ボジョレーしました』のところだけ、わかった。これ、『こりゃまた、失礼しました』のダジャレでしょう?植木等さんの。植木等さん」

赤江「あんまりダジャレを説明しないでくださいよ。ここはサラッと流すところです」

大木「いやいや、そうはいかないよ。じゃあこんどは『ボージョレーヌーボー』でダジャレをつくって、FAXで送ってもらうってのはどう?『夕日に向かってボジョレー』とか」

赤江「くだらなすぎますからやめてください。…さて、今日のFAXテーマは『ワインって、どうやって飲むのが正解なの?』です。午後3時まで受けつけておりますので、どしどしお寄せください。このあとは、交通情報です」

投稿: onigawaragonzou | 2012年11月17日 (土) 21時33分

赤江さん、大木さん、いつも楽しく聞いています。

今日はとっても寒いですね。そんな季節はホットワインが一番ですよ(o^ー^o)。

温かいワインと言えばドイツの「グリューワイン」が有名ですけど、フランスにも「ヴァン・ショー」というホットワインがあるんです。

作り方は簡単で、赤ワイン、水、グラニュー糖、クローヴ、柑橘類の皮を加えて、電子レンジでチンするだけ。シナモンスティックでかき混ぜながら頂きます。お好みで、シナモンやカルダモン、ジンジャー、コリアンダーシードなどを加えても美味しいですよ。

赤江さんも一度お試しあれ(^ο^)ゝ

P.S. さっき大木さんが放送で言っていた「日本で初めてワインを飲んだのは信長だった」という話、初めて知りました。

(ラジオネーム こぶぎ君のママ 千葉県浦安市・主婦・26歳)

投稿: こぶぎ君のママ | 2012年11月19日 (月) 20時02分

赤江「こぶぎ君のママさん、ありがとうございました~」

大木「ホットワイン、いいですねえ」

赤江「大木君、ほら、ちゃんと信長に関する豆知識にも反応をいただいておりますよ」

大木「ありがとうございます。もうひとつ、信長に関する豆知識を披露しましょうか」

赤江「ほう、何ですか?」

大木「日本で初めてバナナを食べたのは、織田信長なんですよ」

赤江「またまた~、ホントですかあ?」

大木「ホントですよ!赤江君、あなた歴女でしょう!」

赤江「まあそうですけど」

大木「じゃあこんど、一緒に安土城行きましょうよ、安土城」

赤江「いえ、私はいいです」

大木「何で?」

赤江「先日行ってきましたから」

大木「え?行ってきたの?」

赤江「ええ」

大木「一人で行ってきたの?」

赤江「それは、まあ…」

大木「じゃあ誰と行ったの?」

赤江「まあいいじゃないですか、それは」

大木「何でいつもさあ、誰と行ったかってこと、言わないの?絶対あやしいよ」

赤江「べつに誰と行こうといいじゃないですか」

大木「おっかしいよなあ」

赤江「さて、今日もたくさんのFAXをいただき、ありがとうございました」

…TBSラジオ「たまむすび」月曜日で、いかにも2人が言いそうな会話、でございました(リスナーならわかってくれるはず)。

投稿: onigawaragonzou | 2012年11月20日 (火) 00時24分

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