続・芋煮会運
これまでのあらすじ。
11月10日(土)
今日は学生たちが企画した、芋煮会の日である。
午後3時から職場の近くの川原でやるというのだが、私は夕方まで職場で仕事があり、それが何時に終わるかわからない。おそらくは途中参加である。
午後5時少し前、仕事が終わり部屋に戻ると、携帯電話に留守番電話が入っていた。
「今回の芋煮会の場所は、例年と違って、川沿いにあるプール施設の近くでやっていますので、そちらに来てください」
見ると、10分ほど前に来た電話である。
急いで職場を出て、芋煮会場に向かうことにする。
この時期、5時を過ぎると、あたりは真っ暗になる。
それにくわえて、「川沿いにあるプール施設」は、例年芋煮会を行っている場所からは、さらに遠く離れている。職場から歩くと、20分以上はかかる場所である。
川沿いの道をずーっと歩いていくのだが、川原はまさに「漆黒の闇」で、とても芋煮会をやるような雰囲気ではない。
(本当に、芋煮会をやっているのだろうか…)
歩いているうちに不安になってきた。
早足で歩くこと20分、プール施設のある場所の付近に着いた。
芋煮会をやっているような様子は、まったく見られない。
電話をくれた学生に、電話をしてみる。学生が出た。
「いま、川沿いにあるプール施設の対岸まで来ているんだけど」
「先生、プール施設の対岸に来ているんですか?」
「芋煮会、どこでやっているんです?」
「ちょっと待ってください。いま先輩に代わります」
電話の向こうで、笑い声のような、困惑したような声が聞こえた。
やがて芋煮会を企画した学生が電話に出た。
「あのう…芋煮会、終わってしまいました」
えええええぇぇぇぇぇっ!!!!
終わっちゃったのぉぉぉぉぉ???!!!
電話をくれてからここにたどりつくまで、40分くらいしか経ってないぞ!
いかんいかん、と、私は平静を装った。
「あ、そう。それはご苦労さまでした」と私。
「あのう…このあと、2次会とかを企画した方がいいでしょうか」
「いや、寒いし、いいでしょう。どうもお疲れさまでした」
そう言って、電話を切った。
そしてまた同じ道を、自分の芋煮会運の無さをかみしめながら、職場に向かって歩きはじめる。
(ほんとうは芋煮会なんて、それほど行きたいとは思っていなかったのだ)
私はそう、自分に言い聞かせた。(完)
なぜだろう?書いていて涙がとまらない!
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