さかなクンは偉大だ!
「クニマス」は、かつて秋田県の田沢湖にのみ生息していた、マスの固有種である。1940年代に田沢湖の水質の変化により絶滅したとされていた。
しかしそれ以前に、人工孵化の実験のため、富士五湖の本栖湖や西湖などに卵を送ったという記録が残っており、田沢湖以外で、クニマスが生息している可能性が残されていた。
2010年、「幻の魚」といわれたクニマスが、山梨県の西湖で発見された。当時の報道によると、クニマスを「発見」したのは、「さかなクン」である。
京都大学の教授から、クニマスのイラストを描いてほしい、とさかなクンに依頼があった。イラストレーターとしても活躍するさかなクンは、絶滅したクニマスを正確に描こうと思い、残されているホルマリン漬けの標本だけでなく、各地からクニマスに似たヒメマスを取り寄せ、それを参考にイラストを描くことにした。
送られてきたヒメマスの中に、ひときわ黒色を呈するマスが混じっていた。山梨県の西湖から送られてきたヒメマスである。地元の漁師たちは、これを「クロマス」と呼んでいた。
これはクニマスではないか?さかなクンは、京大の教授のもとをたずね、この西湖のマスを見せた。すると、教授の顔色が変わった。
これはまさしくクニマスである!
かくして、京大の調査チームが、西湖にクニマスが生息していることを確認したが、忘れてはならないのは、たぐいまれなる観察眼を持つさかなクンにより、「幻の魚」クニマスは発見された、ということである。
さかなクンの功績は、いくら強調してもしすぎることはない。
「さかなクンのことを、もっと評価してもいいんじゃないの?なんか、釈然としないよねえ」と妻。
「そうだよねえ」と私。
「さかなクン、さる高貴なお方の前でも、あの魚のかぶり物、被ったままだったらしいよ」
「立派だねえ。尊敬するね」
「高貴なお方の前だったから、かぶり物の魚も高級魚だったりして」
「そういう問題かい!?」
11月3日(土)、京都のまちなかを歩いていて交わした会話である。
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