定点観測
11月1日(木)、実習3日目。
京都自由行動の日である。
実習の初日と2日目が、かなりハードな集団行動のため、学生たちと私のストレスを軽減するために、3日目はいつも自由行動としているのである。この「自由行動の日」があることにより、最終日は、学生たちも私も復活するのである。
京都自由行動の日の午前中における、私の行動パターンは決まっている。それは、喫茶店めぐりである。
京都で唯一好きなところは、喫茶店の数が多いことである。だから、ひと休みする場所に困らない。
私が、半分冗談、半分本気で夢見ていることは、いまの仕事を少し早めに引退して、喫茶店を開いて、その一角に自分の書斎スペースを設けて、そこで小説とかラジオドラマの脚本を書くことである。
それで、どんな喫茶店がいいか、などを夢想するのである。
モーニングセットを食べる喫茶店は、もう10年近くも同じ店である。三条通と烏丸通の交差点近くにある、小さな喫茶店である。
そこは、家族で経営しているらしく、スキンヘッドで眼鏡でヒゲの、ジャン・レノみたいなおじさんと、その奥さんらしき人、そしてジャン・レノのお母さんらしき人が、いつも店にいる。
常連さんらしいお客さんも、けっこういるようだが、ほどほどに空いているのがよい。
そこで新聞を読みながら、モーニングセットを食べる。
「せっかく1年に1度、京都を1人で自由行動できるチャンスがあるんだったら、いろいろな場所に行けばいいじゃん!」という批判が出るかも知れぬ。しかし私は、同じ場所を何度も訪れるのが好きなのである。
ああ、今年も、あのジャン・レノは元気に喫茶店を続けているんだな、と思うと、こちらも元気が出てくるのだ。
言ってみれば私は、「定点観測」が好きなのである。
さて、そこでの朝食が終わると、こんどは三条通にある有名な喫茶店に行く。やはり、年に1度の年中行事である。
そこは、カウンターが円形になっていて、その円形のカウンターの中で、店員さんがコーヒーを作っている。つまり店員さんは、客に囲まれるような形で、コーヒーを作っているのである。
そこでも、(ああ、あの店員さん、まだ頑張っているんだな)と、「定点観測」をする。
ミルクと砂糖の入ったシンプルなコーヒーを飲みながら、そこでしばし、本を読んだりして時間をつぶす。
(さて、午後はどこに行こうかな…)
だいたいその喫茶店で、午後に行く場所を決める。
今日の午後はまず、昨年こぶぎさんにすすめられた本屋さんに行くことにした。
三条駅から電車を乗りついで、K社I店という本屋さんに到着する。
ふつうの本屋さんとは違い、「本好き」「本マニア」にはタマらない品揃えの店である。もちろん、ふつうの本屋さんでも買える本がほとんどなのだが、店内に並んでいる本のチョイスが、タマらないのだ。
しばし時間を忘れて、店内を歩きまわる。こんなにときめきながら本屋の中をうろうろしたのは、久しぶりである。
『はじめてのコーヒー』という本を見つけた。最近出たばかりの本のようである。
帯に「(たぶん)世界でいちばんやさしいコーヒーの本」とキャッチコピーが書いてある。つまり、コーヒーに関する知識がまったくないこの私にもわかる本、ということだ。老後に喫茶店をはじめたいと思う私には、うってつけの本である。将来のために、さっそく買うことにする。
…というか、そこからはじめるのか?道のりは遠いなあ。
あともう1冊、鶴見俊輔の『ちいさな理想』という本を買った。これは、ふつうの本屋さんではなかなか手に入らない本のようである。
あとは博物館をまわり、京都自由行動の1日は終わった。
…おっと、もう1カ所ありました。夜は何年かぶりに、高台寺に行ってきました。高台寺のライトアップは、やはり美しいなあ。以下はそのときに私がふつうのデジカメで撮った写真でございやす、っと。
しばし京都気分を味わってください。
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