レンタサイクルと旅行カバン
11月2日(金)、実習4日目、最終日。
細かいことを書き出すと、きりがない。
いつも頭を悩ませるのは、最終日、どのようにしてスムーズに行動するか、である。
ネックとなるのは、各自の荷物である。
朝、荷物を宿泊先に預けて行動するとなると、荷物を取りに、いったん宿に戻らなければならない。
かといって、朝早くチェックアウトしたあと、いったん京都駅に出て荷物をロッカーに預けてから行動するとなると、かなりの時間のロスとなる。
宿泊先でレンタサイクルを扱っていることがわかった。
レンタサイクルを使えば、午前中にまわる予定の、御所と二条城を、ストレスなくまわることができる。宿泊先から徒歩で移動するには遠すぎるし、といってバスや地下鉄を利用するとなると、何度も乗り換えなければならず、かなり面倒だからである。
で、お昼に宿に戻ってレンタサイクルを返すついでに、荷物を受けとって京都駅に向かえばよい。
我ながら妙案である。
前日の夜、宿泊先の職員さんに聞いた。
「明日、レンタサイクルを利用したいんですが」
「大丈夫ですよ。ただし、うちには10台しかありません」
しかし今回の実習参加者は、私を含めて11名である。
学生10名だけでもレンタサイクルを使わせて、私はそのあとを走ってついていこうか、とも思ったが、それではどう考えても、私が死んでしまう。
「10台ですか…あと1台あればいいんですがねえ」私が言うと、
「手がないわけではありません」と職員さん。
「どういうことです?」
「この近くに、まちかどミナポートというのがあります」
「何です?それは」
「京都市内の各所にある、レンタサイクルの拠点です。ミナポートに行くと、レンタル用の自転車が置いてありますから、所定の手続きをすれば、借りることができます。返すときは、他のミナポートに乗り捨てることもできます」
「はあ」
よくわからないが、とにかくそこに行けば、自転車が借りられるらしい。
さて翌朝8時。
宿泊先から少し歩いたところに「まちかどミナポート」があった。ふつうの駐輪場の一角に、レンタサイクルが置いてあって、それを無人の案内板にしたがって手続きをすると、自転車が借りられるという。
宿で借りるレンタサイクルが1日500円であるのに対し、こちらが1日1000円というのは、少し高いが、背に腹は代えられない。
ようやくこれで、宿泊先から御所、二条城へと、快適に移動することができる。
御所の見学のあと、二条城に到着して驚いた。
駐輪場に「料金200円」と書いてある。
に、200円???
自転車をとめるのに、お金を取るのか?しかも、見学時間は、正味のところ1時間半程度である。
駐輪場を担当しているおじさんがやってきた。
「とめはりますか?おひとり200円かかりますよ」
「二条城に見学に来たんです」
「じゃあ、とめなあきませんねえ」
「あのう、ここ、有料なのでしょうか?」
「そうですよ」
「二条城を見学する人間も、有料なのですか?」
「そうです。うちは、二条城さんとは関係ありませんから」
つまり、たまたま、二条城の隣で、駐車場や駐輪場を経営しているに過ぎない、というのだ。
「でも、二条城の駐輪場、というのは、ないんですよね?」
「ありません」
つまり、自転車で二条城に来た一行は、もれなくこの駐輪場にとめなければいけないということである。
なんか、腑に落ちないなあ。二条城の入場料は600円。それとは別に、200円の駐輪料金。さらに、自転車は1日1000円で借りているのだ。なんで、駐輪料金に200円も取られなければならないのか?
せこい人間、と思われるかも知れないが、腑に落ちないものは、腑に落ちないのだ。
仕方ない、といわれればそれまでである。京都は観光客に冷たい、とは聞いていたが、京都を訪れれば訪れるほど、そのことを実感する。
御所と二条城の見学を終え、自転車を宿に返却する。もちろん私も、「まちかどミナポート」に返却した。
宿に預けていた荷物を受けとって、市バスに乗って、京都駅に向かう。午後は京都駅のコインロッカーに荷物を預けて、駅近くのお寺を見学することになっているのだ。
小旅行用のスーツケースを持ってバスに乗ろうとすると、バキッ、と、イヤな音がした。
スーツケースの取っ手が、コントのように取れてしまい、スーツケースを引っぱることができなくなってしまったのだ。
なんだかなあ。
夕方、実習自体は無事に終わったが、私の中には、何だか腑に落ちない感じが残った。
やっぱり、京都とはウマが合わないのかもしれないなあ。
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