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妄想オーケストラ

12月8日(土)

(ラジオのフリートーク風に)

ぜんぜん原稿が進みませんでね。

夕方、うちの職場の学生たちがやっているオーケストラの定期演奏会を聴きに行ったんですよ。前回に続いて2回目ですけど。

最近、招待されないところに顔を出す、というのがマイブームでして。昨日のモギ裁判もそうだったんですけど。今回も、ビックリすることに、知っている学生が1人もいない。

ああいう演奏会って、招待券をもらったから行くっていうのがふつうなんですよ。とくに教員の場合はたいていそうです。でも僕の場合、誰からも招待券をもらってないから、ふつうにひとりで当日券を買って入るんです。しかも、職場に貼ってあるポスターを見て知ったっていう。いませんよね?そういう人。でも、それがなんか楽しくなっちゃって。

演奏がはじまって、ずっと舞台の演奏者を見ていたんですけど、コントラバスを演奏している人の中に、一人だけ、見覚えのある男子学生がいたんです。

コントラバスってわかります?バイオリンはわかりますよね?バイオリンを、人間の背丈ぐらいの高さまで大きくしたやつです。ほら、むかしマギー司郎が「こんなにおっきくなっちゃった」っていうギャグで使っていたやつです。

…あれは「耳」だったかな。とにかく、低い音を出す弦楽器です。

その学生は、眼鏡をかけていて、…うーん。失礼な言い方になるかもしれないけど、いってみれば素朴でまじめな田舎の青年、という雰囲気なんですね。

で、なんで見覚えがあるかというと、2ヵ月くらい前だったか、歩いて通勤をしていると、職場の裏門のところで、車からコントラバスを出している2人の男性がいて、そのうちの1人がその青年だったんですね。

で、もう1人は、その青年のお父さん。

なんでわかったかというと、ビックリするくらい顔がそっくりだったんですもん。絶対お父さんだな、と。つまりお父さんの車にコントラバスを積んで、学校にやってきたんですね。

で、そのお父さんというのは、、やはり素朴というか、クラシック音楽とはまるで無縁な感じの雰囲気な人で…。

で、そのとき思ったのは、「この青年は、どうしてコントラバスという楽器をやろうと思ったんだろう?」と。お父さんの影響とかではなく、たぶん自分で「コントラバスを演奏したい」と思ったんだと、思うんですよ。

最初に「俺、コントラバスをやりたい」と家族に切り出したときは、家族は驚いただろうなあ、と。

「父ちゃん、俺、コントラバスをやりたいんだ」

「コントラバスって、何だ?」

「オーケストラで使う楽器だよ」

「おめえ、オーケストラに入りてえのか?」

「うん」

「そうか。おめえが初めて自分からやりたいと言い出したことだ。おめえがやりたいならやるがいい」

「ありがとう、父ちゃん」

数日後、コントラバスが家に届く。

「コントラバスって、こんなに大きいのか!」

家族中でコントラバスの置き場所をめぐって大騒ぎ!

家でコントラバスを練習しようとすると、

「うるせえ!」

といわれる始末。

…なんて妄想がふくらみまして。というのも、僕自身も高校のとき、そうだったんですよ。

高校1年になって、吹奏楽団でアルトサックスを演奏したい、って思って、親にいきなり言ったんだ。

「アルトサックスがほしいんだよ」

「何それ?」

「吹奏楽部で使う楽器だよ」

「おまえ、吹奏楽なんてやるの?」

「うん。だから何も言わずに25万円出してくれよ!」

うちは決して裕福な家でもないし、音楽一家でもないんですよ。親も、まああいつが言い出したことなんだから仕方がないと、買ってくれましてね。

休みの日なんか、家の中で練習しようとすると、近所迷惑になるくらいでかい音が出るわけですよ。「うるせえ!」と。

まあそんな感じで、自分と重ね合わせながら、(今日は、その青年にそっくりなお父さんも聴きに来ているんだろうなあ)なんて想像しているうちに、1曲目が終わっちゃった。

あと思ったのは、トランペット。トランペットですよ。

トランペットとかコルネットといった金管楽器を担当している学生が4人、舞台のいちばん後ろにいたんですけど、ベートーベンとかブラームスって、トランペットとか、ほとんど活躍しないんですよね。

これが吹奏楽だったら、トランペットは花形楽器ですよ。主旋律を奏でる楽器です。

でもクラシックでは、僕の勝手な見方ですけど、トランペットは、持てる力の10分の1も出していないんじゃないかなあ。

何というか、力をもてあましている、という感じ。

で、そういうときに、クラシックでトランペット吹いてる人の心境ってどうなんだろう、と思ったり。「本当は吹奏楽じゃあ俺たちは花形なんだ。やればできるんだ。今は君たち弦楽器を引き立てるために押さえてやってるけどね!」みたいな感じなのかなあ。

そこへ行くと、同じ金管楽器でも、ホルンはいいよねえ。吹奏楽でも、管弦楽でも、オイシイところをちゃんと持っていくもんなあ。

演奏を聴いていても、どうしても、地味なところとか、マイナーな楽器とかに目が行っちゃうんだよね。孤軍奮闘しているティンパニーとかね。そういうのを見ていると、「頑張れ!」って思っちゃう。

久しぶりに演奏を聴いて、また吹奏楽がやりたくなったなあ、と、思ったり思わなかったり。

ま、そんな感じでした。ではここで1曲。昨日、ドラマ「合い言葉は勇気」の話をしましたんでね。「威風堂々」です。

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