鎮痛剤をさがす旅
12月19日(水)
先週末のイベントの翌日から、左足が痛みはじめた。例の病気である。
土曜、日曜と、あれだけの量の生ビールを飲めば、そりゃあ、足も痛くなるさ。
週末の国際シンポジウムには、夏に韓国の調査でお世話になったI先生もいらしていた。「日本に来たら生ビールを思う存分飲みたい」と言っていたので、私もおつきあいしたのである。
月曜、火曜と、だんだんと痛みがひどくなってゆく。だが今日は、朝イチの授業を早めに切り上げたあと、出張のため福岡に向かわなければならない。
まず羽田空港に向かうために東京行きの新幹線に乗らなければならない。だが、月曜から始まった足の痛みは、ますますひどくなるばかりで、歩くのもかなり億劫になる。ここは何としても早めに手を打って、鎮痛剤を買わなければならない。
その鎮痛剤は、かつては医者の診察がなければもらえなかったが、いまでは薬局で、薬剤師の処方を受けて買うことができるようになったのである。
朝10時。足を引きづりながら、駅ビルの中にある薬局に向かう。
レジの後ろに、目的の鎮痛剤があった!
しかし、である。
「薬剤師が不在なので、お売りすることはできません」という貼り紙が貼ってあるではないか。
たしかにレジにいるのは、ごくふつうの女性であり、薬剤師っぽくない。
(困ったなあ…)
そこに、白衣をきた小柄の青年がやってきた。
(薬剤師が来た!)
その青年に聞いてみた。
「あのう…鎮痛剤がほしいんですが」
「申し訳ありません。この鎮痛剤は薬剤師の処方がないとお売りできないんです。11時半にならないと、薬剤師が来ませんので」
「え?あなた、薬剤師じゃないんですか?」
「僕は違いますよ」
「だって、白衣を着ているじゃないですか」
「これはただ、白衣を着ているだけですから」
まぎらわしいなあ!薬局で白衣を着ている人を見たら、誰だって薬剤師と思うじゃないか!
「急を要するんですが…」と私。
「そう言われましても…」
仕方がないのであきらめた。
さて、新幹線とモノレールを乗りついで、羽田空港に到着した。
チェックインをすませたあと、痛い足を引きづりながら、空港内の薬局を探す。
ようやく見つけた薬局は、店の構えが小さかった。
はたして鎮痛剤があるかどうか不安に思ったが、レジの人に聞いてみた。
「あのう…鎮痛剤、置いてありますか?}
「ございますよ」
よかった!これで買える!
「ただ、申しわけありません。いまちょうど、薬剤師が休憩中でして…1時間後にならないと戻ってこないんです」
ええええぇぇぇぇぇっ!!!
薬剤師って、そんなに余裕のある勤務形態なのか???
「すいません。急を要するんですが」
「それでしたら、地下1階にもう1軒、ドラッグストアがありますので、そこならば薬剤師がおります」
「地下1階ですか?」
「ええ。ここは2階ですから、エスカレーターで降りていただくと、地下1階に着きます」
ということで、痛い足をまた引きずって、ようやく地下1階のドラッグストアに到着した。
薬剤師の処方を受けて、ついに鎮痛剤を手に入れたのであった!
そして再び、痛い足を引きずりながら、出発ロビーのある2階へと戻った。
…なあんだ。それだけのことか、と思うかも知れないが、足の痛い人間にとっては、かなりの大移動である。
夕方、福岡に到着した。はたして、仕事は無事に終わるのか?
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