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目の前を生ビールが行き交う

12月20日(木)

鎮痛剤を飲んでも、左足の痛みがひかない。

最も恐れているのは、痛風の発作が起こったことを、調査団のメンバーに知られることである。

「どうしたんですか?」と聞かれて説明するのが面倒くさいし、なにより「大丈夫ですか?」と心配していただいても、どう答えていいかわからないのだ。

面倒くさいので「大丈夫です」と、とりあえず答えることにしているが、本当は大丈夫でも何でもない。とにかく痛いのだ。

できるだけ悟られないように、ふつうに歩くことを心がけた。

朝9時、調査先に集合すると、私の歩き方を見るなり調査団長がおっしゃる。

「なんだ?また痛風か」すぐにばれてしまった。

「はあ」

「大丈夫か?」

「ええ、まあ」

やがて、調査団のメンバーが次々に気づきだした。

「大丈夫ですか?」「足、どうしたんですか?」

いちいち説明するのが面倒くさい。

「ええ、大丈夫です。こんなの、どうってことはないです」

そうは言いながらも、じつはとても痛いのだ。

「どんな感じで痛いの?」同世代の研究仲間のTさんが私に聞いた。

「たとえて言えば、足のくるぶし、ありますよね」

「うん」

「足のくるぶしのところの皮膚と骨との間に、親指大の小石がずーっとはさまっているような感覚です」

「うわぁー、そりゃあ痛いね」

「とにかく発作が起きると、痛くて痛くて、何事においてもがふだんの3分の1くらいのやる気しか起きなくなります」

「そりゃあ、困るね」

実際、いままでふつうに歩いていた廊下や階段を歩くのが、極端に億劫になるのだ。ちょっと移動するだけでも、他の人よりかなり後れをとりながら歩くことになる。これが私に、ある種の屈辱的な感覚をもたらすのである。

それでも、何とか今日の調査を終えた。

終わってからは、恒例の宴会である。早く帰りたかったが、そう言い出せる雰囲気でもなかった。

入った場所が、地元の料理の美味しい居酒屋である。

「今日は、お酒を飲みなせん!」と宣言した。

他のメンバーたちは、そんな私の宣言など、知ったこっちゃないというばかりに、どんどんビールだの、お酒だの、焼酎だのを注文する。

私の目の前を、何杯の生ビールが行き交ったことだろう。

やはり痛風は、私に屈辱的な感覚を与えているのだ!

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