青春デンデケデケデケ
前回の記事を書いたあと、一つ思い出した。
田舎町の高校生が、ラジオから流れてくるロックを聴いて、とつぜん音楽に目ざめ、家族を説得して楽器を手に入れ、バンドを結成し、さらに練習場所を確保するためにあちこち奔走して、やがてバンド演奏を実現していく、というお話。
そう!芦原すなお『青春デンデケデケデケ』である!1990年の直木賞受賞作!
大林宣彦監督によって映画化もされた(1992年)。大林監督にしては珍しく「男子生徒」を主人公にした映画だが、実は「大林映画」の中で、「異人たちとの夏」とならんで、私がいちばん好きな映画である。
舞台が、香川県観音寺市、というのも、ちょうどよい。
地方に住んでいる高校生が、ラジオから流れてくるロックに目ざめたときの高揚感。
バンドのメンバーを集める様子は、さながら「七人の侍」を思わせる。
家族を説得して、楽器を手に入れることに知恵を絞り、練習場所を確保するのに頭を悩ませる。
当初はほとんど相手にされなかった彼らが、まわりの人たちに後押しされて、しだいに注目されてくる。そして夢の舞台が実現する。そこには、大人たちの温かいまなざしがあった。
「夢の舞台」が終わった後、高校卒業を控えて、バンドは解散し、仲間たちはそれぞれの道を歩みはじめる。その寂寥感。
そのすべてが、「身に覚えのあること」だ。
私はこの映画に、どれほど自分を重ね合わせたことだろう。
…そんなことを、とつぜん思い出した。
体育会系だけではない。文化系だって、それなりに青春していたのだ!
高校時代、文化祭とか体育祭の前日に、ワクワクした思い出のある人、「高校時代」と聞いて「青春」という言葉を連想する人は、絶対に読むべきである、そして見るべきである。『青春デンデケデケデケ』を!
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