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23年目の初仕事

1月26日(土)~27日(日)

この週末、東京の西隣の県でおこなわれるシンポジウムで、パネラーとして参加した。

誘っていただいたのは、このシンポジウムを企画したHさんである。私が大学3年の夏休みに参加した「山中の調査」で、たいへんお世話になった方である。

そのころの私は「クソガキ」で、「山中の調査」では、一緒に参加した仲間たちとかなりむちゃくちゃなことをしたりして、この調査を主催した職場につとめていたHさんに迷惑ばかりかけていた。当時、Hさんは20代の後半くらいだったのではないかと思う。

しかし、私にとっては結果的に、今の道を進むきっかけを与えてくれたひとりである。大学3年当時は思ってもみなかったことだが、その後私は、Hさんと同じような関心で、その後の仕事の方向性を定めるようになったのである。

この稼業についたあとも、たびたびHさんとお会いする機会があったが、そのたびに、私には実直に接してくださる。

(大学3年の時の私は「クソガキ」だったんですから、そんなに実直に接していただかなくてもいいんですよ)

と、何度も喉元から出かかった。

今回のシンポジウムにも、丁寧なご依頼をいただいた。

私からすれば、いや、むしろ私の方が、喜ぶべきことである。

ようやく23年経って、一緒に仕事ができるのだ。

やっとここまできたか。

しかし、である。

私はこのところ、ずっと忙しすぎた。

とりあえず、発表当日に配布する原稿は昨年末に送ったものの、それから、まったく準備をしていない。

前日の金曜日、仕事の合間をぬって、慌てて準備をする。

準備をするうちに、以前送った原稿が、いかに不備なものであるかに気づく。

「あちゃー!」

という言葉が、口をついて出るほどだった。

(仕方ない、あとは自分の出番の直前まで準備しよう)

ドタバタで新幹線に乗り込む。

そして当日を迎えた。

1日目のパネラーのみなさんの発表は、じつに周到で、面白かった。そのことが私を、ますます不安にさせた。

(困ったなあ…)

初日の懇親会もそこそこに、私は、職場から山ほど持ってきた資料を、翌日の自分の発表の直前まで読み続けた。

2日目(日曜)の午前。

なんとか50分の発表を終えた。うまくいったのかどうかはわからなかったが、精一杯のことはしたつもりである。

午後はパネラーが壇上に上がって、討論の時間である。

ほかのパネラーの方々のお話が刺激的で面白かった。私も少しだけ発言したが、あっという間に討論が終わった。

こうして2日間のシンポジウムは、無事終了した。

電車の時間があったので、挨拶もそこそこに、会場を出発して駅へと向かう。

私はあまり役に立たずに終わってしまったが、他のパネラー方々の発表が力のこもったものばかりだったので、企画者のHさんは安堵されたことだろう。

私は、いつかまたリベンジだな。

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