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ラーメンといえば思い出す顔

1月28日(月)

昼休み、職場に内線の電話が入る。同じ部局の年上の先生からである。

「ひとつお願いなのですが」

何だ?また仕事の依頼か?

「何でしょう?」

「あのう、…ラーメンお好きですか?」

「ラーメンですか?」

「ええ」

「好きですけど…」

「それはよかった!」

「一体どうしたんです?」

「実は地元のテレビ局から取材の依頼が来まして、そのテーマが、『屋台のラーメン』なのだそうです。で、うちの部局の誰かに、屋台とラーメンの文化について、短くてよいのでぜひコメントをほしいと言ってきたんです」

「屋台?ラーメン?どうして私なんです?」

「誰か紹介してくれ、という依頼が来たとき、どういうわけか真っ先に浮かんだのが、M先生の顔なんです。先生なら、たぶんラーメンが好きだろう、と思って…」

「そりゃあ、好きですけど…。たしかにラーメン屋にはよく行きますけど、屋台のラーメン屋には、ほとんど行きませんよ。第一、この地域に屋台のラーメン屋なんてあるんでしょうか?」

「実は私も行ったことがないのです」

この雪国で、ラーメンの屋台が出ているはずはないのだ。その番組は、いったいどういうコンセプトなんだ?

「でも、どうしてもうちの部局の誰かのコメントが欲しいそうで…」

何と私は、部局にいる80名ほどの同僚の中で、「ラーメンが好きそうな同僚」の栄えある第1位に選ばれたようなのだ!

「ラーメンだけじゃなくて、『屋台』というしばりがあるんでしょう?この地で、屋台のラーメン屋に入ったことのない人間が、コメントなんてしていいんでしょうか?」と私。

「他に適当な人が思い浮かばんのです。屋台文化とか、ラーメン文化について語ってもらえばいいと思いますよ」

よっぽど私は、「屋台通」「ラーメン通」に見られているらしい。

しかし私は「屋台通」でも「ラーメン通」でもない。そんな人間が、したり顔で屋台文化だのラーメン文化だのを語る資格などないのだ。

私は、他の人に矛先を向ける作戦に出た。

「あのう…隣のフロアの若い同僚たちの中に、適当な人材がいるんじゃないでしょうか?」

「誰です?…わかった!I先生でしょ!」

I先生は私とほぼ同世代で、しかも私と同じ体型である。

「いえ、…たとえば…N先生とか」

「N先生!そんなことありえませんよ!N先生が屋台でラーメンを食べるとは思えませんよ!I先生ならわかりますけど」

若くてイケメンでスマートなN先生は、ラーメンを食べないってか?

やっぱり、「体型」で選んでいるのだ。

「そうだ!」私は思い出した。「S先生はどうです?」S先生もやはり私と同世代で、同じ体型である。「そういえば以前S先生と、美味しいラーメン屋の話で盛り上がったことがあります」これは、本当の話である。

「S先生ですか。なるほど」どうやら納得されたようだった。

やっぱりぜったい「体型」で判断してるよな。

「とりあえず、S先生に連絡をとってみます。それでもし難しいようだったら、先生にまたお願いするかも知れません」

そういって電話は切れた。

その後、今に至るまで連絡は来ていない。

はたしてどうなることやら。

もし私が、テレビの中でしたり顔で「屋台」とか「ラーメン」について語っていたら、ごめんなさい、「あいつ、とうとう魂を売ったな」と思ってくださいまし。

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