味方はこの5人
2月21日(木)
「Mさんのアウェイ感、半端ないっすよねえ」
最近の私をよく知るある人の言葉である。とくに最近は「羅生門」状態なので、なおさらその感を強くする。あまり人と話す気が起こらないのもそのためか。
この日、朝9時に始まった卒論発表会が、夕方5時過ぎに終了した。7時からは「追いコン」である。学生40名、私を含む同僚6名が参加する、大所帯である。
追いコンでは、4年生が一人一人挨拶をするが、私の指導学生はみんな、私に対して「迷惑をかけてすみませんでした」と謝罪した。迷惑をかけられた覚えはない。むしろ、口うるさく卒論の書き直しをさせた私の方が、彼らにとっては迷惑だったのではないだろうか。
「では次に、先生方からご挨拶をいただきます」
私が最もイヤな瞬間である。
ほかの同僚たちは、いずれもすばらしいメッセージを学生たちに伝えたが、私は例によって、自己嫌悪に陥るほどの挨拶しかできなかった。
一通りの挨拶が終わり、一段落すると、学生たちは思い思いの場所に行って歓談をする。私はひどく落ち込んで、一人でビールを飲んでいた。
すると私の指導学生5名が、私の前にやって来た。
「先生、卒論の際には、ありがとうございました」
不意の挨拶に驚いた。
「いや、むしろ私の方が申し訳ない気がしてねえ。みんなにずいぶんひどいことを言ったんじゃないかと」
「そんなことはありませんよ」
そう言うと、彼らは私に、大きな花束を渡した。いままで私がもらったことのない、大きな花束である。
「あと、これお菓子です。めっちゃおいしいんで、食べてください」とCさん。時節柄、このところいろいろな方から甘いお菓子をもらっていたが、たぶんこれで打ち止めだろう。
「ありがとう」私は彼らに感謝した。
ふと思う。
最後まで私の味方なのは、この5人だったのではないか、と。
そのことに、今更ながら気づいたのである。
なかでも、比較的よく仕事部屋に来たのは、Cさんである。
たまに仕事部屋に来ると、昨今の大学生事情について、その感情の機微に至るまで解説してくれた。私にとっては、得がたい味方だった。
あの、他愛もない「イマドキの大学生」の話が聞けなくなるのかと思うと、少し寂しい。
「…で、そのジェットコースター、出発したかと思ったら、2秒ほどでいきなり時速172キロになるんですよ」
「うそだろう」
「本当ですよ!カウントダウンが始まって、『3,2,1、ドーン』みたいな」
Cさんのその言い方が可笑しく、2次会で何度も大笑いした。
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