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甘いものは続く

3月26日(火)

予定していた明日(水曜)の出張が延期になり、ぽっかりと時間が空いた。

時間が空いた、といっても、やることはたくさんある。

耐震工事が終わり、仮の仕事部屋から本来の仕事部屋に戻ったときに運んできた本のダンボールが、実はまだ荷解きされないまま、職場の各所に100箱ほど置いてある。

それを早く、本来の仕事部屋の本棚に配架しなければならない。

ええぇぇぇぇ???まだやってなかったの?

と、このブログの読者からお叱りを受けるかも知れないが、「得意の先送り」でそのままにしておいたものを、いよいよ新年度がはじまるので、その前に片付けなければならなくなったのである。

ブログの読者、で思いだしたことだが。

私は、「こんなブログを書いているんで、ぜひ見てください!」と宣伝したことは、始めたばかりのころに、自分の受け持っていた学生たちと、ごく親しい友人数人に宣伝したほかは、いっさいない。

ところがどういうわけか、この「地下秘密ブログ」が、自分のあずかり知らぬところでも広まるようになった。ま、今のところ実害がないので、そのままにしているが。

一昨日(24日)のボランティア作業のあとの帰りの車の中で、同い年の盟友・Uさんに、何かのはずみで私がブログを書いていることを知られたのであった。

「ちょっとショックだなあ」とUさん。「オレ、Mさんのこと、けっこう友達だと思っていたのに、ブログ書いていたなんて、知らなかったぜ」

「同業者には言わないことにしていたんですよ」

たしかに、盟友のUさんに教えていないのは、まずかったかも知れない。

しかし、顔の広いUさんに知られると、知られたくない人にまで広まってしまうのではないかと、つい心配してしまい、今の今まで黙っていたのだった。だがそれでは、Uさんにあまりにも失礼である、と思い直した。

私は自分のブログのタイトルをUさんに教えた。

ただ、Uさんのことだから、すっかり忘れているかも知れない。

「お詫びに、お宅まで送りますよ」

車で来ていた私は、Uさんを家まで送ることにした。

「なんか、タクシー代わりみたいで悪いなあ。この借りは、絶対返しますよ」

Uさんらしい義理堅さである。私はこのUさんの義理堅さに惚れ込んだのだ。

…それが一昨日の出来事。今日書きたいのは、そんなことではない。

憂鬱で原稿を書く気も起きないし、本のダンボールを荷解きして部屋を整理しようと思っていたところ、「今日は、職員のSさんの最後の出勤日ですよ」と聞いた。

この職場で3年間勤めたSさんは、4月から新天地で専門を活かした職に就くことになった。

Sさんには、本当にお世話になった。私が企画したイベントが成功したことの何割かは、Sさんの作ったポスターやチラシの効果であることは間違いない。

本来の仕事ではないにもかかわらず、私が企画するさまざまなイベントに「楽しんで」つきあってくれたことは、私にとってはありがたいことであった。

午後、Sさんの勤務する部局に顔を出すと、

「午前中は、入れ替わり立ち替わりお客さんが来て、タイヘンだったんですよ」と、Sさんの上司のTさん。

職場の内外の人たちに愛されていたSさんだから、それはそうだろう、と思った。

「T君も来てくれたんですよ」

そうか、卒業生で職員のT君も来てくれたのか。彼もまた、Uさんと同じでとても義理堅い人間なのだ。

「一つ困ったことが」とTさん。

「何です?」

「今日はお客さんがみんな、Sさんのためにケーキを買ってきてくれたんです」

「はあ」

「それで、私たち職員2人では、とても食べきれませんから、先生にも食べていただきたいんです」

「いいですよ」

「ノルマは2つです」

「2つ???!!!」

いくら甘いものが好きだと言っても、ケーキを2つ食べるというのは、かなりきつい。

それに、昨日卒業生からもらった「カフェ・オ・レ大福」も、賞味期限が今日までなので、それも今日中にひと箱全部食べきらなければならない。

しかしどうしても、と言われたので、「sugar尿illness」を覚悟でケーキを2ついただくことにした。

さしずめ「甘いものを処理する機械」だな。

甘いものというのは、どうしてこう「続く」のだろう。以前も同じようなことがあった

すっかりお邪魔してしまったので、仕事に戻ることにした。

部局を出てから、

(そう言えば、ちゃんとお別れのご挨拶をしなかったなあ)

と思った。いつものように、「ではまた」と言って、出てきてしまったのである。

大人なんだから、ちゃんと気の利いた挨拶をすればよかったなあと思ったが、そこが私の限界である。

別れ、というのは、なかなか実感がわかない。

それが、予定されたものであっても、不意のものであっても、である。

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