« 冷凍庫の中の発見 | トップページ | マイナスをゼロにする仕事 »

会うは別れの始め

3月15日(金)

「春は別れの季節」とは、あまりに陳腐な言葉だが、真実なのだから仕方がない。

午後、3年生のXさんが訪ねてきた。目を真っ赤に腫らしている。

最初は花粉症なのかな、と思ったが、そうではなかった。

「昨日、サークルの4年生の追いコンがあったんです。これで4年生の先輩たちとお別れかと思うと、もう涙が止まらなくなっちゃって」

「いろいろと面倒見てもらったんだろうね」

「ええ。もう本当にお世話になっちゃって。で、絶対に追いコンを成功させようと、一生懸命に準備して、サプライズ企画も考えたんです。そしたら、4年生の先輩方が号泣しちゃって、それを見て、私も泣きそうになっちゃって」

「でも、あなたのことだから、そこでは泣かなかったんでしょう?」

「そうです。で、全部終わって、家に帰って1人になったら、急に悲しくなっちゃって、涙が止まらなくなって。朝起きても、ずーっと泣いていて」

なんか、青春だなあ。

「こんなにたくさんの人といっぺんに別れるなんて、生まれて初めてのことなんです。就職して大阪に行く人がいたり、九州に行く人がいたり、そうなると、もうほとんど会えないでしょう?」

そう言いながら、感極まったのか、Xさんの目は真っ赤になった。

「人のために泣けるというのは、大切なことだよ。これから社会に出たら、そんなことのくり返しだよ。『会うは別れの始め』って言ってね」

「会うは別れの始め」とは、映画「男はつらいよ 僕の伯父さん」の中で、寅次郎が泉ちゃん(後藤久美子)に言う台詞である。

「4年生に渡す色紙に、書きたいことが多すぎて、何を書こうか迷っちゃって、…で、結局平凡な言葉しか書けなくて…。そのときに思ったのは、私も、色紙にたくさん書いてもらうような4年生になろう、と。後輩に私のことを覚えてもらうために、まだまだ頑張らなくっちゃって。だから、来年になっても、サークル活動は続けるつもりです」

次第にXさんの顔が晴れやかになった。

「すみません、先生にこんなことお話しして。でも、すっきりしました」

そう言って、Xさんは帰って行った。

私の周りでも、別れの季節である。

遠く離れた部署に異動することが決まった人、新天地で新たな仕事につく人、仕事の都合で、他県に移る人…。

今年度は不思議なことに、知り合ってまだ1年~3年くらいしか経っていない人たちばかりが、去ってゆく。それも、これからも一緒に仕事をしたいと思っていた人たちばかりである。

やはり「会うは別れの始め」なのだ。

新天地で、幸あれ。

|

« 冷凍庫の中の発見 | トップページ | マイナスをゼロにする仕事 »

職場の出来事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 冷凍庫の中の発見 | トップページ | マイナスをゼロにする仕事 »