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おろそかには食わんぞ

4月12日(金)

職場の掲示板に、授業料納入のお知らせが貼ってあった。

半期で26万7900円、1年で53万5800円か。

「払う側からすると、あっという間にお金が消えてなくなる、って感じなんですよ」

親として授業料を払った経験のある同僚の言葉。たしかに、表面的には、それで何かを得たわけではないので、「お金が消えてなくなる」という感覚なのだろう。

「そう考えると、おろそかにはできませんねえ」と私。

このとき私が思い出したのは、映画「七人の侍」の一場面(また始まった)。

百姓たちは勘兵衛(志村喬)という侍に、白い飯をたらふく食わせるから、どうか村を野武士から守って欲しい、と懇願する。

「ただ飯を食わすだけではな…。いや、よほどの物好きでないかぎりこれはつとまらぬ」

百姓の依頼に難色を示す勘兵衛。

横で見ていた人足が、たまらず勘兵衛に言う。

「おい、お侍、これを見てくれ!」人足は、白い飯の入った椀を勘兵衛に向ける。「こいつは、お前さんたちの食い分だっ!ところが、この抜け作どもは何食ってると思う?…稗(ひえ)食ってるんだ!自分たちは稗(ひえ)食って、お前さんたちには白い飯食わせてんだっっ!!百姓にしちゃ精一杯なんだっ!何言ってやんでぃ!」

「わかった… もうわめくな」勘兵衛は人足にそう言ったあと、人足から白い飯の椀を受け取り、それを百姓たちに向けて言う。

Photo 「この飯、おろそかには食わんぞ」

かくして勘兵衛は百姓の願いを聞き入れ、命がけの戦いをすることを決心する。

この映画で、いちばんカタルシスを感じる場面である。

たしかにそうだよなあ。1年で53万5800円は、おろそかにできない。

「おろそかには食わんぞ」

この言葉を忘れないようにしないと。

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