絶対に薦められない大林映画
アラフォーのオッサンたちにとって、これは「あるある」ネタなのかどうか、わからないが。
「大林宣彦監督の映画は、他人に薦められない」
大林映画のファンなら、そう思った経験があるのではないだろうか。
私も大林監督の映画のファンなのだが、かといって、他人に薦めたいとは思わない。
事実、妻はまったく理解を示していないし、私も、妻に理解してもらおうとは思っていない。
要は、監督のキャラクターも含めて、あの世界観に浸れるかどうかである。
ギリギリ薦められるものとしては、以前このブログにも書いた「青春デンデケデケデケ」か、「異人たちとの夏」くらいであろう。
あとは、とても薦めることはできない。
私が大林映画の中で個人的にいちばん好きな作品は、
という映画なのだが、この作品こそ、もっともお薦めできない作品である。
三浦友和、永島敏行、南果歩、竹内力、といった豪華メンバーが出演しているこの作品は、もともとは、人気漫画を原作にした商業用映画として企画されたものだった。だが、同時上映を予定していた映画の製作が頓挫したため、この映画も製作中止の事態に追い込まれた。ところが大林監督は、「映画を途中でやめてしまうことは、人の人生を変えてしまうことだ」といって中止にはせず、予算を縮小して、当初のストーリーとはまったく異なる、きわめて個人的な趣味の映画に、作りかえてしまったのである。
当時、ほとんど劇場公開もされなかったのではないだろうか。
これほど、大林監督の個人的な想いがストレートにあらわれた作品は、ほかにないだろう。
この映画に登場する人々はみな、可笑しく、いとおしく、狂おしく、哀しい。
私はある時期、この映画をビデオで何度も見た。
それほど、好きな映画である。
だが、絶対に人に薦めることができないのである。
それが、大林映画の本質なのだ。
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