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教授と学生の会話

「これからは、社会人力をつけなければなりません」

「はあ、でもその前に、学士力をつけなければなりませんよね」

「もちろんそうです」

「つまり、学士力をつけたあとに、社会人力をつけなければならない、ということですか?」

「いえ、ちがいます。社会に出てから社会人力をつけても間に合いません。今からつけておかないと」

「ということは、学士力はもちろんのこと、今のうちに社会人力も身につけなければならない、ということですね」

「そうです。しかし、社会に出たら、もっと大変ですよ」

「どうしてです?」

「あなたは将来、何になりたいんです?」

「公務員です」

「そうすると、公務員力が必要になりますね」

「そういう先生は、教授力が必要、ってことですか?」

「それだけではありません。研究力や、学内行政力や、有識者力なんかも必要です」

「大変ですねえ」

「あなたも大変ですよ」

「どうしてです?」

「これからいろいろな人とおつきあいしていかなければなりません」

「でも、それは社会人力があれば十分でしょう?」

「だめです。男性には男子力、女性には女子力がなければ、結婚できませんよ」

「そうなんですか?」

「結婚して家庭を持てば、家庭力も必要です」

「家庭力?」

「家庭力にもいろいろあります。あなたは男性ですね?」

「はあ」

「となれば、夫力が必要です」

「おっとりょく、ですか」

「そうです。そして配偶者には、妻力のある方が理想的です」

「なるほど」

「子どもが生まれれば、父親力が求められます」

「そうなりますね」

「そして配偶者には」

「母親力」

「とくにお母さんは大変です」

「なぜ?」

「ママ友力も必要になります」

「パパ友力は?」

「それもいずれ必要になるでしょうね。それもひっくるめて、保護者力ともいえます」

「子どもはどうなんです?」

「子どもも大変ですよ。なんたって子ども力が必要ですから」

「子ども力?子ども力といっても、またいろいろあるんでしょう?」

「その通り。幼稚園ではお遊戯力、小学校ではランドセル力、中学校では学習塾力、高校では部活力」

「受験力なんかも必要でしょう?」

「もちろんです。万が一浪人したら、浪人力が求められます」

「そうか。それで大学に合格したら、こんどは学士力が必要だ、ということですね」

「そうです。言い忘れましたが、最近はグローバル社会ですから、大学生にはグローバル力も求められます」

「そのためには、どうすればいいんですか?」

「若いうちから留学することをおすすめします。留学力を身につければ、語学力も身につきます」

「なんか、語学力って言葉が、今まででいちばん普通の言葉のような感じがします」

「あと、ボランティア力もつけておくとよいでしょう。社会人力をつける上で、有利になります」

「最初に聞いた時より増えてますよ。大学のうちに、学士力、グローバル力、留学力、語学力、ボランティア力、そして社会人力を身につけなければならない、ということですか?」

「そういうことです」

「たった4年間しかないのに無理です!話を戻しましょう。そうやって子どもが一人前になったら、僕は年をとりますよね。そうなるとこんどは何が必要なんです?」

「決まってるじゃないですか。老人力です」

「なるほど、それが、赤瀬川源平先生が言っていた老人力ですね。なんか、老人力がいちばん気楽そうな感じがしますが」

「さあ!今まで私が言った力をすべて身につければ、すばらしい人生を送ることができます」

「なるほど。でも先生」

「何ですか?」

「思考力は、いつ身につけたらいいんですか?」

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