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カーナビのない一人旅その1・シージェッターと自由の女神

6月29日(土)

隣県のK市に行くことを、昨日、ふと思い立った。

原稿が書けないことからの逃避である。

「悩みがあるなら 旅に行け

心を鍛えて 一人の旅に行け」(奥田民生作詞、坂本龍一作曲「鉄道員」より)

というがごとくである。

K市に行ってみたい、と思った理由は、先日、4年生のSさんから、出身地であるK市の話を聞いたからである。海沿いにある港町で、一昨年の震災で津波による大きな被害を受けた。

初めて訪れる町なので、カーナビのない車でたどりつけるのか不安であったが、このところ、車の遠出を無事にこなしているので、まあ大丈夫だろう。

朝7時、出発。

途中でまた、ふと思い立つ。

そういえば、震災後のI市にも行っていないなあ。I市もまた、震災で津波の被害を受けた町である。K市に行く途中だから、寄ることにしよう。

かくして、K市の手前にあるI市にも、行くことにした。

地図というより、道路の案内表示だけを頼りに、何とかたどり着いた。

I市に訪れた目的は、市内を流れる川の中州にある古い教会と、その教会に隣接する、漫画家・石ノ森章太郎の萬画館を訪れることであった。

午前9時、I市に到着した。

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I市の古い教会のことが気になっていたのは、震災の直後だったか、かつての同僚が、「あの教会、どうなったのかなあ。一度行ったことがあって、けっこう好きだったのになあ」と言っていたのを思いだしたからである。

古い教会は、津波に流されることなく、かろうじて外観をとどめたと聞いていたが、今は改修工事中であった(左上の写真)。

実際に見てみると、想像していたよりもはるかに小さな建物であった。

続いて、石ノ森章太郎の萬画館を訪れた(右上の写真)。

子どものころ見た仮面ライダーとか、とても懐かしかったのだが、いま、「仮面ライダーシリーズ」って、エライことになっているんだね。館内で映像を見たのだが、変身の仕方が複雑すぎて、もう全然わからない。あんなに面倒くさい変身をするんだね、今の仮面ライダーは。

あと、「シージェッター海斗(かいと)」という、ローカルヒーローがいるということも、初めて知った(左下の写真)。何より感動したのは、あの水木一郎さんが、震災後に、石ノ森さんへのご恩返しと復興への祈りをこめて、このシージェッター海斗のテーマ曲を自ら作詞作曲して、歌っていることである。

この歌が、昭和の変身ヒーローの主題歌のまさに王道!という感じで、とてもすばらしいのだ!

水木一郎さんがすごいと思うのは、自身に求められていることが何かを把握された上で、期待通り、あるいはそれ以上のものを生みだすことである。

CDがあればぜひ買いたかったのだが、なかったのが残念だった。

萬画館を出て中州を出ようとすると、自由の女神像があるのが遠くに見えた(右下の写真)。中州にあった公園のシンボルとして建てられていたものだそうである。

近寄ってみると、下半身部分がかなり壊れていて、痛々しい。これもまた、震災の爪痕である。

そういえば、萬画館のシージェッター海斗の人形も、津波から救い出されたままのものが館内で展示されていて、やはり痛々しかった。

しかし、シージェッター海斗も自由の女神も、復興のシンボルである限り、これからも立ち続けてほしい。

中州をあとにし、次に、以前一度だけ訪れたことがある、海の近くの文化センターを訪れた。

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気がつくと、午前11時近くになっていた。このあと、本来の目的地であるK市に向かった。

K市までの道のりは長い。旅はまだ、はじまったばかりである。(つづく)

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