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大雨バーベキュー

7月13日(土)

50㎞離れた「前の職場」で、ボランティア仲間たちと、日ごろの作業を慰労する意味でバーベキューが開かれる。

少し解説しておくと、毎週月曜日の夕方が「うちの職場」でボランティア作業、木曜日は「丘の上の作業場」でボランティア作業、金曜日は「前の職場」でボランティア作業を行っている。これがもう2年以上も続いている。

50㎞離れた「前の職場」の作業仲間たちとは、ふだんなかなか顔を合わせる機会がないが、この機会に、「前の職場」を会場にして、慰労と懇親を兼ねてバーベキューをやろう、ということになったのである。世話人代表のKさんの発案である。

ただしバーベキューは午後からで、午前は、通常のボランティア作業を行うことになっていた。

朝から大雨である。午後からのバーベキューは大丈夫だろうか。

朝9時の集合に、やや遅れて到着した。すでに15人くらいが集まっていた。

「バーベキューの場所は変更になりました。ここの食堂をお借りすることになりました」

当初は、河川敷の橋の下でやることになっていたが、この大雨では、移動するのも大変である。河川敷でやってこそ、バーベキューは楽しいのだが、まあ仕方がない。

おりしも明日は「前の職場」で、オープンキャンパスが開かれる。そこで、私たちの活動をパネル展示することになり、通常の作業と並行して、展示の準備作業もおこなうことになった。

「前の職場」の学生が中心となり、テキパキと展示準備が進んだ。それもそのはず、作業仲間には、「展示のプロ」の大人たちが4人もいたからである。

Photo 午前の作業を終え、展示の準備をしている会場に行くと、すでにあらかた展示の準備が終わっていた。

「ではみなさん、このボランティア作業について、ひと言ずつコメントを書いて、メッセージボードに貼ってください」

世話人代表のKさんは、そう言って、名刺サイズのカードをひとりひとりに渡した。

「私も書くんですか?」私はとまどった。

「ええ。当然です」

「学生さんだけでいいじゃないですか」

「ダメです。大人も学生も、みんなに書いてもらいます」

2 今年の自分の職場のオープンキャンパスにまったくかかわっていない私が、「前の職場」のオープンキャンパスのお手伝いをしているのは、ちょっと自分でも可笑しかった。

左手にカードを持ち、右手に赤色のクレヨンを持ってはみたものの、はて、何を書いたらいいか、言葉が出てこない。

「いざとなると、言葉が出てこないものですねえ」と私。まわりの学生さんたちは、スラスラとコメントを書いていた。

「そうでしょう。ふだん、学生さんたちに感想を書かせてばかりいるのでしょうけど、いざ自分が書くとなると、大変だってことがわかるでしょう」と、世話人代表のKさん。

3それにしても、学生さんたちは、本当にスラスラと書いているなあ。

いざとなると、短いメッセージというのは、難しいものである。

私は悩んだあげく、次のように書いた。

「励まされたのは、私の方でした。」

思いの丈を書いてくれている学生さんたちにくらべて、私はこの一言しか書けなかったのが情けない。

「そろそろバーベキューをはじめますよ。食堂に集合してください」

朝の大雨は、午後になるとすっかり止んでいた。

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