感想の感性
7月22日(月)
月曜日の授業では、学生が、大人には絶対に書けないような感想を書いてくれるときがある。
今日、冒頭で傘の話をした。
「これだけ科学が発達しても、傘だけは進歩しないですよねえ。むかしっから同じ形だし、すぐに壊れるし、傘をさしていても、まったく雨に濡れない、というわけでもなく、足もとが濡れたりするでしょう。もちろん、素材が軽くなった、という方向への進化はあったのだろうけど、人間が宇宙に行く時代なのに、傘だけは、全然進歩していないとは思いませんか」
するとある学生が、感想にこんなことを書いた。
「授業の冒頭で話された、科学の進歩と傘と宇宙の話。あれって、ヒカルの碁でも出てくる会話ですよね。先生もヒカルの碁、読んでいるんですね」
はて、心当たりがない。
『ヒカルの碁』という漫画があることくらいは知っていたが、読んだことは一度もない。
念のため調べてみると、『ヒカルの碁』はテレビアニメとしても放送されていたようで、そのときのセリフを文字に起こしているらしきサイトを見つけた。「第八局 雨の中の策略」という回のセリフらしい。
「佐為:古(いにしえ)のころより、碁盤も碁石も変わりませんが、ヒカル、この傘も千年前と変わりませんね。
ヒカル:そうだよ。ちっともかわんねえな、傘って。雨を完全に遮断できるわけじゃないし、足元だってぐちゃぐちゃだし。手に持ってるってのも不便だし。たくな!
佐為:え。
ヒカル:人間が月に行く時代に傘だぜ傘」
うーん。たしかに、今日私が言ったことと同じことを言っている。
ま、誰でも思いつくこと、ということなんだろうな。
もうひとつ、こんな感想もあった。
「かっこよく負けられる人になりたいです。
なんで現代人って、負けを認められないんでしょうね。
ところで高校の歴史の先生が言っていたのですが、点数をXとして最終的な評価を10√Xで出すという計算方法って、素敵だと思いませんか。
もう少しでこの授業も終わりだと思うと寂しいです」
気になったのは、「点数をXとして最終的な評価を10√Xで出すという計算方法って、素敵だと思いませんか」の部分である。
これは、どういうことなのだろう?
こういう点数の計算方法って、よく行われているものなのか?
そもそも、なぜこんなことを感想欄に書いたのだろう?
気になって仕方がない。
いずれにしても、この文章全体が醸し出す感性は、大人には絶対にまねできないのではないか、と思う。
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