2つのひまわり
8月22日(木)
すっかり昼食難民である。
12時すぎに構内の食堂に行くと、
「本日は停電のため営業は12時までです」
と貼り紙が貼ってあった。
(まいったな…)
コンビニの弁当だけは、避けたい。
仕方がないので、蒸し暑かったが、職場の外に出ることにした。
(そうだ、久しぶりにカレー屋に行こう!)
チキンカレーが美味しいことで有名な店に行く。
さほど遠いわけでもないのだが、歩いているだけで汗がドボドボと流れる。
やっとの思いで到着すると、入り口の前におじさんが立っていた。
「いっぱいですよ」と、そのおじさん。店の中を見ると満席だった。
待つのも面倒くさい。
(まいったな…)
仕方がないのでカレーをあきらめることにした。
(そうだ、久しぶりに、「よく喋るシェフ」のいる店に行こう!)
踵を返して、[よく喋るシェフ」がいる、こじゃれた欧風料理の店に向かって歩いた。
この時点でもうすでに汗だくである。
(久しぶりにあの「よく喋るシェフ」のオヤジの愚痴でも聞きに行くか…)
店の前まで来た。
(待てよ…)
お昼休みは、若手同僚たちの憩いの場だったことを思い出した。
(もし中に入って、鉢合わせしたりしたらイヤだな)
急にビビッて、店に入るのをためらった。
…というか、何の影におびえてるんだ?!
この店の2軒ほど隣に、定食屋さんを見つけた。最近できたお店だろうか。
通りに面した部分がガラス張りになっているので、中の様子が確認できる。
知っている人間がいないことを確認して、中に入る。
…だから、何の影におびえてるんだ?!
ごくフツーの定食屋さんである。日替わりランチも、ごくフツーの定食だった。値段の割に、ボリュームがある。
「よく喋るシェフ」を裏切ったみたいで、少し後ろめたかったが、仕方がない。
食べながら、ぼんやりとメニューに書いてある店名を見ていて、すごいことに気づいた。
この店の名前は、日本語で「ひまわり」を意味する日本語である。
…まわりくどいな。つまり「ひまわり」という名前の定食屋なのである。
すぐ隣にある「よく喋るシェフ」のいるこじゃれた欧風料理店の名前は、「ひまわり」の学名からとられた名前なのである!
つまり、「ひまわり」の名前を持つ食堂が、同じ通りに2軒並んで存在しているのである!
これは単なる偶然か??
それとも、あとからできた定食屋が、「よく喋るシェフ」を挑発する意味で、同じ意味の店名をつけたのか?
店の雰囲気があまりにも違うので、両者が親戚どうしとか身内どうしとかといった可能性は、まず考えられない。
これって、誰も気づいていないんじゃなかろうか??
それとも二つの店の前の道路が、「ひまわり」に関係しているのだろうか?
しかし解せないのは、店の入り口の方角である。
二つの店とも、入り口が北に向いているのである!
つまり、太陽とは正反対の方向を向いていて、全然「ひまわり」ではないのだ!!!
…ますます謎である。
いっそこの閑静な通りを「ひまわり通り」と名づけて、ここにある定食屋や飲み屋を、すべて「ひまわり」にちなんだ名前にしたらどうか?
sunflower(英語)、tournesol(フランス語)、Sonnenblume(ドイツ語)、girasol(スペイン語)、girasole(イタリア語)、girassol(ポルトガル語)、向日葵(中国語)、해바라기 (ヘバラギ、韓国語)等々。
そんな妄想をふくらませながら、日替わりランチを平らげた。
それにしても、こんな偶然ってあるのか??おそらく誰も気づいていない大発見である!
以上、超どーでもいい話でした。
たいして面白い話がない日は、こういうもんです。
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