むかしテンプラ、いまテンプレ
前回の記事はシニカルに書きすぎたと、少し反省しました。
疲労していることもあり、凝った記事が書けないので、どうでもいいネタを一つ。
ちょっと前の授業で、学生がこんな感想を書いてきた。
「授業の冒頭で説明しに来ていた奴の話しがテンプレ通りのことだけだったので腹立たしかった」
ちょっと説明を加えておくと、この日、授業の最初に、上級学年のある学生がやって来て、ある「研修」に参加を呼びかける宣伝をさせてほしい、と言ってきた。
決してアヤシイ「研修」ではない。毎年この時期に説明に来ている風物詩のようなもので、授業の冒頭の3~4分を、「研修」の参加を呼びかける宣伝に使ってもらったのである。
学生の感想は、それについてのものだった。
わからないのは、「テンプレ通り」という言葉である。
テンプレって何だ?
「テンプラ学生」なら知っているぞ。
むかし、もぐりの学生のことを「テンプラ学生」といった。在学生でもないのに、その大学の学生をふりをして、授業を受けたりする人のことである。衣(学生服)だけを身につけて、中身は学生ではない人のことを、天ぷらにたとえたのである。
しかし、この場合の「テンプレ」は、「テンプラ学生」とは違う意味だろうな。
例によって気になって気になって仕方がない。
さて先日。
4年生のAさんが仕事部屋にやって来て、進路のことについて話をしている中で、こんなことを言った。
「面接でテンプレ通りの受け答えをする人って、なんかイヤなんですよねえ」
テンプレ???
「ちょ、ちょっと待った!いま何て言った?」
「何がですか?」
「面接でどんな受け答えをする人だって?」
「テンプレ通り、ですか?」
「そう!その『テンプレ通り』って、どういう意味?」
「テンプレートのことですよ」
「テンプレート?」ますます意味がわからない。「テンプレートって?」
Aさんは呆れた様子で答えた。
「つまり…マニュアル通りってことです」
「なるほど、マニュアル通りって意味か!」
思い出した。そういえば、その「研修」への参加を呼びかけた学生の説明は、マニュアル通りというか、宣伝文句通りというか、自分自身の言葉で語っていない、という印象を、そのとき持ったのだった。
面接でも、自分自身の言葉ではなく、マニュアル通りに受け答えする人が多い、ということなのだろう。
これで納得がいった。
その後、念のためインターネットで「テンプレ通り」で検索してみたら、「知恵袋」的なサイトがヒットして、
「見た目だけで中身がない人間をテンプレ人間という」
みたいなことが書いてあった。たしかに、マニュアル通り、言語明瞭に話す人は、えてして中身がともなっていない場合が多い。
でも待てよ。
「見た目だけで中身がない」というのは、それこそ「テンプラ学生」のことではないだろうか?
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コメント
昔テンプラ学生をしていた経験から言うと、テンプレ学生はテンプラ学生にはならないですぞ。テンプレで我慢できないからテンプラなわけです。
さて、現代学生用語で最近覚えたのが「ピ逃げ」なんですが、何のことだか知っています?
ちなみにテンプレ学生はピ逃げしますが、テンプラ学生はピ逃げしません。
投稿: フリ逃げこぶぎ | 2013年8月 2日 (金) 19時12分
そうか、テンプレ学生とテンプラ学生は、むしろ逆なのか!すごく納得しました。学生という身分ではないテンプラ学生は、学生というテンプレに頼っていないという点で、テンプレ学生ではない。これはなかなか奥が深いですぞ。
ピ逃げねえ。たしかにテンプラ学生は、絶対にピ逃げなんてしませんね。
投稿: onigawaragonzou | 2013年8月 2日 (金) 22時51分