権力者はきまぐれ
8月5日(月)
仕事部屋の外線電話が鳴ったので、受話器を取ると、いつものようにマンション販売の宣伝だった。
(なるほど。これが「テンプレ通り」というやつか…)
まくし立てるような説明をしばらくぼんやり聞いていて、そんなことを思った。
お昼ごろ、職場の構内を歩いていると、多国籍の学生たちの集団とすれ違う。
そういえば、例の5カ国の学生の短期研修が始まっていたのだった。
その中に交じって、4年生のNさんがいた。つい最近、1年間の英語留学を終えて帰ってきたばかりのNさんである。
「今日は、この研修プログラムのボランティアとして参加しているんです」とNさん。
「そういえば、今日は午前中、放送局訪問だったよね。どうだった?」
「すごく楽しかったです」とNさん。「だって、放送局に初めて入ったし、ふだんローカルニュースで見ている人がいるんですから」
そうか、放送局訪問は、うちの学生にとっては楽しかったのか。でも、いきなり連れてこられた海外からの学生たちはどうだったのだろう?よくわからない。だいいち、彼らにとっては、ローカルニュースのキャスターなんて、わかるはずもないのだ。
「午後からは県知事表敬訪問だったよね」と私。
「ええ。でも、中止になったんです」
「えええぇぇぇ!!??どうして?」
「県知事に急な予定が入ったとかで、キャンセルされたんです、私、楽しみにしてたのに…」
どういうこっちゃ???
「でも、この予定はずいぶん前から決まっていたはずだよ。だって、この日のこの時間は、『県知事表敬訪問』が入っていて、どうしても予定が動かせないって、ずいぶん前に言われたんだから」
本当はこの日に、私の企画したイベントを行うはずだったのだが、県知事表敬訪問が先に決まっていたために、断念したのだった。
「じゃあ、午後の予定はどうなったの?」
「予定通り県庁に行って、県庁見学と、それから県庁職員との懇談会をやるそうです」
「懇談会?…ということは、海外から来た学生と県庁の職員が、懇談する、ということ?」
「はい」
うーん。かなりシュールだ。いったい、どんなことを話すのだろう?
「県知事のドタキャン」については、それ自体、考えさせられることがたくさんあるが、ここには書かない。
ある意味、昨年以上にカオスな研修かも知れない。
しかし、がんばっている学生たちには、まったく罪はない。どんな状況でも、彼らは楽しみを見つけるだろう。
「できるだけたくさんの人たちと仲良くなりなさいよ」
そう言って、Nさんと別れた。
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