人間はロボットと共存できるか
先日、石ノ森章太郎の萬画館に行ったことは、すでに書いた。
子どもの頃、「ウルトラマン派」か、「仮面ライダー派」か、などとよく言ったものだが、私はどちらかといえば「ウルトラマン派」であった。
大人になった今から見れば、あれは「東宝」対「東映」ということだったのか、などと、まあなんとも夢のないことを考えてしまう。
石ノ森章太郎に「マンガ家入門」という名著があって、その中に石ノ森自身が描いた初期の短編作品である「龍神沼」をテキストにして、漫画の書き方を説明する、というものがあった。萬画館にも、その「龍神沼」の原稿が展示されていた。
あらためて、というか、おそらくはじめて「龍神沼」という作品を読んでみたが、
あの作品は、完璧である!
ストーリーといい、心理描写といい、構図といい、本当に完璧な作品である。すべてが計算し尽くされ、一片の無駄もない。
まさに、漫画の教科書と呼ぶにふさわしい作品である。
石ノ森章太郎の作品は、実写化されることが多かった。
そのなかでも、子どものころ大好きだったのが、「ロボット刑事」である。
警視庁にロボットの刑事が配属され、難事件を解決する、というストーリー。
上司の刑事役に、高品格が出ていたというから、まあ、シブいにもほどがある。
ロボットなのに、背広を着て、ハンチングをかぶって、捜査にあたる。
冷静に考えれば、奇妙奇天烈この上ない設定なのだが、ドラマの中では、周りに多少の違和感を与えながらも、同僚たちとしだいに心を通わせるようになり、ともに難事件の解決に挑むのである。
ハリウッド映画の「ロボコップ」は、この石ノ森章太郎の「ロボット刑事」を参考にしたと、誰かが言っていた気がするが、本当のところはよくわからない。
これも、どこかで聞いた話だが、石ノ森章太郎は、「人間とロボットの共存」というのが、漫画を描くときのテーマだったのだ、という。
そういえば、私が子どものころに熱心に見ていた「がんばれロボコン」も、人間とロボットの共存、というのが、全体を貫くテーマだった。
たぶん未来は、それに近づきつつあるのだろう。
だがそれ以前に、「自分とは異なる者と共存するための意識改革が必要なのだ」ということを、ロボットという存在を借りて、石ノ森章太郎は子どもたちに語りかけていたのではないか、と、大人になった今になって思う。
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