グローバル映画、ドメスティック映画
タイトルだけを見ると、なんとなく演歌っぽいが、さにあらず。氷河期になってしまった地球で、残された人類が、一台の汽車に乗り合わせて生き残ることになる。走り続ける汽車の中で、生死をかけた戦いがくり広げられる。
ポン・ジュノ監督の、記念すべきハリウッド進出作である。ソン・ガンホ、コ・アソンという「グェムル」コンビが登場する。
フランスの漫画が原作だそうだが、この作品にあらわれるモチーフじたいは、古今東西、よく見られるもので、いってみれば「ノアの方舟」映画である。日本でいえば、「漂流教室」とか、「復活の日」などが、すぐに思い浮かぶだろう。
だが、これまで、そのどれもが、映画化に失敗している。映画「漂流教室」(大林宣彦監督)は、楳図かずおの大傑作「漂流教室」を、メチャクチャなまでに愚弄した、大駄作である。
「復活の日」も、潜水艦が浮上するシーンや、草刈正雄が放浪するシーンにお金をかけすぎて、肝心な「人類の死と再生のドラマ」を、全然描くことができなかったのである。
つまりこれまでの「ノアの方舟」映画は、日本映画に関するかぎり、その本質をまったく描こうとはしてこなかったのである。
この映画は、私が「ノアの方舟」映画に期待していた、ありとあらゆる描写がつめこまれている。これまで誰も描こうとしなかった、いや、描こうと思っても描くことのできなかった場面が、この映画の中で実現している。
なにより、走り続ける列車という設定が、映画的である。
そう!黒澤明監督の幻の映画「暴走機関車」のごとく、である。
それにしても、ソン・ガンホがどんどんかっこよくなっているなあ。
さて、「ソルグクヨルチャ」がグローバルな映画だとすれば、映画「カムギ」は、きわめてドメスティックな韓国映画である。
「カムギ」とは、直訳すると「風邪」。これは、パンデミックをテーマにしたパニック映画である。
韓国では、夏にこの手のパニック映画を公開する。私はこれを、「真夏のワッショイ映画」と呼んでいる。
主演のチャン・ヒョクはかっこいいし、ス・エは、息をのむほど美しい。脇役のユ・ヘジンは、相変わらずいい味を出している。映画の出来は、決して悪くないのである。というより、いまの日本映画界の「体力」では、このレベルの映画を作り上げることすら、至難のワザであろう。
だがこの映画は、「ツッコミどころ満載」である。
ひと言で言えば、「韓国社会の価値観が、良くも悪くもあらわれている映画」といえる。だから、たとえば私がこの映画を見ても、うまく感情移入できないのだ。
韓国映画界って、ちょっと油断すると、こういう映画を作ってしまうんだよなあ。
グローバルな部分とドメスティックな部分が混在するのが韓国映画である。
そこのところを見極めて映画を見ないと、韓国映画の本質は理解できないのではないだろうか、と、この2つの映画を見て思うのである。
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コメント
雪国列車
http://www.youtube.com/watch?v=nk7WzoBuSds
ここ数日SNLづいていますが、好きなのはKBS「ギャクコンサート」の方です。
日本では「スノーピアサー」という題名で来年2月に公開されるようですので、ご注意あれ。
投稿: ソウル地下鉄あるあるネタ(こぶぎ) | 2013年8月31日 (土) 05時24分
これ、ふつうに面白いコントですね。よくできてる。
投稿: onigawaragonzou | 2013年9月12日 (木) 23時15分
い よんお こめんと が ごるぷ くらぶ
くぁんご(広告) にか、 さくじぇ(削除)へど けんちゃんち あなよ?
投稿: 業務連絡こぶぎ | 2013年9月15日 (日) 14時10分
こまうぉよ さくじぇへっそよ
投稿: onigawaragonzou | 2013年9月15日 (日) 14時16分