旅先で見た風景
8月25日(日)
ある目的地に向かうため、市街地から路線バスに乗る。
1時間に1本の路線バスは、どんどんと田舎道を走り、1時間ほどたって、やがてある海岸に出た。
午後12時半、私はその海岸の停留所で降りた。もう1人、サングラスをかけた、私より少し年上くらいの、こじゃれた服を着た西洋人の女性が、バスを降りた。
バスを降りた場所は、海水浴場である。
もちろん私は、海水浴が目的で来たのではない。別の目的で、この場所にやってきた。
しかし解せないのは、その上品そうな西洋人の女性である。
荷物もほとんどなく、白いスカートをはいて、およそ海水浴に来たとも思えない。
観光旅行だとしたって、絶対に来ないような場所である。そもそも、公共交通機関がものすごく不便な場所なのだ。地元の人たちは、もっぱら自家用車でここまで来るのである。
(こんな、地元の人しか来ないような海水浴場に、何しに来たのだろうか?)
と疑問に思ったが、
(とりあえず昼飯を食おう)
と、店を探している間に、その女性はどこかに行ってしまった。
昼食後、必要があってこのあたりをいろいろと歩き回り、先ほど降りたバス停の、2つ手前のバス停からバスに乗り、市街地に戻ることにした。時間は、午後3時20分である。
バスに乗ると、行きで見かけた、サングラスをかけた西洋人の女性が乗っていたのである。おそらく、先ほど降りたバス停から、また乗ったのだろう。
それにしても不思議である。
12時半にバスを降りてから、およそ3時間。
上品そうなスカートをはいた彼女は、およそ海岸で海水浴をしていたとも思えない。
1人で、3時間も何をしていたのだろうか?
海水浴で地元の人が来るていどの、ひっそりとした海岸である。
私はこの海岸の周辺を、必要があって歩き回っていたが、この女性に会うことはなかった。
いったい、どこで何をしていたのか?
そのたたずまいが不思議だっただけに、妙に気になるのである。
1時間ほどたって、バスは市街地に到着した。
バスを降りようと思ってふと見ると、すでにその女性は、いなかった。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- ポンコツ、帰途につく(2024.10.25)
- 今日もズボンはずり落ちませんでした(2024.10.24)
- 怪しすぎるレンタルスペース(2024.10.23)
- ズボンはずり落ちませんでした(2024.10.23)
- 釜山どうでしょう(2024.09.01)
コメント