15年ぶりのクラス会・ひねくれ篇
9月14日(土)
ではクラス会が楽しかったのか、というと、実のところ、よくわからない。
クラスの中心にいたのは、テニス部とかバスケ部とかサッカー部とか、体育会系の部活に所属していた人たちで、今回のクラス会も、体育会系の仲のいい男女のグループにより企画された。
私のところにクラス会の誘いが来たのは、たまたま私の職場のメールアドレスが公開されていたからにすぎない。
フェイスブックをたよりに連絡がついた、という人もいたそうだ。
高校時代、ネクラな文化系少年だった私は、体育会系のさわやかグループを横目で見ながら、ひたすら目立たないようにしていた。むかしから、体育会系のクラスメートには、コンプレックスを感じていたのである。
私はおとなしくて勉強ばかりしているうえに、たまに口を開けば、理屈っぽいことばかり言うので、クラスの間では、まあどちらかといえば、避けられていたのだろう。
クラス会に来た人たちは、みんな楽しく、いい人ばかりだった。
だがクラス会に来られる人たちというのは、それなりに世間的に成功している人ばかりなのである、ということに気づいた。
だから、こういう場でも、わきまえている人ばかりだった。
しかし、と、ひねくれ者の私は思う。
高校時代のクラスメートとしてではなく、社会に出てから、社会人として彼らに会ったとしたら、楽しく話ができただろうか、と。
おそらく、まったく話が合わない人たちばかりなんじゃないだろうか。
…そんなひねくれたことを漠然と考えていたら、コジマが、
「高校のときの卒業アルバムの集合写真、見る?」
と、みんなの前でiPadをとりだした。
コジマは、大学卒業後、某国営放送につとめている。
昔からカメラが趣味で、この日も、高性能の一眼レフのデジタルカメラを首からぶらさげて、バシバシと写真を撮りまくっていた。さしずめ本日の写真係である。
iPadをのぞくと、高3のときの集合写真が映しだされていた。
「これ、どうしたの?」
「今朝、このカメラで、卒業アルバムの集合写真の部分を撮ったんだ。このカメラには通信機能がついていて、撮った写真をWiFiでiPadに送ることができるんだ」
すごい時代になったものだ。
「でも顔が小さくて、よくわかんねえな。老眼もはじまってるし」
「拡大すればいいじゃん」
そうか、iPadの画面上を指で押し広げるような仕草をすれば、画面の中の写真は拡大するわけか。
…どうもiPadにはご縁がないもんで、と、またひねくれだした。
「みんな若いねえ」
女子は軒並み「聖子ちゃんカット」で、ピースサインを額に近づけて、「敬礼」みたいな格好で写っている。当時流行っていたのかな。
男子は軒並み、「たのきんトリオ」みたいな髪型だった。
写真の中のコジマはジージャンを着ていた。当時彼は、色白でほっそりした二枚目だった。
「そういえば、コジマといえば、ジージャンだったな。毎日ジージャン着てたよな」
「うちの高校、制服がなくて服装が自由だっただろ。でも、毎日の服装を考えるのが面倒くさくって、いつもジージャンにしていただけなんだ。まあ制服みたいなもんだ。自由を謳歌するって、大変なことなんだ、ということを、思い知らされたよ」
「でもコジマといえば、やっぱりジージャンだよ。コジマの専売特許だよな」
「高校のころ、俺、群れるの嫌いだっただろ。そういうせいもあったかもしれない」
思い出した。コジマは、テニス部に所属してはいたが、体育会系でもめずらしく「孤高の人」という感じだった。当時は話しかけづらい雰囲気もあった。
しかしいまでは、持ち前の好奇心で誰にでもまんべんなく話しかけ、写真係として動きまわっている。職業柄なのか、それはさながらインタビュー取材のようでもある。
「いまはジージャンは着ないの?」
「もう10年以上も着てないぜ。いまはもっぱらポロシャツさ」
かつての色白の美少年は、口ひげを生やした年相応のオッサンである。
「写真をフェイスブックにアップするからさあ、みんな見てよ」
もう、フェイスブックとかiPadとかスマホとかが、あたりまえの時代か。
身のまわりの同世代の人たちに、あっという間に広まりつつあるんだな。
これを機に、フェイスブックをはじめようかとも、一瞬考えたが、まだふんぎりがつかない。
(この「置いてきぼり感」は、高校時代と変わらないなあ)
と、またひねくれだした。
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コメント
クラス会にて。
「じゃ、今日の写真、フェイスブックにあげとくからさ」
「ねえ、ゴルゴはフェイスブックやってないの?」
「まあ、ブログは少々・・・」
「なーんだ、じゃあ、このiPadは4G対応だからさあ、すぐに見られるよ」
「えー、どんなこと書いてるの? 見たい見たい」
「でも、大したことないから・・」
「またまたぁ~。きっと、昔の映画やドラマの濃い話とか書いてるんじゃないの?」
「ねぇ、なんてタイトルなの? 教えてよ」
「そうだよ。そんなにもったいつけずにさー。iPadで検索するから言ってみ」
「か・・・」
「えっ?」
「か・・・かおとーく。」
投稿: 言えずのこぶぎ | 2013年9月15日 (日) 19時35分
A「おまえはいいよなあ。いまでも好きな研究やってるんだろう?」
僕「え?う、うん…まあね」
A「俺なんかさあ、数年前に○○大学の附属病院の立ち上げを任されちゃって、最近ようやく軌道に乗って、いま部長やってるんだけど、こんどは教授選があるし、アタマが痛いよ。研究どころではないよ」
僕「それはタイヘンだね」
B「俺なんか私立だろう?この前、権力闘争の末に、放漫経営をしていた理事一族を一掃したら、こんどは俺が理事をやらされることになったんだよ。研究どころではないよ。すっかり経営者だよ」
僕「あ…そう…。それもタイヘンだね」
AB「お前は、何か役職に就いてないの?」
僕「いや、…俺は別に…ヒラ社員だし…」
AB「うらやましいよ」
僕「……」
…くだらないブログを続けているなんて、誰にも言えませんでしたとさ。
投稿: onigawaragonzou | 2013年9月15日 (日) 23時36分