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僕が大学で吹奏楽をやめた理由

大学のサークル選びというのは、なかなか難しい。

いまから25年ほど前、大学に入学したとき、何のサークルに入ろうか、悩んだものである。

おりしも、世間がバブル景気に浮かれていた時期である。

高校時代に吹奏楽部でアルトサックスを吹いていたので、大学に入っても吹奏楽を続けよう、と漠然と思っていた。

入学して最初に声をかけられたのが、応援団の吹奏楽部である。

野球の応援とかでかり出される吹奏楽部、ということらしい。

私が吹奏楽の経験者だとわかると、先輩は猛烈な攻勢をかけてきた。

「いわゆるふつうの吹奏楽団は、人数が多くてなかなか大変だよ。その点、うちは人数がそれほど多くないから、人間関係も濃密だし、それに応援しながら演奏するから、感動もひとしおだ」

「野球の応援のときだけでなくて、ちゃんと定期演奏会があるし、マーチングバンドみたいなこともするから、ふつうの吹奏楽団よりもはるかに面白いよ」

男の先輩二人がかりで、私の説得にかかる。しかも、昼飯を奢ってもらいながら、その話を聞くのである。

しかしなあ。

(試合のたびにかり出されたりして、けっこう体育会系なんじゃないだろうか)

とか、

(今日は応援団の人手が足りないから、楽器じゃなくて応援団の方にまわってくれ)

など、「聞いてないよ~」みたいなことがあるんじゃないだろうか。

それに、ああいうところは、けっこうOBの力が強かったりして、将来のことを考えて、そのOBと人間関係を結ぶことを目的に入部している人がいるような気がして、なんとなく自分には合わないな、と思ったのである。

もちろんこれは、私の完全な思いこみなのだが。

結局、応援団に入ることを丁重にお断りして、ふつうの吹奏楽団に入部することにした。

しかし、自分の思っていたのと、かなりイメージが違う。

応援団の先輩が言っていたように、吹奏楽団は人数が多いので、演奏会に全曲出してもらえるわけではない。

ましてや1年生は、仮に先輩よりも上手かったとしても、自分のやりたい曲に参加することはできず、上級生が決めたとおりに、演奏に参加しなくてはならない。

「君にはバリトンサックスをやってもらうよ」

「バリトンサックス…ですか…」

アルトサックスを吹きたいと思って入部したのに、1年生だからという理由で、バリトンサックスを担当させられる。しかも、担当するのは演奏会の全曲ではなく、そのうちの数曲である。

ラグビーのたとえでいえば、フォワードをやりたいのに、バックスを担当させられるようなものである。あるいは、控えにまわるようなものである。…といっても、ラグビーの知識が全然ないので、このたとえが正しいのかどうか、わからない。

しかも、練習場所が大学の別のキャンパスということになると、わざわざ地下鉄を乗り継いで1時間近くかけて通わなければならない。

そんな生活を続けているうちに、そこまでして大学生活を吹奏楽のために費やす価値があるのだろうか?と、疑問に思えてきた。

自分はそこまでして吹奏楽を続けるほど、吹奏楽が好きなわけではない。

(高校の時はよかったなあ。へたくそでも、全曲出してもらったからなあ)

自分が上級生になれば、あるていど自分の好きなようにできるのだろうが、そうなると今度は、自分の下に入ってくる後輩たちに、私が味わったことと同じ思いを味わわせなければならなくなる。

それは、あまり気持ちのよいことではない。

考えたあげく、大学1年の5月に行われた大学祭での演奏会に出たあと、吹奏楽団を辞めることにした。在籍期間は、わずか2ヵ月であった。

やめてスッキリした。もう、あんな遠い練習場所まで通って、さほど本意ではないバリトンサックスを吹かなくてもすむのだ。

…いまから考えれば、大学に入った時点で、何が何でも吹奏楽を続けようとは、思わなくなっていたのだろう。もし本当に吹奏楽が好きだったとしたら、バリトンサックスを担当させられても、嬉々として練習しただろうから。私は、辞める理由を探していたのだ。

そのあと、吹奏楽とはまったく無関係な、こぢんまりとした文化系サークルに入った。結果として、そのおかげで今があるようなものである。

だが、吹奏楽との縁がまったく切れてしまった、というわけではない。

大学3年になって、高校のOBたちによる吹奏楽団が結成された。私はそこで再びアルトサックスを吹くことになる。月に2回程度、自分のペースで気楽に吹くことができた。

この活動を10年ほど続け、東京を離れたことを機に吹奏楽をやめてしまったが、昨年、ふとしたきっかけで、またアルトサックスをはじめたことは、このブログでも書いたとおりである。

新学期を前に何が言いたいかというと、

人生はわからない。

ということと、

無理せず、自分に合った居場所を見つけた方がいい。

ということである。

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