原点はタニシ
9月4日(水)
例によって、自分は愚鈍だなあ、と感じる旅。
なーんか、わかったようなふりをしているけど、実は何一つわかっていないんじゃないか俺は、と、軽く死にたくなる。いや、「軽く」じゃないなあ。
ま、こういうことはよくあることである。誰にも理解されることはないけれど。
「会食」のあと、久しぶりに、3次会までおつきあいする。屋台みたいな店である。
3次会では、「コルベイン」という料理が出てきた。タニシのことだという。
「タニシ」と聞いて、ボスが思い出したように言った。
「子どものころ、俺はタニシを見つけるのがうまかったんだ。田んぼでタニシを見つけておじいさんのところに持っていったら、えらく褒められてなあ」
「そうですか。どうやって見つけたんです?」
「タニシは田んぼの真ん中で、小さな穴を掘ってそこで越冬するんだ。その穴を見つけるのがうまかった」
「なるほど」
「まるでいまの俺の仕事みたいだろう?小さなものを見のがさずに、見つけ出すって」
そう言われればそうだ。ボスは、ずっとそうやって仕事をしてきたのだ。
私は思わず言った。
「先生の原点は、タニシだったんですね」
ボスは笑いながら答えた。
「そうだな。俺の原点は、タニシだな」
ナンダカワカラナイが、自分の愚鈍さに死にたくなるくらい落ち込んでいると、こんな何でもない会話に少しだけ救われることがある。
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