軽はずみな約束
10月10日(木)
夜、「前の職場」のKさんから電話が来た。電話をとると、
「いま、代わります」とKさん。
「どーもー」
こぶぎさんである。こぶぎさんは携帯電話を持っていないので、Kさんの携帯電話を通してしか、通話ができない。
「昨日はすまなかったね」
昨日の記事を読んで、心配になって連絡をくれたらしい。
「あれはネタですよ。たまに自虐的なことを書くことにしているんです」
「そうなの?」
わざわざ心配して電話をくれるところが、ありがたい。友情だね。
だが少し話し始めたところで、
「…あ、カレーうどんが来たんで、また」
と、電話が切れた。カレーうどんに負けたか…。
…いや、今日書こうと思っていたのは、そんなことではない。
今朝、韓国の語学学校のナム先生から、メッセージが入っていた。1カ月前に韓国でお会いした先生である。
「キョスニム、お元気ですか?」
不思議なことに、こっちの心がどんよりしているとき、たまに思い出したようにメッセージをくれることが多い。人間のバイオリズムというのは、おもしろいものだ。
「日本も新学期が開講して、お忙しいことでしょう。こちらは、開講して、もう1学期の半分が過ぎました」
韓国の語学学校は、2ヶ月半(10週間)が1学期である。9月から開講しているから、すでに学期の半分が過ぎたのだ。
「キョスニムのおかげで、新しい授業は、楽しみながらしています」
と書いてあった。
これには注釈が必要である。
最近は、韓国の語学学校の留学生気質も、大きく変わったらしい。授業中に、平気で机の上にスマホを出していじっている学生が増え、学生が授業にまったく集中しなくなっている、というのだ。
どこでも同じなんだな。
「今学期の留学生たちは、とにかくいままで経験のないような困った学生たちです」
先月お会いしたとき、ナム先生をはじめ、他の先生も、すっかり自信を失っていた。
「たった10週しか授業を受け持たなくて、いったい彼らに対して何を教えられるんでしょう」とナム先生。
「10週しか授業を受けなくても、学生は、後々まで記憶に残っているはずですよ」と私。
現に私や妻が、そうであった。
「そうでしょうか」
「一生の先生になるはずです」
その後、ナム先生は、発想を変えて、楽しみながら授業をするようになったのだという。
よかったよかった、と思って読み進めると、メッセージの最後にこうあった。
「いま習っている中国語も、中国人留学生たちに使ってみたりして楽しんでいます。まだまだ道のりは遠いですが、キョスニムとの約束のことを考えて、一生懸命に頑張ります」
えええぇぇぇぇっ!!!
1か月前に、語学学校の3人の先生たちと交わした約束のことを思い出した。
「お互い中国語を勉強して、1年後に会ったときに、中国語で会話できるようにしましょう」
という約束である。
そういえば、先月末、ナム先生のヒョンブ(義理の兄)からも、メッセージが来ていた。
「義妹はいま、キョスニムとの約束のために、語学学校の中国語クラスを受講して、熱心に勉強しているみたいですよ。キョスニムも奮起しなければなりません」
何と、ナム先生は、語学学校で本格的に中国語の勉強を始めていたのだ。
それだけではない。
語学学校の2級クラスの先生だったクォン先生からも、先月末にメッセージが来ていた。
それも中国語で!
「你好!老师!キョスニム、中国語、しっかり勉強してくださいね」
うーん。クォン先生も、中国語を勉強しているらしい。
もうお一人、チェ先生も、この様子だと絶対に中国語を勉強しているはずである。
完全な「中国語包囲網」である!
…実は私、1カ月前にその約束を交わして以来、まったく中国語を勉強しておりません!
困ったなあ。
軽はずみな約束をしてしまうのは、私の悪い癖である。
「いつやるの?」「明日から」
というのが、私がオリジナルに考えた人生の方針。
だがこれでは、永遠に、中国語を勉強できない。
…そうか、「いつやるの?」の答えが「明日から」なのがまずいのかな。
では、「いつやるの?」のあとに、何と答えれば、中国語を今すぐ勉強するようになるのか?
…まったく思いつかない。
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