居心地のよい場所
10月12日(土)
朝9時前、「前の職場」に行き、午前中に行われる行事の準備をする。
折しも今日は、年に1度の大学祭の日で、昨晩、今日の行事の準備をしていたときも、まわりでは、学生たちが大学祭の準備に追われていた。
私の持論だが、文化祭や大学祭の前日こそが、青春の証明である。準備の様子を見ていると、大林宣彦監督の映画「青春デンデケデケデケ」を思い出し、胸が少し熱くなる。
こちらも、仲間たちと諸々の準備をととのえ、午前11時からの行事にのぞむ。
私なりに、私のできることを頑張ったつもりだが、さてどのように思われたのかは、わからない。真摯に取り組んだつもりだが、そうでないと思われたのだとしたら、それは私の力不足である。
40分後、ひとまず行事が終わり、そのあとのイベント会場での店番なども一段落すると、急にお腹がすいてきた。
「屋台で何か買いましょう」
こぶぎさんと二人で建物を出て、学生が出店している屋台をまわる。あいにくの雨で、濡れながら、焼きそばとホットドッグ、それにワッフルを買う。
それを食べていると、あっという間に1時半になろうとしていた。
「せっかくですから、うちのサークルの演奏会を聴きに行ってください」とKさん。Kさんは、三味線や琴や笛といった和楽器のサークルの顧問をしていた。Kさん自身も、三味線をたしなむのだ。
私も先日、三味線を弾かせてもらって、すっかり三味線の虜になったこともあり、演奏会を聴きに行くことにした。
学生全員が浴衣を着ての演奏。それが実に可愛らしい。
演奏者の多くが1年生だという。初心者が一生懸命練習して、この晴れの舞台にのぞんだ様子がうかがえ、微笑ましい。
演奏会が終わると、司会の学生が言った。
「このあと、楽器を演奏する体験ができます」
私は三味線のところに行き、学生に教えてもらいながら、「荒城の月」を演奏させてもらった。
演奏会場を出て、イベント会場に戻ると、店番をしていたこぶぎさんが言う。
「ご満悦のようだね」
「三味線で『荒城の月』を弾かせてもらったんでね」と私。
「すっかりなじんでいるねえ。全然ここにいても違和感がないよ」
「そうだねえ」
夕方になり、イベント会場を閉めたあとも、しばらくの間、学生たちとお喋りをした。
考えてみれば、昨日から今日にかけて、「前の職場」で作業をしていて、とても居心地がよかった。厚かましいような言い方だが、まるで自分の職場にいるような感覚だった。
それに、自分の職場の大学祭のように、今日の大学祭を楽しんでいる。
もともと私は、文化祭や大学祭が、好きなのだろうか。
だが、居心地がよい理由は、それだけではない。
かつて同僚だったKさんやこぶぎさんがいることも、大きな理由である。職場が離れた今でも2人と交流しているのは、3人とも、学生に対するスタンスが同じだからである。OQさんの影響を受けた3人だからだろう。
それに私は、ここにいる、素直でまじめで可愛らしい学生たちが、好きなのだ。ここにいる学生たちは、私が10年以上も前にこの職場にいたときの印象と、ほとんど変わらない。
私はだんだんと、この職場に勤めていたときのことを、思い出した。
そしてあらためて気づいた。
たった2年半しかいなかったが、私は「前の職場」が、大好きだったのだ!
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