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居場所を作る仕事

10月25日(金)

お昼休み、ひどく憂鬱なことに出くわし、仕事部屋にきびすを返す。

この憂鬱さを克服するにはどうしたらいいか。

ひとつ、ずっと気になっていたことがあった。

私の仕事部屋がある建物は、昨年、耐震工事を行い、今年の2月に工事が終わった。この建物には、私の仕事部屋だけではなく、専門誌などが配架されていた共用の「資料室」がある。通常ならば、引っ越しが終わったらすぐにダンボールを荷解きして、雑誌をもとの本棚に配架しなければならないのだが、上層部からなぜか「待った」の声がかかり、荷解きが行われないまま、ダンボールが部屋の中にうずたかく積まれていたのである。

昨年の「荷作り風景」については、ここを参照のこと。

卒業論文のシーズンになり、どうしても、その部屋にある雑誌が必要になるという事態が生じてきた。だが、欲しい論文はダンボールのどこかにあり、取り出すことができない。

「どうしたらいいでしょうか」と学生。

私はさっそく昨日の小さな会議で提案した。

「上層部は、まだ荷解きをするなといっていますが、それからいっこうに何の指示もありません。学生は卒論に必要な雑誌を見ることができず、困っています。こんなことでは埒があかないので、こちらの一存でダンボールを荷解きして、雑誌を本棚に並べてよろしいでしょうか」

「かまわないんじゃないですか?」

…ということで、また言い出しっぺの私が、この「資料室」の整理担当者をかってでることになったのである。まったく、仕事を増やす天才だな。

そうと決まったら、善は急げである。

…ということで、今日のお昼過ぎにメールで学生に呼びかけたところ、5人の学生が集まってくれた。

午後2時。作業開始である。100箱ぐらいのダンボールを前に、最初は茫然としたが、仕事の段取りと役割分担を決め、作業にとりかかることにした。

夕方4時からは、新たに3人が加わり、ひたすら、ダンボールを開けて、雑誌や書籍を「ある基準」にもとづいて本棚に配架していく。

午後8時までかかり、おおよそのめどがついた。私もほとんどこの作業にかかりきりだった。

学生と楽しく話しながら、久しぶりに力仕事をしたりして、お昼休みのあの憂鬱な場面が、次第にバカバカしく思えてきた。

たぶん、学生に手伝ってもらってここまでの作業ができる同僚は、他にいないだろうな。それだけは断言できる。

ありがたいことである。

私の希望は、この部屋を、勉強したい学生が使いやすいような部屋にすることである。

居場所のない学生のための、居場所を作ることである。

昨日書いた、「青春デンデケデケデケ」の寺内先生が、そうしたように、である。

たぶん今日の作業を突き動かしたのは、その思いである。

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