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殺し文句は「くるわを出でよ」

11月28日(木)

このブログのコメント欄でおなじみのこぶぎさんは、前の職場の、同期入社の同僚である。

頻繁に連絡を取り合っているような印象を受けるかも知れないが、実はふだんは、まったく連絡を取り合っていない。

そもそも、こぶぎさんは携帯電話をもっていない。お互いの電話番号すら知らないのである。

メールも、数年に1度、やりとりをするかどうか、というていどである。

もっぱら、このブログのコメント欄が、お互いの消息を知る唯一の手段なのである。

そのこぶぎさんから、今年の6月4日に、次のようなメールが来た。

なんと、仕事の依頼である。

「本日開かれた某会議にて、わたくしめが強く推薦いたしまして、本年度後期の「SKK」の講師の1人として、鬼瓦さんを「ゼヒもの」扱いでリストアップいたしました。

ついで、F先生とも内通しまして、同じ時間に開講している「SGJ」との合同授業として開催する段取りも整えております。

われながら、すばらしい根回し力!

というわけで、こちらの段取りはすっかり整いましたので、ぜひともSKKの講師をお願いしたいという次第でございます。木曜日はお忙しいということでしたが、そこを何とかご調整頂いて、10月~1月までの木曜14:40~16:10を1コマお割き下さいませんでしょうか。ぜひ、韓国留学時の「猟奇的な先生」や中国人留学生との楽しいスライドを見せて頂いて、「クルワを出でよ」という学問的刺激を、うちの学生にもお示し頂ければと思います」

ふだん、おバカなコメントばかり書いているこぶぎさんから、めずらしく、まじめなメールが来たのである。

少し解説しておくと、前の職場では、毎週木曜日の午後、週替わりで外部講師を招いて話を聞く「SKK」と「SGJ」という、ふたつの授業が開講されている。2つの授業は同じ時間に開講されているため、当然、それぞれ別の外部講師が招かれるのである。

前の職場ということもあって、これまで何度となく、「SGJ」の外部講師を依頼されたのだが、木曜日の同じ時間に、「今の職場」で授業があることから、いつもお断りしていた。

ところが今回は、こぶぎさんが「SKK」の外部講師として私を呼びたいのだという。さらには、「SGJ」を受講している学生も聴けるように、特別に「合同授業」とする、という段取りも組んだというのである。

つまり、いっぺんに2つの授業の講師をするというわけである。

そして講義のテーマは、専門分野の話ではなく、韓国留学の体験を綴った「キョスニムと呼ばないで!」。

満を持して、というべきか、外堀を埋められた、というべきか、ここまでの段取りを組まれてしまっては、断るわけにはいかない。

さらに決定的だったのは、メールの中に書いてあった、「くるわを出でよ」という言葉である。

この言葉は、こぶぎさんにとっても、私にとっても、特別な意味を持っていた。日本のある有名な思想家の言葉だが、それは、同僚だったOさんがこよなく愛した言葉でもあった。

「くるわを出でよ」

私は、メールの画面を見ながら、この言葉を何度かくり返しつぶやいた。

結局、この「殺し文句」が決め手になって、私はこの「1回かぎりの講義」の依頼を、引き受けることにした。

引き受けた理由がほかにもある。

笑われるかも知れないが、私には夢があって、笑福亭鶴瓶の「鶴瓶噺」みたいに、この「キョスニムと呼ばないで!」を、「90分のひとり噺」として確立したい、と思っていた。

そのためには、この「噺」を、何度も何度もお披露目することで、作品として高めていかなければならない。

かくして、通算4度目になる「キョスニムと呼ばないで!」の講義を、今回は「前の職場」の学生たちの前で、話すことになったのである。

さて、講義本番の2日前、ブログのコメント欄に、こぶぎさんから、講義についての業務連絡が入っていた。先にも書いたように、こぶぎさんとの連絡は、メールではなく、もっぱらこのブログのコメント欄でおこなわれるのだ。

「今週に迫ったSKKですが、そちらの日程がKKCだそうで、SRをKGMに渡すようにDDRしました。それで、KGGにOSに使う部屋が取れなかったそうなので、すみませんが、わがKKSでIPKして下さい。それでは、当日はYRSKONGISMS。」

それに対する私の返事。

「MRMRのDDR、ARGTGZMS。TJTはHYMにTCKして、前のJKNのKMGのJGにも出てくれないか、と、FMOさんに言われましたが、どうなるかはわかりません。HYMにTCKした場合、KBGさんかFMOさんのKKSにHMNします」

さらにこぶぎさんの返事。

「KGMはOS用にYKIN室を押さえてますので、HYMにTCKされたら、OCでも飲んでお待ち下さい。JMKKのTTSがOTするDDRです。前のJKN、KBGはZMの最中なので、SMMSNが、KMGのJGの方で、JKNをTBSて頂けるとTSKRます」

もう、このやりとりが、可笑しくて仕方がない。とくに「DDR」という言葉がたまらなく可笑しい。だがこれで、当日のDDRが、あらかたわかったのであった。

さて当日。

階段式の大きな教室に、100人くらいの学生が集まってきた。

前の職場で授業をするのは、約10年ぶりくらいである。

同期入社のこぶぎさんが出世して偉くなり、私を是非にと、講師として呼んでくれて、さらにこぶぎさんの司会で、私の講義が始まる。

これは、10年という月日とも相俟って、予想以上に感慨深いことである。

さて肝心の講義は、時間配分を間違え、10分ほど超過してしまった。

100分間、喋りたおした。もっともそのほとんどは、このブログの朗読である。

どのていど、私の話が伝わったかはわからないが、過去4回の中でいちばん反応がよかったことはたしかである。

そして最後に私は、学生たちに「くるわを出でよ」と言った。

本来ならば、同僚だったOさんが言うはずだった言葉である。

もしこの場にOさんがいたら、私の話をどんなふうに聴いてくれただろう?

聴いてもらいたかったなあ。

最後に、そんなことを思った。

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コメント

皆さんこんばんは。「あなたにもできるブログ芸」の時間です。

今日の練習テーマは「留学ネタで90分」です。まあ、このくらい座を持たせられるようになれば、単独ライブも夢ではないでしょう。では、レッツ・トライ!

さて、いつものようにタイマー付きの時計を用意して、90分後に鳴るように設定しましょう。持ち時間を守らないと、主催者にも観客にも迷惑ですからね。

では最初は、登場人物の確認です。舞台のスクリーンには本物の顔写真が出てくるので、ここでは(  )の描写を元に、各自でイメージして下さいね。

・猟奇的な先生(メガネをかけた幼稚園の先生風)
・ベテランの先生(最近のイ・ヨンエ風)
・ロン・ウォンポン君(パンジャンニム)(柔道部の主将風)
・マ・クン君(ドラえもんの「のび太君」風)
・リュ・ピン君(ウド鈴木を少しおとなしくした風)
・リ・ヤン君(イケメンのメガネ男子風)

http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/11.html

さて登場人物を覚えたら、いよいよトーク開始です。と言っても今回は簡単。以下のブログをひたすら音読するだけでいいのです。

ポイントは「大勢の人の前で、自分の日記を自分で読む恥ずかしさ」が、観客に伝わっているかどうかですよ。恥ずかしさを紛らす為に、時々、自分の文章に自分でツッコミを入れる自己演出を忘れないで下さいね。

12月4日 これはなんですか?
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-ad91.html

12月10日 リュ・ピン君の挑戦
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-6011.html

12月27日 学ばない人たち
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-e87b.html

1月16日 中国人留学生たちの反乱(?)
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-d585.html

1月14日 インクを飲んだマ・クン君
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-d4da.html

1月23日 アメとムチ
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-fc15.html

2月3日 続・学ばない人たち
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-fd32.html

2月5日 マ・クン君からの手紙
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-1c26.html

2月6日 さよなら、1級1班!
 http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-8223.html

2級、3級の時期は写真だけ見せて、話は端折ります。が、ここで終わりでありませんよ。引き続き、以下のブログを音読し続けて下さい。

11月9日 変わりゆく彼ら
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-f5b0.html

11月11日 ペペロデー
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-859d.html

11月13日 さよなら、4級3班!さよなら、語学院!
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-eda5.html

11月30日 最後のあいさつ
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-dc72.html

いやはや、長かったですねえ。
さあ、やっとオチですよ。以下の項目について、噛み含めるように語りかけて下さいね。観客にメモを取らせるように、少し間を置いて話すと効果的ですよ。

1)「キョスニムと呼ばないで」とは

2)「마음만 먹으면(マウムマン モグミョン / その気になれば)」
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-dc68.html

3)「くるわを出でよ」

ハイ、いかがだったでしょうか。今回のポイントは、これだけのトークを、いかに90分の持ち時間内に収めるかですね。もっとも、放送一回目の「3分間スピーチ」の頃から何回も練習しているネタですから、簡単ですよね。

それでは「あなたにもできるブログ芸」、今日はこのへんで。

次回のテーマは、「黒澤映画で120分」です。

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(ぶちっ)

A 何だい、この番組。

B なんか、もっと写真が多く出るかと思ったら、登場人物の顔写真がスクリーンの右脇に並ぶだけで、あとは延々とブログの文章をパワーポイントに映してただけだよね。

A あまり画面が文字ばかりで、耳なし芳一のクローズアップかと思いましたよ。

B まあ、現在より10キロやせてた鬼瓦先生の写真が見られたのはレアだったけど。

A でもさ、クラスメイトとの集合写真は、どう見ても「先生と生徒」の記念写真にしか見えないけどね。

B しかし、「リュ・ピン君の挑戦」の所で、リュ・ビン君に教えた日本語をフリにして、「さよなら、1級1班!」の所で回収したのは見事でしたね。

A そうかい? それにしては、トークの冒頭で、留学時の年齢にかこつけて、自分が「フクヤマ」と同い年であることを暴露して笑いを取るなんて、ベタ過ぎない?

B 確かに。そのくせ、1級1班の説明の中で「留年ばかりしている不良の吹きだまり」と言いかけて、「吹きだまり」の所で、自分でプッと吹き出しちゃってたし。

A それに、「学ばない人」と「続・学ばない人」の文章で、猟奇的な先生のお説教がどれだけ正確に聞き取れていたかを比べるくだりなんか、さりげない自慢だよね。

B 大体、猟奇的な先生のお説教を一句違わずに読み上げたものだから、もお教室全体が猟奇的な先生から叱られているようなものだったし。

A 観客は真面目に出席してた人ばかりなのに、全くの叱られ損ですなあ。

B でも一番凄かったのが、終わりのチャイムが鳴っても、何もなかったかのように平然と喋り続けていた所だね。大した肝っ玉だ。

A 僕なんか、終了30分前から「果たして時間内に終わらないんじゃないの?」って、ビクビクでしたからね。

B まあ、最後の最後に、敬愛するOQ先生のご先祖の名言を決めぜりふに用意してきたから、途中で引くに引けなかったんだろうねえ。

A 「くるわを出でよ」って、授業終わりのチャイムが鳴った後で諭されても、学生のココロはとっくに教室を出ちゃってるんだって。

投稿: こぶぎテレビ | 2013年11月30日 (土) 00時36分

鬼瓦亭小権三(弟子)「権三(ごんざ)師匠、お疲れさまでございました」

鬼瓦亭権三(師匠)「どうだったかい?今日のお客さんの反応は?」

弟子「へえ、過去4回の中で、いちばんウケたんじゃないでしょうか」

師匠「『鶴瓶噺』の向こうを張って『権三噺』と称して始めたトークライブ『キョスニムと呼ばないで!』も、もう4回目か。どうだ、だいぶ板についてきただろう」

弟子「へえ、でも、今日のお客さんは、みんな成人式前の女性たちばかりでしたからね」

師匠「だからどうした?」

弟子「いちばんウケたところが、冒頭のつかみで喋った『福山雅治と同い年』だったんでがすよ」

師匠「うむ。つまり、結局はベタがいちばんウケるということだな」

弟子「どうもそのようで。それに…」

師匠「それに、どうした?」

弟子「お客さんの感想の中に、『ブログを読み上げるのが、長くて飽きました』と書いているのがありやして(実話)…」

師匠「うむ。やはり若い子は正直だな。だが、アタシの持ち味はクドいところにあるんだがな」

弟子「どうも若い子にはそれが通用しないみてえです。それに…」

師匠「まだあるのか?」

弟子「お客さんの中におじさんがいらっしゃいまして、『スクリーンに映されたブログの文章の文字が、老眼で見えない』と」

師匠「うむ。やはり文字を延々画面に映しだすのは、眼の健康によくなかったか」

弟子「もう少し刈り込む必要がありそうです」

師匠「うむ。…て、おまえ、アタシにダメ出しをするのかい?」

弟子「滅相もないことでございやす。ただ…」

師匠「ただ…って、まだ何かあるのか?」

弟子「公演時間を超過したこと、あれはいただけません」

師匠「みんな熱心に聞いていたぞ」

弟子「そこは厳守していただかないと。次の演目もありますから…。席亭はおかんむりでしたよ」

師匠「席亭が?」

弟子「『時間を守らんやつに、「権朝」の大名跡を継がせるものか!』って」

師匠「うむ。それは困る。あともうひと息で、『鬼瓦亭権朝』の大名跡は、アタシのものになるっていうのに…。そういえば、同業者が来ていたな」

弟子「こぶぎ師匠ですね。いちばん後ろに座ってましたが、いちばん目立ってました」

師匠「きゃつ、ネタの中身を知っているもんだから、オチの前に笑ったりしてたぞ」

弟子「本人は、誘い笑いだって言い張ってましたよ」

師匠「ラジオの構成作家か!…しかしどうしてずっと聴いてたんだろう」

弟子「こぶぎ師匠、どうやら師匠のブログ芸を盗みに来たようですよ」

師匠「どういうことだ?」

弟子「何でも、こんど国営放送で、『あなたにもできるブログ芸』という番組の司会をやるそうです」

師匠「おいおい、ブログ芸の元祖はアタシだよ!」

投稿: onigawaragonzou | 2013年11月30日 (土) 01時34分

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